体外受精まとめ|スケジュールや費用、成功率、リスクとは?
2016/08/07
2019/12/10
体外受精は不妊治療の一つと妊娠を望む女性に適用される治療方法です。今回は体外受精のスケジュールや費用、成功率、リスクについてまとめています。
体外受精とは?|女性・男性に適用されるタイミングは?
体外受精が女性に適用されるタイミング
日本産科婦人科学会は、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療(ART)が適用されるには「体外受精以外の不妊治療では妊娠の可能性がないか極めて低いと判断される」という条件が必要だとしています。つまり、体外受精はあらゆる不妊治療を試しても、不妊症が改善されなかった時に適用される、妊娠のための最終手段といっても過言ではないかもしれません。 体外受精を受ける女性の不妊原因として多いのが、卵子や卵管の異常だといいます。卵子が正常でないと受精ができなかったり、受精ができたとしても受精卵の成長が止まってしまったりすることがあるようです。卵管異常は、例えば卵管閉鎖や卵管の癒着があります。これらは卵管が卵子を運ぶのを妨げるので、卵子と精子が出会いにくくなってしまうようです。卵子や卵管の異常といった女性の不妊症を改善するために体外受精が適用されます。
体外受精が男性に適用されるタイミング
不妊で悩む夫婦の半分が男性側が原因の不妊症だといいます。男性側の原因というのは精子の濃度が薄かったり、精子の運動率が悪かったりする場合です。精子の状態が良くないと、女性が正常に排卵をし、卵子と精子が出会ったとしても妊娠することができなくなってしまいます。 男性への体外受精の適用が検討されるのは、妊娠のための不妊治療を一通り試した後になることが多いと言われています。タイミング法や人工授精などの治療で不妊症が改善されなかった場合、体外受精が適用されることになります。 女性・男性に関わらず、なんらかの原因で卵子と精子が結合し、受精するのが難しい場合の治療として体外受精が適用されることが多いようです。受精することができなければ、妊娠に至ることはできません。『体外受精とは?|女性、男性の適用ケースについて』では男性は精子異常、女性は卵子、卵管異常によって体外受精が適用されるケースをまとめています。記事内では卵子・精子が原因の不妊症だけでなく、卵管が卵子を取り込む際の異常により、妊娠することができない女性に対しても体外受精が適用されるケースをご紹介しています。
体外受精のスケジュール、流れは?
排卵誘発(体外受精1日目)
体外受精は質の良い卵子を見つけて育てる必要があるので、排卵を誘発することから始めていきます。排卵を促すためには排卵誘発剤という薬が使われます。
採卵(体外受精開始から11日目)
次に排卵によって排出された卵子の中から、質が高く妊娠に繋がる可能性の高い卵子を採取します。方法としては、細い採卵針を卵巣に刺し込み、数mlの卵胞液を注射器で吸引します。卵子をシャーレに移して顕微鏡で確認し、培養液の中に移すという流れになるようです。
採精(体外受精開始から11日目)
採精とは精子を取り出す作業のことです。採精は基本的に採卵と同じタイミングで行われます。体外受精では新鮮な精子と卵子を受精させることが重要なので、病院やクリニックで精子を採取することが良いとされています。
受精(体外受精開始から11日〜14日目)
卵子と精子を採取した後は、それらを受精させることになります。体外受精なので培養容器内で受精が行われるのですが、方法は卵子の上に精子を振りかけ受精を促すというもので、卵子と精子の質が大切になることが分かります。受精が完了すると、培養期間になり受精卵が成長するのを待ちます。
分割(体外受精開始から11日〜14日目)
受精後2日経つと分割がはじまり、2細胞→4細胞→8細胞と細胞分裂を繰り返します。4日目には受精卵内は細胞分裂した細胞で埋まります。5~6日になると「胚盤胞」という状態になります。
胚移植(体外受精開始から14日目)
胚移植には3種類あります。まず一つ目の胚移植は分割胚移植(新鮮胚移植)で受精後2~3日目の分割をはじめた受精卵(胚)を子宮内に戻す方法のことです。二つ目の胚移植は胚盤胞移植といい、5~6日間培養し胚盤胞の状態で移植をする方法のことをいいます。三つ目の胚移植は二段階移植と呼ばれる方法で分割期胚と胚盤胞を同じ周期で間をあけず移植します。最初の移植で子宮内膜を刺激し、次に移植する胚盤胞の着床率を改善する効果があるとされています。 胚移植は体外受精開始から14日目に行われるということで、治療期間の折り返し地点になります。もちろん採卵で良質の卵子を採取することも大切なのですが、胚移植は培養した受精卵を子宮内に戻すという妊娠のために重要な工程です。『体外受精のスケジュールと流れ|仕事をしながらの通院は?』では胚移植を成功率を上げるための黄体ホルモンの補充についてまとめています。また、胚移植のことだけでなく、体外受精を開始して1日目、11日目という形で治療のスケジュールと流れについて記載しているので参考にしてみてください。
妊娠判定(体外受精開始から28日目)
胚移植後には妊娠しているかどうかの判定が行われます。判定方法は血液検査と尿検査があるそうで、近年では精度の高い血液検査で妊娠判定が行われることが多いといいます。
体外受精の費用、助成金について
体外受精の平均費用とは?
体外受精は数日で治療が終わるわけではなく、体外受精開始から妊娠まで様々な段階を踏んで進められていきます。その治療段階によっても以下のように料金が変わってくるようです。また、体外受精の流れは病院や不妊症の状態によって違うので、合計金額には個人差があるといいます。
- 卵子の誘発治療(卵巣で成熟する卵胞の数を増やして、質の良い卵子を育てる不妊治療)…約10万円
- 卵子の採卵処置(子宮内の卵巣から卵子を取り出すこと)…約20万円
- 受精卵の培養処置(未成熟卵を成熟卵にすること)…約6万円
- 受精卵の移植処置…約10万円
- 受精卵を着床させるための黄体周期の維持治療(黄体ホルモンを内服、もしくは注射などで補充する)…約3万円
また、体外受精によって妊娠した場合に成功報酬の制度をとっている病院もあるそうなので、治療前に料金の確認をしておくと良いかもしれません。不妊治療をする上で多額の費用は負担になってしまいます。『体外受精の費用は?|平均費用、助成金、保険について』では体外受精の費用の合計金額、料金についてまとめています。不妊治療の進め方も料金に影響を与えるというので、注意が必要です。記事内では、国からだけでなく自治体からの助成金の紹介もしています。
国からの体外受精への助成金とは?
体外受精は健康保険の適用外なので、治療費用が高額になりがちです。経済的な負担を減らすために国からの助成金を有効に使う必要があります。体外受精の助成金についての詳しい説明は『体外受精の助成金はいくら?|30万円に?国の助成は?』でご紹介しているので参考にして、経済的負担を減らせると良いかもしれません。 体外受精や顕微授精などの高度不妊治療のことを特定不妊治療といいます。そんな特定不妊治療を対象とした助成金制度が特定不妊治療助成金制度です。特定不妊治療助成金制度は厚生労働省が実施している制度で、47都道府県どこでも助成を受けることができます。平成28年には制度が変更され、初回でもらうことのできる助成金が30万円に増額されました。また、男性の精液検査や精子の採取の際にも上限15万円の不妊治療助成金が設けられることになり、不妊症に悩む方の経済的負担を減らす施策として注目されています。 ただ、国の特定不妊治療助成金には年収制限や年齢制限などの条件があります。『国の特定不妊治療助成金について|2016年から30万円に?年齢制限、申請方法、条件は?』では特定不妊治療助成金の平成28年からの変更点や条件についてまとめています。また、助成金を申請する方法や準備物を記載しているので確認してみてください。
体外受精の成功率は?
体外受精の成功率は高齢になればなるほど、低くなってしまうと言われています。年齢ごとの体外受精の成功率は以下の通りになります。
- 25歳…40%
- 35歳…35%
- 38歳…30%
- 40歳…20%以下
また、体外受精を行う際には3回を目安に体外受精の継続か中止を考えるのが良いそうです。理由としては体外受精を3回目以降受けたとしても成功する確率が下がってしまうからです。体外受精を受ける女性の8割は3回目の体外受精までに妊娠するというデータがあります。3回目に妊娠に至らなかった場合、他の不妊治療や妊活を検討するのが良いかもしれません。
体外受精の成功率を上げるには?
1.体調を整える 体外受精で精子と卵子が出会ったとしても質の悪い卵子では妊娠、出産を成功させることができません。体外受精を成功させ、妊娠するには良質な卵子を作ることが大切です。体調管理を徹底して、良質の卵子が作られるようにしましょう。具体的には、バランスの良い食事や十分な睡眠、早寝早起きなどの基本的な生活習慣を正常にすることで体調を整えていくのが良いとされています。 2.ストレス、冷えに気をつける ストレスを溜めないことや体を冷やさないことも大切です。ストレスはホルモンバランスの乱れにつながり、冷えは血流の悪化につながると言われています。どちらも体外受精の成功率を下げることになるので、ストレスを解消する方法や、体を冷やさないような努力が大切です。体外受精で採卵をしたとしても、質の悪い卵子を採取し移植したのでは体外受精の成功率を上げることはできません。『体外受精の成功率を上げるコツとは?|20代、30代、回数について』では体外受精の成功率を上げるための病院選びについて記載しています。不妊治療を進めるにあたって病院選びは悩むポイントだと思うので、参考にしてみてください。
体外受精のリスクとは?
妊娠率を高める体外受精ですが、リスクがあるそうです。ただ、事前にリスクについて知っておくことでいざという時に適切に対処することができます。 1.排卵時の痛み 体外受精では採卵の際に、膣内に専用の針を差し込むので、痛みを伴うことがあると言われています。ただ、痛みを感じないほど、細い体外受精の針を使っている病院もあるそうで、痛みについては心配しすぎることはなさそうです。 2.ダウン症 体外受精をすると子供がダウン症になるという話を聞いたことがあるかもしれません。しかし、実際は体外受精によってダウン症の子供が生まれる確率が上がるわけではないようです。体外受精はダウン症の原因だと言われているのは、年齢が関わっているそうです。体外受精はタイミング法や人工授精が成功せず、ステップアップした後に行われる不妊治療です。そのため、体外受精を適用する年齢は比較的高くなります。また、高齢になればなるほどダウン症になる確率は高くなるので、体外受精が適用される年齢ではダウン症の子供が生まれる確率が高くなるということです。 3.流産率が上がる 体外受精を行うと、多胎妊娠の確率が高くなります。自然妊娠による多胎妊娠の可能性は、約1%の確率に対し、体外受精では約4%に上がるそうです。多胎妊娠をすると、早産や流産の可能性は自然妊娠よりも高まるため、結果的に流産率は高くなってしまうそうです。自然妊娠の流産率が約10%である一方、体外受精で妊娠した場合の流産率は約20~25%になると言われており、統計上では流産率が倍以上も高まることになります。 4.麻酔による副作用 体外受精を受ける女性によっては、採卵時に使用される麻酔で喘息発作などのアレルギー症状や、血圧の低下を引き起こすことがあるそうです。また、体外受精で不妊治療を進める際に「血液キメラの赤ちゃんが生まれてくる可能性があることも記載しています。 5.卵巣過剰刺激症候群(OHSS) 体外受精のスケジュールに記載したように、体外受精を始める際には、まず排卵誘発剤で排卵を促すことになります。この排卵誘発剤は女性の卵巣に負担をかけてしまうことがあるそうで、卵巣の腫れや血中に水分をためる原因になってしまうといいます。それが原因で血栓症や腎機能不全を引き起こした時、女性の安全を考慮して体外受精がストップされることになります。
体外受精の経験者ブログ、体外受精に関する相談
今回は「不妊治療 体外受精 36歳からの記録」というブログをご紹介します。このブログ筆者はタイミング法、人工授精を経て36歳の時に体外受精を経験しました。社会で不妊治療がより理解される日がくることを願っているブログ筆者は自身の経験をまとめています。
体調は・・・すこぶる悪いです(泣) 今回はHCGの注射もしていないし、薬もデュファストンのみ、だから副作用も少ないはずなのに・・・ BT1日目の昨日は仕事も忙しく残業もしました。 帰ってきてから頭痛が治まらず、1時間ほど横になっても楽になりませんでした。
体外受精を進めていく中で、なかなか妊娠することができなかったり、赤ちゃんが成長しないなど思い悩むことも多かったといいます。ブログ筆者は不妊治療の状況とともに当時の心境を綴っています。
まさに天国から地獄です。一瞬でもお腹に宿ってくれた命、でも育たなかった。。。私が悪いのか、もともと卵の生命力がなかったのか。。。
1回目の時はフライングをしまくりで精神的に病んでいた??ので今回は極力フライングを控えようと思います^^ みなさんはどんな気持ちで判定日まで過ごされるのでしょうか。。。
参照:体外受精のブログまとめ|20代、30代後半、40代の妊活、不妊治療
体外受精に関する相談
【質問】 30代半ばの方は、どのタイミングで体外受精に移りますか?
36歳女性の回答 私の経験からすると、先生から体外授精を勧められている場合は生理周期が訪れる度に卵子の老化が進むので、夫婦で話合った上で早急に体外授精を実行するべきだと思います。今でもずっと「あと1年早く治療開始していたら…」と私は後悔しています。私たち夫婦は終了するタイミングも話し合っていて、あと体外授精をするのは2回までと決めています。 回答者の体外受精の経験について 体外授精する際は、体質に合った方法を見つけるためにも3回は先生にチャンスをほしい。」と言われました。実際、1度目の体外受精はショート法で排卵抑制の点鼻薬が合わなかったのか採卵した卵子は空胞と変形していたものしか取れずでしたが、2度目はアンタゴニスト法で排卵抑制の点鼻薬は使わない方法で卵子を育てて6個採卵してうち3個が移植可能な8分割まで成長して1個を新鮮胚移植・2個は凍結保存しました。2回胚移植を経て妊娠はせず、着床不全の検査をしたところ「血液凝固異常・免疫応答が高い」と診断されました。
33歳女性の回答 体外受精専門の病院では年齢別に妊娠・出産までの確率等も説明されましたが、やはり若ければ若いほど妊娠・出産率は高いようです。今でも覚えているのは40歳になると、体外受精をしても8%しか妊娠・出産できないということ。そこから考えると、35歳という年齢では、最初から体外受精でも良かったのではないかと思います。 回答者の体外受精の経験について 病院から処方されたクロミッド(排卵誘発剤)を飲み、採卵に挑みました。まだ年齢的に若いので、クロミッドを飲めば2~3個の卵子が採れるだろうと言われていましたが、その時も1個しか採れず、本当にがっかりしました。すぐに採精した精子をふりかけて帰宅。受精でき、5日目に胚盤胞になったので、凍結しました。クロミッドを飲んでいたので、子宮内膜が薄かったので、新鮮胚でも移植は難しかったと思います。翌月に移植をし、帰りに神社にお参りに行きました。 この質問者の女性はタイミング法や人工授精などの不妊治療を試しましたが、妊娠をすることができなかったといいます。また、回答者のプロフィールや不妊治療状況についてもまとめているので確認してみてください。
体外受精対応の病院ランキング(総合評価順)
関東地方
- 福地レディースクリニック(日立駅|医療技術4.8|口コミ6件)
- みむろウィメンズクリニック(町田駅|医療技術4.5|口コミ11件)
- 国立成育医療研究センター(祖師ヶ谷大蔵駅|医療技術4.4|口コミ6件)
関西地方
- 大阪大学医学部附属病院(阪大病院前駅|医療技術5.0|口コミ3件)
- くぼたレディースクリニック(住吉駅|医療技術5.0|口コミ3件)
- 三橋仁美レディースクリニック(近鉄郡山駅|医療技術4.5|口コミ4件)
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