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着床の窓って何?着床に適したタイミングを調べるERA検査とは?

   

window

体外受精や、顕微授精を行ってもなかなか着床しない…。この着床障害の原因は様々ですが、その1つに「着床の窓」がずれている可能性があるかもしれません。今回は着床の窓について詳しくご説明するとともに、着床の窓がいつなのか調べるための検査「ERA検査」についてお届けします。原因不明の着床障害に悩む方も是非ご覧ください。

着床の窓とは?

「着床の窓」とは受精卵が子宮内膜に着床する最適な時期の事を指します。正式には「implantation window(インプランテーションウィンドウ)」と呼ばれ、この窓は、排卵後の 6~9日目のある時期にしか開いていないと言われています。

胚(受精卵)が子宮内膜に着床するためには、胚が子宮内で着床するための能力「着床能」が必要ですが、実は子宮内膜側にも胚を受け入れるための着床能が必要だとされています。この着床能が子宮内膜側に備わっている期間が排卵後の6~9日目の4日間の内1-2日間と短く、これが「着床の窓」と呼ばれているのです。

また、報告にもよりますが、この着床の窓の時期の子宮内膜では、ピノポード(pinopode)と呼ばれる特殊な構造が現れます。そして、このピノボードは排卵8~9日後には消失し、着床の窓は閉じてしまうと言われています。いわばピノボードは受精卵にとって、ベッドのような存在と言えるかもしれません。

子宮内膜イメージ

着床しないのは着床の窓がずれているから?

胚移植をする場合は、この「着床の窓」が開いている時期に移植をしなければ、いくら良い胚を移植しても着床することができない、とされているのです。胚移植をしてもなかなか着床しない、化学流産を繰り返すなど、それらの原因の1つには、胚自身の問題の他にこの着床の窓がずれている可能性があると言われています。

着床の窓を調べる方法「ERA検査」とは?

着床の窓の時期を調べる方法として最近行われている検査が「ERA検査」です。2009年にアイジェノミクス社が特許を取得した子宮内膜の着床能のタイミング評価をするための診断技術を指します。研究開発から15年かけて蓄積された知識とデータを元に、日本を含む世界規模での大規模ランダム化臨床試験が行われた結果において有効性および再現性が確認された唯一の検査です(2016ASRM Distinguished Researcher Award)。

検査として世に登場した4年後には、世界中から取得された大量のデータからさらに精度が高く改良されています。次世代シーケンサーを用いて、 子宮内膜の組織検体から着床能に関連する248個の遺伝子分析(各遺伝子のRNA量を比較)を行います。 遺伝子分析から、結果として受容期(着床しやすい時期)または非受容期 (着床しにくい時期)を6つの結果に分類し、詳細に高い精度で着床の窓を個別に特定するという検査です。

ERA検査で期待できる効果とは?

ERA検査を受けることで期待できる効果は体外受精で得られた大切な胚の適切な移植時期が分かるということです。ERA検査を行うことで、自分の着床の窓が開いているタイミングを知ることができます。着床可能な時期を把握することで、次回以降の胚移植の際にどのタイミングで移植すべきか、適切に判断できるようになります。
ERA検査を実施した検査周期には胚移植を行うことはしません。次の周期以降で胚移植を行います。ただし胚移植を行う場合は、ERA検査を実施した同じ方法・条件で行う必要があるため、転院したり、ホルモン剤を変更した場合は、ERA検査の結果は使用できなくなってしまう可能性がある点について予め注意が必要です。

ERA検査を受けるための条件はある?

ERA検査は、良好な胚を移植しているにも関わらず着床に至らない反復着床不全のある人、比較的高齢で胚移植に用いる胚の数が少ない人などが対象となります。

1検査の準備

まず、実際に胚移植を行うと想定し周期を整えた上でERA検査を実施します。例えば、ホルモン周期(ホルモン補充)の場合はプロゲステロン投与開始から約5日後(*)、排卵誘発のためのHCG投与開始から約7日後(*)、自然周期の場合はLHサージの約7日後(*)に子宮内膜を生検します。
(*:胚盤胞期胚の移植を想定した日)

2子宮内膜から検体を採取します

適切な周期にて子宮内膜を育てた後に、着床の窓が開いていると考えられる時期に、腟から専用器具をいれ、子宮内膜を採取します。

3検体を送付/分析

子宮内膜の検体はクリニックから、アイジェノミクス社へと送られます。その後、着床に関わる遺伝子236個を含む計248個の遺伝子(RNA)について分析され、およそ3週間程でクリニックへ結果が送られてきます。

ERA検査の流れ

ERA検査の結果、見方は?

ERA検査の結果は6つのパターンに分かれています。検査結果の見方について、以下1つ1つ説明していきます。なお、以下の結果の見方については「プロゲステロンのホルモン補充を行ってから120時間後の場合」を例に挙げてご説明しています。

RECEPTIVEについて

*今回のERA検査と同じサイクルでの移植にのみ適用され、最初のプロゲステロン摂取前に測定された
内因性プロゲステロンが1ng / ml未満である場合にのみ適用されます。

1:RECEPTIVEについて

RECEPTIVEという結果が出た場合、着床の窓がずれていない、ということを示しています。つまり、ERA検査を行った同じ方法、同じ環境を次回以降再現し、胚移植をすればよい、ということになります。

2:EARLY RECEPTIVEについて

EARLY RECEPTIVEEARLY RECEPTIVEという結果が出た場合、ERA検査を行った時間より後ろに着床の窓があるということになります。そのため、次回胚移植をするタイミングは、ERA検査を行った12時間後に胚盤胞移植をしてください、ということになります。(補足:初回P4の投与時間を調整することで昼間の時間帯での移植が可能です)

3:LATE RECEPTIVEについて

③LATE RECEPTIVEという結果が出た場合、ERA検査を行った時間より前に着床の窓があるということになります。そのため、次回胚移植を行うタイミングは、ERA検査を行った時間より12時間前に胚盤胞移植をしてください、ということになります。(補足:初回プロゲステロンの投与時間を調整することで昼間の時間帯での移植が可能です)

4:PRE-RECEPTIVE (1day)について

④受容期前PRE-RECEPTIVE(1day)という結果の場合、ERA検査を行った時間よりも1日後に着床の窓があるということになります。そのため、次回胚移植を行うタイミングは、ERA検査を行った時間より24時間後(1日後)に胚盤胞移植をしてください、ということになります。同様の子宮内膜の状態を示した女性の約9割が実際に1日後に着床の窓があることが分かっています。従って、胚盤胞移植はプロゲステロン投与後144±3時間で行うことが推奨されます。また、この場合の新たな子宮内膜生検は不要です。

5:POST-RECEPTIVEについて

5受容期後POST-RECEPTIVEという結果が出た場合は、ERA検査を行った時の子宮内膜の状態は、すでに受容期を過ぎている状態と一致するため、着床の窓が終わってしまっていることを意味しています。より明確なタイミングで移植を行うためには、新たにERA検査をすることが推奨されます。なお、再検査は今回のERA検査を行った日よりも1日早く(24時間前に)行う必要があります。

6:PRE-RECEPTIVE (2day)について

⑥ PRE-RECEPTIVE(2day)という結果が出た場合は、子宮内膜の状態がまだ受容期に達していない状態となるため、着床の窓が後ろに大きくずれていることを意味しています。この場合、より明確なタイミングで胚移植を行うためには、新たにERA検査をすることが推奨されます。再検査は今回のERA検査を行った日よりも48時間後(2日後)に行う必要があります。

ERA検査、痛みはある?

人によってはひっかかれている感じがしてとても痛かった、という方もあれば、生理痛のような痛み、ひっぱられているような感覚、など個人差があるようです。子宮体癌検査に似ているそうです。
以下、ブログに掲載されているERA検査を受けた方の実際の声をご紹介します。

“どんだけ痛いんだろう??と心配して深呼吸ばっかりしてたけど、うーん、、ちょっと引っ張られてる感じがするかな??くらいの痛みでした。引用:44歳からの着床前診断 http://hanakonokimochi.hatenablog.com/entry/2018/05/13/224416

がっくりきつつ、いざ検査。つか、痛いとは聞いていたが、これがほんとに痛かった… 内膜を2掻きするところ、1掻き目で採れたサンプルが少なかったようで、結果3掻き。痛たたたた…と思わず声を上げつつ、そして先生と看護師さんに謝られつつ、いや謝らないでくださいすみません騒いじゃって、と言いたいけど痛みとの格闘に必死でそれどころじゃなかった。
引用:不妊治療diary 36歳・結婚4年目のオマルが綴る、男性不妊と、働きながらの子づくりにまつわるよしなしごと

ERA検査で気をつけることはある?

1:性交渉はしても良い?

ERA検査の前後は性交渉をしても構いません。性交渉をしても検査の結果に影響があるということはありません。

2:ERA検査を行った後に胚移植をすぐしても良い?

ERA検査を行った次の周期は移植しない方が良いですか?との質問を受けることがありますが、移植して頂いて問題ありません。もしERA検査結果が次の周期に間に合えば、結果に指示に従って胚移植を行うことが可能です。

3.サプリを摂ってERA検査には影響はしない?

一般に市販されているビタミン剤などのサプリメントであればERA検査に影響はしませんが、ホルモンに影響を与えそうなサプリや効果が未知の漢方などの場合は、ERA検査周期と胚移植周期を同じ様に摂取されるのが安心です。

ERA検査の価格は?

だいたい1回の検査で14~16万円前後となっています。決して安い検査ではありませんが、不妊原因が不明な方の中には受ける方もいるようです。

ERA検査、実際、どのような人が受けるべき?

ERA検査を実施している医療機関は現在170施設とまだ増えつつありますが、実際どのような方が受けるべきなのか、桜十字渋谷バースクリニックの井上先生にお伺いしました。

井上先生:ERA検査は子宮内膜を一部採取し検査に提出するため、採取の際痛みが少しあり、値段も高額でありますので全員に行う検査ではありません。基本的には良好胚を胚移植しても、着床しない方に勧める検査となります。しかし不妊原因が特にないがなかなか妊娠しない方や、高齢で良好胚がなかなか取れない方もご希望で検査致します。また最近、子宮内の細菌叢を網羅的に調べられ、かつ慢性子宮内膜炎によくみられる原因菌を検出する検査も同時にできるようになったため、良好胚を胚移植しても妊娠できず、子宮鏡などで慢性子宮内膜炎も疑われるような方もおすすめですね。

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桜十字 渋谷バースクリニック院長:井上治先生
🏥桜十字渋谷バースクリニック公式サイトhttps://www.sj-shibuya-bc.jp/
🏥桜十字渋谷バースクリニック詳細はこちら
取材協力:
桜十字 渋谷バースクリニック 院長井上治先生
株式会社アイジェノミクス・ジャパン

ERA検査を実施している医療機関

杉山産婦人科 新宿
桜十字渋谷バースクリニック
Shinjuku ART Clinic
田園都市レディースクリニック・青葉台
田園都市レディースクリニック・二子玉川
はなおかIVFクリニック品川
はらメディカルクリニック
ファティリティクリニック東京
松本レディースクリニック不妊センター
両角レディースクリニック
六本木レディースクリニック
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