不妊治療と仕事の両立を成功させるための準備とは?
2018/06/05
2023/08/30
前回のコラムで、不妊治療と仕事の両立は具体的に何が問題で、なぜ大変なのかについて小松先生にお話をお伺いしました。今回は不妊治療と仕事を両立するためのポイントや準備についてお話頂きます。
仕事をしている患者は3つの課題を抱えている
まず、仕事をしながら不妊治療をしている患者の課題について、お話ししていきたいと思います。当院にお越しいただく患者様のお話や、個人的に感じていることから、3つの課題があると考えています。
1つ目は、自分自身の状態を把握しきれていないこと。
2つ目にしっかりと不妊治療に向き合えていない事。
3つ目に不妊治療と仕事の両立をしにくい働き方をしていることです。
これらの課題を解決するため、具体的にどのような点に気を付けるべきかを挙げてみたいと思います。
不妊治療と仕事の両立を始める前に準備を
1自分の体を把握する
まず、不妊の疑いを持ってお越しになる患者様のうち、ご自身の体について把握していない方が多いと感じています。
例えば、生理が周期通り来ないとか、生理痛が重いとか、そういった方は症状がある時点で病院にかかられているケースが多いのですが、そうでない場合、妊活しているけれども妊娠しない、という方がほとんどです。
しかし、自分では気づいていないだけで、生殖機能に関する問題を抱えているということも、少なくありません。 そうしたことに気づくためにも、まずは自分の体を知ることは、妊娠に向けた第一歩だと考えています。
実は、自分の体を知る方法は思っている以上に簡単です。自宅で簡単にできる事と病院で検査を受ける事の2通りがあります。
自宅で出来る?自分のリズムを知り、不妊を察知
自宅でも簡単にできることとして基礎体温を測定することが挙げられます。基礎体温を測る事で、自分の体に排卵がきちんとあるのか、ホルモンバランスに乱れが無いかなど、目安を知ることができます。最近ではアプリを用いて自分の体温を管理し、排卵日の目安を把握するということも可能です。 HUMAN +女と男のディクショナリー(日本産婦人科学会)参照
例えば、基礎体温のグラフに高温期、低温期が無い場合は無排卵の可能性もあります。高温期が10日以下と短い場合は、黄体不全も考えられる、など、自分で体の異変に気付く事ができます。
また、病院に足を運ぶ際にも、事前に基礎体温の変化を把握しておくことで、医師との意志疎通がスムーズになる場合があります。
病院で検査をし、何が原因なのかを探る
病院で検査を行うこと自体に抵抗がある方や、漠然と不安な気持ちを抱いている方も少なくないのではないかと思います。しかし、事前に測定して頂いている基礎体温を拝見し、内診、エコー、血液検査などを行えば、自分自身の体に問題があるかどうかをしっかりと把握することができます。
また、不妊の原因がある場合は、どのように妊娠に向けて治療をすすめていくかを相談の上決定していくため、勝手に何か進められるということはありません。ご自身の体を把握するためにも、気軽に検査を受けてみてください。
2パートナと不妊に向き合う
お互い忙しいなりにも性交に取り組んでいる場合、漠然と何故できないのだろう、と思っている方も少なくないのではないでしょうか。
または、どちらかに原因があるのではないか、と考えつつも、口に出せないでいる人もいるでしょう。つまり、お互いが「不妊かもしれない」という不安を抱いていると共に、きちんと不妊に向き合えていないという課題があります。
不妊にちゃんと向き合うには?
不妊の原因は男女半々と言われています。そのため、お互いがどちらかに原因があるのでは?と思う前に、自分自身に原因があるかどうかを確認することが大切です。そのため、不妊検査も、男女そろって行うことを勧めています。
女性に原因がなく、男性に原因があることも珍しくはありません。
例えば射精が出来ていれば精子に問題はない、と考えがちですが、男性も年齢を重ねれば精子の質・運動量などが衰えていきます。
男性の方が心理的に向き合えない?
男性は精液検査をすれば精子の数、運動量、運動率などが分かるため、問題があるかどうかが分かりやすいのです。しかしながら、女性に比べ、男性の方が自身の不妊と向き合う事を避ける傾向にあると感じています。
患者様の中にも、検査を行うのは女性だけで、男性の方は検査をしない、といった方もいらっしゃいます。これは、男性の方が自身の性機能や精子と向き合うという点において、心理的ハードルが高いのではないか、と感じています。
しかし、男性に原因があるにも関わらず、不妊検査を行わずに、女性に対して不用意な検査や治療を何度も強いて、過剰な負担をかけてしまうケースもあるのです。
共に働いている以上、お互いにストレスにさらされ妊娠しにくい環境に身を置いているということを意識して男女ともに自分自身の体と向き合うのがよいと思います。
不妊に向き合うきっかけ、どうしたらいい?
不妊に向き合う事が大切なのはわかっていても、実際に、どう向き合えばよいのか、そのきっかけに悩むご夫婦は多いと思います。不妊治療のきっかけは様々ですが、女性の場合は子供がなかなかできないと思ってご自身で病院に検査へ来られるケースが多く見られます。
男性が不妊に向き合うには何より心理的なハードルが高いため、女性もそれに気を遣いなかなか話題に出せない、ということがあるようです。そこで、具体的にどのようなきっかけで不妊に向き合ったのか、患者様の例をあげてお話ししたいと思います。
- 不妊に向き合うための方法1:期限を決める
「いつまでに子供ができなかったら、二人で病院に行こう」など、具体的に期日を決めて、検査に行くようにした。 - 不妊に向き合うための方法2:パートナーの友人・知人または両親に説得してもらう
パートナーの親しい友人や義理の両親に頼み、検査に行った方が良い旨を説得して貰った。 - 不妊に向き合うための方法3:アプリで調べる
- アプリや検査キットでまず自分の精子の状態を調べ、それを機に病院へ足を運んだ。 このようにきっかけは様々ですが、不妊治療の大前提として、パートナーと二人で不妊に向き合うことが大変重要です。ご夫婦が互いに治療の肉体的・精神的負担を最小限にするためにも協力的であるべき、と考えます。
3仕事の仕方を見直す
共働きのご夫婦にとって、不妊治療と仕事を両立させるためには、仕事の働き方を根本的に見直すことが大切になります。それは仕事のせいで、ストレスを溜めないようにするという意味でもとても大切です。
女性の場合は、不妊治療においてストレスが大きな影響を与えます。不妊治療を止めたら妊娠した、といったケースがまさにそれに当たります。
ストレスでホルモンバランスが崩れてしまい、体調不良を来してしまう方もいます。
仕事が忙しく、さらに不妊治療を行なうとなると、仕事との都合を調整する必要も出てきますし、それによって人に迷惑をかけることもあるでしょう。
それらの要因でストレスが生じ、ホルモンバランスが乱れるということもあると思うのです。また、治療でたとえすぐに結果がでなくとも、次はうまくいく、といった前向きな気持で臨むことも大切です。
働き方を何も変えずに不妊治療と仕事を両立するのは、ほとんどの病院では難しいでしょう。なぜなら、不妊治療ではどうしても、排卵のタイミングや体の状態などに合わせて通院する必要があるからです。
排卵誘発剤などを用いる治療では卵子の成熟度を調べる必要があったり、採卵するタイミングなどもあります。体外受精ともなると、様々な薬を用いるケースも少なくありません。肉体的な負担があると、今までと同じように仕事をこなすということも難しくなるでしょう。そのため、働き方を調整するのがよいと考えます。
仕事の優先順位や負荷を一時的に低くする
会社に不妊治療を支援する制度があれば堂々と活用し、職場の理解が得られるように周りの人に伝えておくことも1つの手段です。働く時間を変更させてもらうという手もあるでしょう。
また、肉体的負荷が大きい仕事をしている場合、配置転換の相談をしてみてもいいかもしれません。このような希望が通りにくい場合、不妊治療に理解のある職場に思い切って転職するという方法もあると思います。そんなこと簡単に出来るわけがない、と思う方も多いでしょう。
しかし、妊娠・出産にはリミットがあります。妊娠を望む場合、優先順位を仕事から不妊治療に変えてしばらくの間過ごす、というように考えを切り替える事も必要なのではないでしょうか。
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