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40代の不妊治療。仕事との両立は?

   

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30代後半の女性に焦点をあてた前回のコラムに続いて、今回は40代女性の仕事と妊活/不妊治療との両立をテーマに、六本木レディースクリニックの小山先生にお話をうかがっています。

40代の働く女性が抱える仕事・妊活・不妊治療の悩みとは?

40代の働く女性は、仕事を続けたいという想いと、家族の将来に対する不安や悩みを抱えている方が多いと感じています。

40代の仕事・キャリアに対する本音

40代は働き続けて約20年が経ち、キャリアの折り返し時期を迎えます。40代以上の働く女性1069人を対象に、日経WOMANが行った仕事やプライベートに関する意識調査では、仕事やキャリアに対する本音がうかがえます。
「何歳まで働き続けたいか」という質問に対して大多数の女性が「定年まではしっかり働きたい」と答えています。「今の仕事にやりがいを感じているので、できる限り続けたい」「社会と接点を持ち続けていたい」「年金がいつからもらえるか分からないので、ずっと働き続けられる自分でいたい」といった理由で、多くの女性が仕事を続けることを望んでいます。
伸びをする女性

40代の妊活・不妊治療に対する不安と焦り

妊活や不妊治療に取り組んでいる方にとって、30代の頃とは周囲の反応も変わってくると思います。子どもの話題になれば、同世代の友人や親戚などからは腫れ物に触れるかのような態度を取られ、傷ついてしまうことも多々あるかもしれません。同世代の友人の中には子どもが成人を迎える人もいる世代です。自分も子どもを産めるのかという不安や焦りを感じる人も多いと思います。
40代という年齢が、妊娠や不妊治療においてどのような状況に置かれているのか、現状を知った上で、どのように仕事との両立に向き合えば良いのか見ていきましょう。
女性笑顔

40代、高齢出産のリスクは?年齢が妊娠に与える影響

40歳という年齢と妊孕力(にんようりょく)

40代女性の自然妊娠率

前回のコラムでも触れましたが、妊孕力(にんようりょく)は年齢が上がるとともに衰えるといわれています。健康的なカップルが一年間避妊せずに性交渉を行った場合、30代後半に5割あった自然妊娠率は、40歳を超えると36%へと減少していきます。(※1)

大元データ日本子ども家庭総合研究所「出産希望年齢と妊よう力知識の関連内『グラフ:M.Sara Rosenthal.The Fertility Sourcebook.Third Edition』」

大元データ日本子ども家庭総合研究所「出産希望年齢と妊よう力知識の関連内『グラフ:M.Sara Rosenthal.The Fertility Sourcebook.Third Edition』」

①の折れ線グラフが示しているように、妊孕力は40歳を境に急激に減少し、45歳以降は5%以下へと落ち込んでいます。

高度医療を行った場合の妊娠率

不妊治療の一環で、高度生殖医療(ART)を行った場合でも、自然妊娠の場合と同様、妊娠率は年齢とともに下がるといわれています。

ART妊孕率・生産率・流産率

ART妊孕率・生産率・流産率

体外受精成功率は20代最も高く、40%ですが、35歳まででは約35%と徐々に下がっていき、40歳になると20%を下回ります。45歳となると約5%と激減してしまうのです。
また、上記グラフの流産率を見てみると、40才を超えると数値が急激に上がっています。つまり、年齢が高くなればなるほど流産の可能性も高まると言えます。

40歳という年齢と染色体異常は?

40歳の高齢出産になると、染色体異常(ダウン症など)児が生まれる確率も増加傾向にありますが、これは「卵子の老化」が原因とされています。そのため、自然妊娠か、不妊治療を行っての妊娠に関わらず、染色体異常児の生まれる確率は高齢であるほど高まると言われています。また、男性の年齢が高齢化するとその確率が増加することも研究によって明らかになっています。

40代、妊娠に左右する病気の発症率とは?

高齢妊娠の場合、出産時に合併症を患うリスクが高まりますが、40代になると妊娠以前に、婦人科疾患の発症が増えるという問題も出てきます。
(1)子宮体がん
エストロゲンの長期的な刺激と関連付けられている病気で、肥満や閉経が遅い、出産経験がないといった人は発症のリスクが高くなると言われています。

厚生労働省がん研究助成金「地域がん研究班」(1998年)

厚生労働省がん研究助成金「地域がん研究班」(1998年)

年代別の子宮体がん罹患率(※2)を見てみると、40代後半から数値が大幅に上昇していることがわかります。

(2)卵巣がん

子宮体がん同様に妊娠・出産経験がないと罹患のリスクが高まる病です。卵巣がんになりやすい年齢は、40~50歳代の閉経前後が多くなります。

(3)子宮筋腫
婦人科疾患の中でも発症の多い病気で、30歳以上の3人に1人は持っているとされ、不妊の原因になるとも言われています。

厚生労働省平成17年「患者調査」推計退院患者数を元に年間の入院患者数を推計

厚生労働省平成17年「患者調査」推計退院患者数を元に年間の入院患者数を推計

子宮筋腫による入院患者数(※3)は30代から大幅に増えていますが、40代の入院患者数は、30代の約2倍になっています。

(4)子宮内膜症
当院に来られる患者様の中には子宮内膜症を発症している方も多く見受けられます。子宮内膜症は30代後半以降の発症が多く、生理回数が増えることが、子宮内膜症の症状が進行する一因でもあるため、出産回数の減少が大きく関わってくるといわれています。

こうした病気にかかってしまうと、妊活や不妊治療にも大きな影響を与えかねません。子宮内膜症のうち、卵巣チョコレート嚢腫の場合は手術で切除することで、妊孕能がよくなる可能性がありますが、子宮内膜症に類似した病態と考えられている子宮腺筋症に至っては、子宮の中に病変がびまん性に広がるため手術がしにくくなります。進行性の病気で、閉経するまで治らず、症状がひどい場合には生理を止める必要があるため、妊活に影響が出てしまいます。また採卵するときに子宮内膜症や子宮筋腫があると、採卵するときに邪魔をしてしまい、採卵がしにくいということもあります。手術をすることで妊娠することもできますが、両方の治療費や、一方の治療に専念する期間も設ける必要が出てくるなど、負担が増え、妊娠・出産実現までの時間を消耗してしまうことにもつながります。
医療

40代の子育てへの影響

40代で出産し、子育てをする人にとって一番に問題となってくるのは、体力面での負担ではないでしょうか。子どもが成人を迎えるころには自分の年齢は60歳を超えます。体力の衰えを感じる中で、子育てと親の介護を両立しなければならなかったり、出産後に仕事復帰し働き続ける場合、体力的な負担は何倍にもなるでしょう。
肩こり,女性
プレ更年期の不調
体力面での負担に加え、40代後半になるとプレ更年期の不調に悩まされ始めます。更年期によるホルモンバランスの乱れは、卵子の発育に直接影響し、排卵しづらくなることもあります。また、排卵誘発剤による効果も少なくなってしまいます。
40代後半以降は流産率が60〜80%以上で、かつ着床率もかなり低くなります。2人目以降の妊娠でも同様です。心身ともにバランスを取るのが難しく感じられることもあるかもしれません。
このように将来抱える可能性のあるリスクや負担を事前に知り、パートナーと共有しておくことが今後40代の妊活・不妊治療を進めていく上で大切になってきます。

~40代の妊活・不妊治療と仕事との両立で意識すべきこと

40代の妊活、時間が有限であることを意識する

時計・時間40代の妊活・不妊治療の場合、スピードが勝負といっても過言ではありません。40代で自然妊娠される方もいますが、実は決して多くはありません。自然妊娠出来ると思って妊活し、駄目だったら病院に行こう、というのでは遅いケースも珍しくはありません。
また、患者様の症状や病院にもよりますが、自然妊娠を望めるタイミング法ではなく、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療から治療を開始するケースも出てきます。一般的に生殖補助医療の場合、一周期当たりの治療費が30万円から60万円と高額になります。治療費の負担も大きくなるということも、留意しておく必要があります。
このように40代の妊活・不妊治療においては、なにより時間が有限であることを意識してほしいと思います。

40代は仕事に対するスタンスを見直すことも視野に

40代で妊活・不妊治療をしても仕事を諦めたくない、続けたいという人が多いことは事実です。これまで頑張り続けてきた人や仕事に生きがいを見出している人、より責任のあるポジションに就いている人であれば、なおさらそうした強い気持ちを抱えていると思います。ですが、両立に対して不安を抱いたまま妊活や不妊治療に取り組んでも、ストレスがたまり、良い結果が得られにくくなってしまいます。40代の場合、妊娠率や疾患リスクなどと向き合い、病院で検査や相談をいち早く行い、仕事の比重を考え直すなど、早めに妊活や治療に取り組める環境を作る努力も必要です。
また、そうした環境を作る上で病院選びはとても重要になります。より妊娠・出産しやすくするためにも、体外受精など不妊治療を行っている不妊治療専門クリニックに行くことをおすすめします。仕事とのバランスを考えながら通院する場合は、仕事帰りの遅い時間帯や、土日の診療を行っているかなど、仕事への影響を最小限に留められるような病院を選択し、出来る限り心身の負担を減らせる環境を探してみましょう。

※1 大元データ日本子ども家庭総合研究所「出産希望年齢と妊よう力知識の関連内『グラフ:M.Sara Rosenthal.The Fertility Sourcebook.Third Edition』」を参照。
※2 厚生労働省がん研究助成金「地域がん研究班」(1998年)を参照。
※3 厚生労働省平成17年「患者調査」推計退院患者数を元に年間の入院患者数を推計、よりデータ参照。

六本木レディースクリニック

六本木レディースクリニック小山院長のご紹介

小山 寿美江(こやま すみえ)院長

小山院長

小山院長

日本産科婦人科学会 専門医/日本生殖医学会 生殖医療専門医
1999年 琉球大学医学部医学科卒業
2000年 東京医科大学病院救急救命センター
2001年 東京女子医大病院腎センター
2003年 緑風荘病院 血液浄化療法センター
2006年 昭和大学病院産婦人科
2009年 昭和大学病院産婦人科 助教
2010年 東京衛生病院産婦人科
2012年 木場公園クリニック勤務
木場公園クリニック 分院 院長
2016年 六本木レディースクリニック勤務

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