仕事と不妊治療の両立、芸能人はどうしていた?
公開日:2019/06/05
更新日:2021/10/27

前回のコラムでは、仕事と不妊治療を両立する上で「自分自身の現状を把握しきれていない」「しっかりと不妊治療に向き合えていない」「不妊治療と両立しにくい仕事の仕方をしている」といった課題があるというお話をし、どのような点に気を付けるべきかをお伝えしました。今回は具体的に芸能人の方々の例を挙げて見ていきたいと思います。
夫婦が共に自分の体を知ることでいち早く妊娠に繋がることも
自分の体を知ることは、妊娠への第一歩です。ここでは自身の体を検査などで事前に把握し、早期から不妊治療を始めて妊娠できたというケースとして矢沢心さんと、鈴木おさむさんの例ををご紹介したいと思います。
矢沢心さんの場合|妊活前から婦人科で検査をしていた
矢沢心さんは、学生時代に産婦人科で受けた検査で、排卵障害の原因の1つである多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)であると分かっていました。そのため、妊活を開始してすぐに病院で検査を受けました。
多嚢胞性卵巣症候群は、子宮の中に未成熟の卵胞が残り、新しい卵胞も十分な大きさまで育たないことによって排卵障害を引き起こす可能性のある疾患です。
投薬治療などが必要になりますが、妊活開始と同時に検査をしたことで、早期の治療に踏み込めたのではないかと思います。
鈴木おさむさんの場合|検査で男性不妊が分かった
森三中の大島さんの旦那様である鈴木おさむさんのケースを見てみましょう。鈴木おさむさんは、精液検査をトータル3回されています。
いずれの検査でも、精子の運動率を指摘されたとのことです。 ご自身で検査結果を受け止めた際には、とてもショックだったようですが、その後、人工授精で第一子を授かっています。
男性としてショックではあったものの、自覚するということは大切だ、と後におっしゃっています。
また、検査を行った事で人工授精に早く踏み切れたということなのではないでしょうか。男性の場合、精子の質が悪くても自覚症状が殆ど無い為、検査には自分の意思が伴います。
しかし、早い段階で精子の状態を把握することで、パートナーの治療負担を減らすことになる上、早期に治療の方針を決められる、というメリットがあるのです。
夫婦で取り組む生活改善で妊娠しやすい体に
パートナーと不妊に向き合うには、まず、自分の体を知り、その上で夫婦揃って取り組んでいく必要があります。ここでは、ご夫婦で不妊に向き合い、体質改善に取り組まれたご夫婦のケースをご紹介します。
保田圭さんの場合|夫婦で体質改善に取り組んで妊娠した
1月7日にご出産された保田圭さんは、ご夫婦で妊活に取り組まれていることを公にしていました。
保田圭さんご自身は、サプリメントを始めとし、大豆プロテイン、ザクロなど様々なものを摂りながら、身体を芯から温めるインディバという施術で体を温めたりして体質改善に臨んだようです。
旦那様に対しては、食事に気を配ってもらったり、サプリを飲んでもらったり、体を温めすぎないように気を付けてもらったりと、できる範囲のことをお願いしていたようです。
また、ご夫婦でリフレッシュをされたり、パワースポットを巡るなど、二人でストレスを発散する努力もされていたようです。
このようにお二人で不妊に向き合い、体質改善などに取り組まれた事は、効果的であったのではないかと思います。
加藤貴子さんの場合|男性不妊に夫婦で向き合った
女優である加藤貴子さんのケースを見てみましょう。加藤貴子さんの場合は、旦那様の男性不妊が原因でした。旦那様がクリニックでの検査で、ご自身の精子が一般男性の10%しかなく、運動率5%と言われたこともあったそうです。
しかし、旦那様も共に体質改善に取り組まれ、精子の質の改善が見られています。
具体的に行った事は、45分間のウォーキング、規則則正しい生活、食事の取り方の工夫、お酒の飲み方に気を付けたようです。
これらを極力気をつけたことが影響して、精子の質が向上し、第一子を授かっていらっしゃいます。
加藤貴子さんの場合、男性側に生活習慣の改善をして貰えるように女性側からお願いし、男性の気持ちに寄り添って行っていた点が良かったのではないかと思います。
男性不妊の場合、まさか自分に原因があるなんて、という事で心理的にショックを受けられるケースが多いものです。
加藤貴子さんの旦那様もショックを受けられたようですが、珍しい事ではありません。
女性の不妊治療が注目されがちですが、実は男性の不妊治療も心理的負担という見えない大きなハードルがあることを理解して、男性の気持ちに寄り添うことも大切です。
仕事の負荷を見直す、ストレスとうまく付き合うことに取り組む
仕事をしている方にとっては、ストレスを溜めないという事がとても大切になってきますが、不妊治療を行う上で、ストレスを溜めない方法の一例と、働き方を見直すという点で具体的に実践されていた芸能人の方の例として森三中の大島さんと、杉山愛さんのケースを見ていきます。
森三中の大島さんの場合|仕事をセーブしていた
森三中の大島さんは、旦那様と一緒に妊活に取り組まれていたことで有名ですが、大島さんの場合、子宮筋腫などの手術を経た後、人工授精で授かっていらっしゃいます。大島さんの場合、2014年5月に、妊活のためお仕事を休業されました。
その後、9か月後の2015年2月に妊娠6か月である事を発表されています。お仕事柄、体力を要するハードな内容であったため、あえて休業という形を取られたのは良かった点と言えます。
不妊治療の場合は、肉体的に負担のかかる治療もあるため、治療内容によってはお仕事を休業したり、配置転換をしてもらうなど、配慮して貰う方が良いケースもあります。
大島さんのように、優先順位を一時的に仕事から不妊治療に重きを置く事で、ゆったりとした気持ちで治療に取り組むことが妊娠への近道となる場合もあります。
杉山愛さんの場合|旅行などの計画を立てていた
元プロテニスプレーヤーの杉山愛さんは、2013年から人工授精を4回、体外受精を1回行い、妊娠されています。
杉山愛さんが体外受精をされる際、治療がダメだったら旅行をすると決めていらしたそうです。
つまり、治療がうまくいったら嬉しいし、うまくいかなくても嬉しいという状況をご自身で作っていたということです。 不妊治療では、治療がうまくいかなかった場合、気持ちが落ち込んでしまう事が多々あります。
患者様の中には妊娠に至るまで一喜一憂し、多大なストレスを抱えてしまう人もいます。 そのようなストレスを抱えた状態では、治療を続けてもホルモンバランスに影響を与えていい結果が出にくくなってしまうということもあります。
そこで、治療の結果が悪かった場合にどう向き合うかを考え、楽しみを作りながらストレスを軽減する努力をされるのはとても良いのではないでしょうか。
このように、仕事をしながら不妊治療に取り組む際、具体的に自分を取り巻く環境を踏まえて、まず何が出来るのかを考えてみてください。そして、出来ることから取り入れてみてはいかがでしょうか。
六本木レディースクリニック小松院長のご紹介
小松 保則 医師 (こまつ やすのり)
経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務 母子愛育会総合母子保健センター愛育病院 国立成育医療研究センター不妊診療科 六本木レディースクリニック勤務 資格・所属学会 日本産科婦人科学会 専門医 日本産科婦人科学会 日本生殖医学会 日本産婦人科内視鏡学会
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