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気になる体外受精の費用は?助成金と医療費控除、保険も徹底解説

      2018/12/26

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体外受精へのステップアップで気になるのが、その費用です。タイミング法や人工授精と比べて治療費が高額なため、治療を受ける前に不安になる方も多いのではないでしょうか。安心して治療に専念するためにも、料金体系や目安の金額を事前に知っておきましょう。また、国による助成金制度や、医療費控除による税金の還付制度、最新の民間保険についても解説します。

体外受精の費用や料金体系は病院やクリニックごとに異なる

体外受精は、採取した卵子と精子を体外で受精させる不妊治療方法です。体外受精以降の治療法は高度生殖補助医療といい、タイミング法や人工授精では妊娠が期待できない場合に適用されます。体外受精でも妊娠しない場合は、採取した卵子に針を刺して精子を直接送り込む顕微授精を検討します。

体外受精の費用は公的医療保険の適用外

体外受精を検討している方にはとても残念ですが、体外受精には公的医療保険が適用されません。そのため、病院やクリニックによって費用が異なります。医療機関が自由に料金を設定できるため、50万円以上もの差が生じるケースもあります。

施術の料金に薬と検査の費用が加わる

体外受精の治療では、採卵/採精・受精・受精卵の培養・胚の凍結と融解・子宮に胚を戻す胚移植と、治療のステップごとに施術に対する値段が定められています。

初めて体外受精を受ける方が混乱しやすいのが、これらの施術料金には、排卵を誘発するホルモン剤の薬代や、卵胞の成長をチェックするための超音波検査、ホルモンの値を測定するための血液検査などの代金が含まれていないという点です。

クリニックのサイトには施術の料金表は掲載されていても、薬代や検査代については別途必要としか記載されていない場合があります。これらも自費診療扱いとなるため、数千円から数万円単位になります。料金表の合計金額を想定して来院したところ、想像以上に薬代・検査代が掛かって焦ってしまった…という方もいるようです。

また、体外受精は成功するとは限らないため、失敗したときの料金の負担を懸念する方も多いでしょう。医療機関によっては成功報酬制度を採用しており、成功しなかった場合の料金を低く設定しているところもあります。

実際に体外受精を経験した方の平均金額

それでは、実際に体外受精や顕微授精を経験した方はどれくらいの治療費を支払っているのでしょうか。

体外受精・顕微授精経験者の平均治療費は193万円

出典:妊活ボイス

出典:妊活ボイス

Webメディア「妊活ボイス」の調査によると、体外受精もしくは顕微授精の経験者の平均の治療費は193万円にのぼります。この中には、排卵誘発剤を多用する高刺激法を受けた方や、妊娠までに複数回の治療を受けた方も含まれると考えられるため、すべての方がこの金額になるわけではありません。ただ、総額でこのくらいの金額になる可能性があることを事前に知っておくと気持ちの準備が出来るかもしれません。(出典:妊活ボイス https://www.ninkatsu-voice.jp)

それぞれの施術にかかる費用

それでは、体外受精の料金の内訳はどのようになっているのでしょうか。それぞれの治療ステップにかかる施術の値段の目安は次のとおりです。

排卵誘発(診察、超音波検査など)…約4万~6万円
採卵…約8万~12万円
受精・受精卵の培養…約4万~6万円
胚移植…約8万~12万円
着床を促す黄体ホルモンの補充…約3万円

合計で、目安として約30万〜50万円となります。前述のように、これらの施術費用に加えて、排卵誘発剤や毎回の血液検査・超音波検査、胚をより着床しやすい状態(胚盤胞)まで成長させる技術、凍結胚移植に必要な胚の凍結・融解など、追加でかかる費用の負担があります。医師や看護師・カウンセラーによる事前のカウンセリングで確認すると良いでしょう。

体外受精で受け取れる助成金は厚生労働省が定めた特定不妊治療助成

不妊治療の助成金には、国(厚生労働省)から給付されるものと地方自治体(都道府県や市区町村)から給付されるものがあります。体外受精で給付される助成金は、国が導入している「特定不妊治療助成制度」です。

特定不妊治療とは、体外受精や顕微授精などの高度不妊治療のことを指し、タイミング法や人工授精は対象外となります。各自治体(都道府県)を通して助成金を受け取れるのですが、条件や金額は全国共通です。

また、自治体によっては、独自に体外受精や顕微授精に対して助成金を適用しているケースがあります。この場合は、国の特定不妊治療助成制度に上乗せして、自治体独自の助成金を受け取れます。各自治体のホームページや役所の窓口で確認しておきましょう。

特定不妊治療助成金で受け取れる金額、条件、申請の仕方

特定不妊治療助成金の金額は、初回30万円、2回目以降は15万円です。ただし、採卵を行わず凍結した胚を移植する場合は、7.5万円となります。給付を受けられる回数は、初めて女性を受けた治療期間の初日において、妻の年齢が40歳未満の場合は6回、40歳以上の場合は3回までです。

ただし、平成25年度よりも以前に特定不妊治療助成制度を受けており、平成27年度までに通算で5年間の助成を受けている場合は、新たに助成を受けることができません。

特定不妊治療助成制度は、次の3つの条件を満たした場合に適用されます。

・タイミング法や人工授精など特定不妊治療以外の治療法では妊娠の見込みがない、あるいは可能性が極めて低いと医師の診断を受けた法律上の婚姻関係がある夫婦(自治体によっては事実婚でも可)
・治療期間の初日において、妻の年齢が43歳未満
・夫婦の所得の合計が730万円以下

治療が終わったら各自治体に特定不妊治療助成制度の申請書と医療機関の証明書を提出しましょう。各自治体のホームページや役所で申請書を取得できます。医療機関の証明書は、特定不妊治療を受ける医療機関の医師が記入します。

体外受精にかかった費用は医療費控除の対象になる

money-256312_640体外受精にかかった費用は医療費控除の対象になるため、特定不妊治療を受けたことを証明できる領収書は必ず保管しておきましょう。また、特定不妊治療のために通院した際にかかった交通費も医療費控除の対象となります。年間にかかった医療費が約10万円以上であれば対象となりますが、この金額は所得によって変動します。対象年度の総所得が200万円以下の場合は、総所得金額の5%が基準です。

また、助成金や保険で受け取った金額は、医療費控除の対象となる金額から差し引かれます。例えば、特定不妊治療に100万円がかかり、30万円の助成金を受け取った総所得金額200万円以上の方は、100万円-30万円-10万円=60万円が医療費控除額となります。

生計を同一にする配偶者や親族などにかかる医療費も対象となるため、領収書は必ず残しておきましょう。また、所得が多い人が医療費控除をした方が所得税が得になります。誰が医療費控除を受けることが最も得になるかを考えて手続きしましょう。

不妊治療の費用をカバーする民間の保険

最近では、高額になりがちな不妊治療を保障する民間の保険も出てきました。ただし、加入後2年以内は補償の対象にならないなどの条件があります。現在治療中の方にとっては残念な条件かもしれません。今後の改定が望まれますね。

三井住友海上の「あいおい生命保険」

&LIFE 新医療保険Aプレミアのオプションに、「女性サポート給付金付ガン診断給付特約」があります。特定不妊治療、出産、ガンの確定診断を受けたときに支給されます。

対象となるのは、体外受精または顕微授精の治療過程において受けた採卵または胚移植です。支給額は、1回~6回目が2.5万円、7回~12回目までは5万円となります。1回の治療で採卵と胚移植の両方を受けた場合は、それぞれ1回とし、合計2回と計算します。保険の契約が完了してから2年以降でなければ、補償の対象になりません。(出典:三井住友海上 http://www.msa-life.co.jp/lineup/iryo/focuse.html 2018年12月18日時点)

日本生命の「シュシュ」

体外受精、顕微授精の治療過程で受ける採卵または胚移植に対して給付金が支払われます。1回~6回目までは1回につき5万円、7回~12回目までは1回につき10万円です。採卵と胚移植を1回の不妊治療で受けた場合は、合計2回として計算します。(出典:日本生命 https://www.nissay.co.jp/kojin/shohin/pdf/goryui.pdf 2018年12月18日時点)

こちらも保険の契約が完了してから2年以降に保障開始となるため、すでに不妊治療を始めている人には適用されません。

体外受精の料金に悩む夫婦は多い

体外受精や顕微授精などの高度不妊治療にかかる費用には多くの方が悩んでおり、保険適用にしてほしいという声や、助成金制度を拡充してほしいという声がたびたび聞かれます。不妊や治療自体でつらい思いをしている夫婦にとって、高額な費用の負担は追い打ちのように感じられるのかもしれません。

助成金や医療費控除を活用するのはもちろん、なるべく効果的に妊娠・出産に至るよう、体の状態に合った治療法を選びましょう。

執筆者

加藤良大
医療ライター。医療機関のHP・ブログ・情報サイトの記事執筆経験10,000本以上。不妊治療・婦人科・美容医療・歯科など様々なジャンルの記事を執筆中。