妊娠のためにやめた方がいい食事とは?|専門家からのアドバイス
2017/10/16
2017/10/16
前回、横浜のサロン「プチ・ソム・ド・アンジュ」のオーナー、小池真由美氏より、コラム「妊娠のための体づくり」にて、女性にありがちなトラブルと不妊症との関係性について教えていただきました。今回は、妊娠しやすい生活をする上で具体的に気をつけるべき点について伺います。
控えた方がよい食事の内容とは?
小池真由美氏:既にご存知のこととは思いますが、妊娠を望む方にとって、食生活はとても重要です。当然ながら、食事の影響は細胞レベルにまで及びます。卵子や精子は細胞です。健康的な受精のためにも、食事の内容に気をつけることは重要なポイントです。具体的にどのような点に気をつけていけばよいのか、お話していきたいと思います。
■子宮や卵巣に血流を集めるために。やめるべき食事。
前回のコラムでもお伝えしましたが、妊娠のために女性の体の機能が十分に発揮できるようになるには「子宮と卵巣に十分な血液が送られること」が大切です。これは妊娠を望む方にとっては、一番必要不可欠なものです。そこで、子宮や卵巣に十分な血液が送られるためにはどんな食習慣がよいのか、ということをお話していきたいと思います。
「血液」とは、まさに「新しい生命を生み出す」エネルギーであり、もっとも大切な要素です。しかしながら、人間一人の「血液の量」は決まっています。その既に決まっている血液を最大限、無駄なく妊娠のために使えることが、妊活のためにもっとも効率がよいと言えるでしょう。妊娠のために血液を効率よく使うための食事において気をつけたい点として、以下のことが挙げられます。
- 冷たい飲食を控える
- 陰性の食品(甘いもの、カフェイン、アルコールなど)を控える
- 化学調味料、精製塩、白砂糖を摂らない
- 異性化糖(ブドウ糖果糖液糖、人工甘味料など)を摂らない
9割が冷えている?!夏でも温かい飲み物を!
まず1つめの「冷たい飲食を控える」についてですが、冷たい飲食によって胃腸が冷えると、そのすぐ下の子宮はあっという間に冷えてしまいます。冷えた内臓同士は、癒着(ゆちゃく)といって、隣の臓器とくっついたり、コリをつくったり、かたくなったりして、今度は臓器そのものの機能を低下させます。当然、子宮や卵巣も臓器ですから、冷えてしまうとそういった機能低下を招いてしまい、さらに妊娠しにくい条件を作ってしまいます。そのため、たとえ夏でも、できるだけ冷たい飲食を避けた方がいいでしょう。お水も常温や白湯にしてみるなど、工夫されることをお勧めします。
ちなみに、現代の女性の7~8割は、自分が冷え性であると自覚していていると言われており、自覚がない人を含めると、9割くらいの方が冷えているとされます。なかなか妊娠できないと悩んでいる女性に冷えている方が多いのはこのためです。ということは、妊娠のために大切な「子宮と卵巣」に十分な血液を送ることができていない可能性が高いのです。つまり、温かい血液を送らなければならない部位が多すぎて、子宮や卵巣に送る血液が足りないということなんですね。
甘いもの、カフェイン、アルコールで肝臓がクタクタ?
次に、「陰性の食品(甘いもの、カフェイン、アルコールなど)を控える」についてお話します。おそらく妊活をされている方だと、ほとんどの方がカフェインやアルコールは控えていらっしゃると思いますが、これらは「陰性の食品」になります。つまり、カラダを冷やす食品なんですね。前回のコラムでも触れましたが、甘いものも陰性の食品です。カラダというのは、冷えると何を優先するかというと、「生命の維持」です。つまり、脳と心臓などをはじめ、生命維持に関わる臓器や器官に優先的に血液を送ろうとします。すると、生殖機能(妊娠すること)は後回しになります。ということは、やはり子宮や卵巣に送る血液が十分に行き届かないことになります。さらにカフェインやアルコールは、肝臓が解毒のために一生懸命仕事をします。言い換えると、肝臓に送る血液がたくさん必要だということです。妊娠のために効率良く子宮や卵巣に血液を送るためには、できる限りその他の臓器で、必要以上の仕事をさせないことが大切ですね。
■どうしても甘いものが食べたくなったら、どんなものがいい?
ただ、どうしても甘いものが食べたいというときは、材料の品質が高いもの、例えばオーガニックシュガーを使ったスイーツや、無農薬のフルーツなどを1週間~10日に一度くらいに、たまに食べるくらいにしてみましょう。本来、嗜好品を食べる頻度というのは、そのくらいで丁度いいのです。嗜好品は「たしなむもの」ですから、「常食」するものではいということです。また、多嚢胞性卵巣症候群をお持ちの方は、甘いものの摂りすぎが原因の1つと言われていますので、妊娠を望むのであれば、甘いものの摂取は控えた方がよいでしょう。
「化学調味料、精製塩、白砂糖」など、自然ではない調味料は避ける
3つめの「化学調味料、精製塩、白砂糖を摂らない」についても同様です。これらの消化のためには、肝臓にかなりの負担をかけます。なぜかというと、これらの調味料は「自然ではない」からです。これらの人工的な調味料は、外食や出来合いのお惣菜、レトルト類、市販のドレッシング、ファーストフードなどにはもれなく使われているため、このような食事の頻度を低くしていく必要があるでしょう。このような「自然ではないもの」の摂取は、細胞レベルの健康状態にも影響を及ぼすため、産まれてくる赤ちゃんの健康のためにも、今から控えた方がいいでしょう。
人工甘味料で、イライラ、ホルモン分泌に影響も?
「異性化糖(ブドウ糖果糖液糖、人工甘味料など)を摂らない」について。これについても、3つめと同様、「自然な甘み」ではありませんので、消化の際に、肝臓にかなりの負担をかけますね。そうでなくとも、ブドウ糖果糖液糖や果糖ブドウ糖液糖は、アメリカの研究によると、不妊の一因になっていると言われていますので、妊娠を望む方にとっては本当に気をつけていただきたいと思います。
ブドウ糖果糖液糖(果糖ブドウ糖液糖)は、主に遺伝子組み替えのトウモロコシからできていますが、とても安価なため、ありとあらゆる食品に使われています。また人工甘味料にはアステルパーム、サッカリン、スクラロースなどが挙げられます。他にも様々な種類がありますが、この甘味料の一番の問題点は、膵臓からのインスリンの分泌を乱すことです。通常、食事をしたり、甘いものを食べたり飲んだりすると、血糖値が上がるため、 膵臓からインスリンが分泌されて、血糖値を下げようとする働きがカラダにはあります。しかし、このような人工甘味料は、摂取しても血糖値が上がりにくいために、インスリンが分泌されないと言われています。そのため、人工甘味料を含んだ甘いものを食べると、かえってもっと甘いものが欲しくなる上、摂取した甘いものによっては膵臓はインスリンを分泌しなければならなかったり、分泌をしなくてもよかったり、と血糖値の上がり下がりが非常に激しくなるのです。結果的に、膵臓の疲弊を招きますし、精神的にもイライラしたり、落ち着かなくなったりして、他の臓器やホルモンの分泌にまで悪影響を及ぼしやすくなります。このようなカラダの状態では、妊娠を望むのは難しくなってしまいますし、やはり健康的な受精を考えると、こういった異性化糖を摂取するのは控えた方がいいでしょう。調味料やお菓子、清涼飲料水であっても、加工されたものを買うときは、原材料を確認して、異性化糖が使われていないものを選ばれることをお勧めします。
(ご参考)乳製品や大豆食品の摂取について|子宮内膜症や卵巣嚢腫の場合
もしあなたが子宮内膜症や卵巣嚢腫などの疾患をお持ちで、それによってなかなか妊娠しにくいという場合は、女性ホルモンの「エストロゲン」が過多になっている場合がありますので、大豆食品やホルモン剤を使用された乳製品の摂取は控えめにしてみてください。また、精肉や卵にも、実はホルモン剤が含まれているものがあるため、可能であればそういったものを使用していないお肉や卵を買われることをお勧めいたします。ホルモン剤を使用していない乳製品や生肉、卵などは、今はネットでも購入が可能です。子宮内膜増殖症などでお悩みの方の場合も、エストロゲンが過剰になっている可能性がありますので、食生活で工夫できるところはやってみていただけるといいかなと思います。
積極的に摂る方がよい食事の内容とは?
葉物野菜や鉄分を含む食材を積極的に摂る
それ以外に、食習慣で気をつけた方がいいものとしては、葉物野菜をしっかり摂ることですね。葉物野菜には「葉酸」が多く含まれていますので、妊娠を望まれる方にはお勧めです。サプリメントもありますが、できれば食事で摂ることが望ましいですので、サプリメントはあくまでも補完するものという位置づけで摂取してください。また、鉄分の豊富な食材も欠かせません。牡蠣、小松菜、イワシ、鮭、ブロッコリー、ナッツ類、レバーや卵などは手に入りやすい食材ですね。とはいえ、一度にたくさん摂取するというよりは、少量でもこまめに食する方が効果的かと思います。なお、鉄分は摂取量の1/6しかカラダに吸収しないと言われていますが、ビタミンCと一緒に摂取するとよいそうです。
妊活中は玄米から白米へ切り替える
他に気をつけていただきたい食材は玄米です。玄米は、栄養も豊富なので、好んで召し上がっている方も多いかもしれませんが、実は玄米は排泄(デトックス)作用が強いため、本来必要な栄養素も外に出してしまうというデメリットもあります。妊娠の前にデトックスをすることは非常に大切ではありますが、妊活を始めたらデトックスはやめましょう。そのため、いつ妊娠してもいいと思う場合は、玄米ではなく白米をお勧めします。
朝ごはんをお米でしっかり食べる
最後に、朝ごはんはできればお米でしっかり食べましょう。パン食やシリアルだと、どうしてもジャムや砂糖などを使用しがちですし、パン自体にも砂糖が使われていることが多いため、お米がおすすめです。また、朝食はスムージーだけ、という方がいらっしゃいますが、酵素を摂取するという点においては悪くはないのですが、不妊で悩まれている方の多くは、すでにカラダが冷えていますので、朝から冷たいスムージーでさらに胃腸を冷やすのはどうなのかな、と根本的な部分で疑問が残ります。さらには朝食を抜く方もいらっしゃるようですが、朝食を抜くと体温が下がるので、妊娠を望む方の場合は、朝食はしっかり摂っていただいた方がよいでしょう。
次は、具体的な生活面の見直しポイントについてお伝えしていきます。
プチ・ソムド・アンジュのご紹介
プチ・ソムド・アンジュ
サロンオーナー 小池真由美
AEAJ認定アロマテラピーインストラクターをはじめとし、NPO法人日本妊産婦整体協会 妊産婦整体セミナーテーマ2終了、産前産後のアドバイザーなど数々の資格を保有。「女性にとってのカラダの自然」を大切に、できるだけ薬に頼らずカラダのお悩みを解決したいという女性のためのサロン「プチ・ソム・ド・アンジュ」を2009年より運営。2017年現在、のべ1000人以上のクライアントへ施術を行う。自身が卵巣嚢腫による不妊で悩んでいた経験から、世の中の女性に自分と同じ経験をして欲しくない!という思いが強くなり、より一層「女性のためのからだづくり」について、必要な知識やケアの方法などをサロンワークを通じて伝えていこうと決意、現在に至る。
プチ・ソム・ド・アンジュ
【所在地】横浜市西区平沼1丁目7-2 くすだビル101
【最寄駅】
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