男性不妊の原因と不妊治療の解決策、自分で出来る精液検査とは?
2019/10/22
2019/10/24
今や、不妊症は女性だけの問題ではありません。その原因の半数は男性にもある、と言われています。そこで今回は男性不妊の原因と男性の不妊治療についてご紹介します。
男性不妊患者、18年で約5倍に増加。
男性の場合、何も問題がなければ精子は生涯作られると言われています。ただし、一般的には加齢と共に精液と精子量は減少すると言われています。2015年度の厚生労働省の調査結果によると、男性の不妊患者は18年前と比較してみると、全体でおよそ4.8倍となっています。後述する、性機能障害患者に至っては、約20倍も増加しています。これらは晩婚化を背景に増加傾向にあるとされています。
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男性不妊、その原因は3つある?
男性不妊の場合は、精液検査によって判明するケースが多いと言われており、精液検査をすると、精子の量が少ない・動きが悪かい・奇形率が多くなり・受精率が下がるなど、精液性状低下がみられます。男性不妊は、精子を製造する過程で問題がありうまく精子が作られない「造精機能障害」と、精巣で作られた精子がペニスの先端まで運ばれない「精路通過障害」、性行為や射精がうまくいかない「性機能障害」という大きく3つに分けられます。ここではその原因と男性不妊に対する解決策をまとめます。
男性不妊の原因①造精機能障害について
造精機能障害の症状
精巣内で精子をうまく製造できない症状のことを造精機能障害と呼びます。具体的には、主に睾丸静脈が異常に肥大してしまう精索静脈瘤、精巣が正常な位置(陰囊内)に位置していない停留精巣、染色体の数や形態に異常がある染色体異常(遺伝子異常)、原因不明の突発性の造成機能障害の4つがあります。 ちなみに、男性不妊の原因のおよそ8割が造精機能障害と言われており、そのうち半数以上は原因不明(突発性)と言われています。
造精機能障害の治療・解決策
精索静脈瘤手術や停留精巣固定術などのように精子がうまく製造できるようにする方法と、人工授精、体外受精、顕微授精などの方法で良い状態の精子を採取して受精に繋げる方法があります。なお、停留精巣固定術については、幼少期(生後6か月以降2歳頃まで)に受けているケースが多いため、男性は自分が幼少期に手術を受けていたのかどうかを確かめることをおすすめします。
男性不妊の原因②精路通過障害について
精路通過障害の症状
精巣で作られた精子が、ペニスの先端まで運ばれる途中で路が狭まっていることで正常に運ばれない症状のこと精路通過障害と呼びます。 具体的には、先天的に精子が通る路である精管が形成されていない先天性両側精管欠損症、精巣上体炎などの精管や精管周辺器官の炎症によって精管が閉塞する炎症性閉塞などがあります。また、原因不明である場合も少なくありません。射出されても精液中に精子がいないというケースが多いようです。
精路通過障害の治療・解決策
精路再建手術によって精路(精子の通り道)を作る方法と、体外受精、顕微授精などの方法で良い状態の精子を採取して受精に繋げる方法があります。
男性不妊の原因③性機能障害について
性機能障害の症状
勃起、または射精が上手く行えず、満足に性交が行えない状態のことを広く指します。 具体的には、勃起機能に問題があり満足な性交が行えない勃起障害(ED)、「射精ができない」「精液が出ない」「適切なタイミングで射精できない」などの射精障害の2つがあります。その他にも性欲低下なども症状もあるようです。性機能障害はストレスやうつなどの心因性のものが原因となっている場合があると言われています。
性機能障害の治療・解決策
勃起障害(ED)では、バイアグラやレビドラなどの主に投薬治療が有効だと言われています。投薬治療が有効でない場合、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病がその原因になっている可能性があるため、生活習慣の見直しが必要になることもあるようです。また、射精障害では、症状に応じて投薬治療やトレーニング、カウンセリングが有効と言われています。不妊治療コラムを見る
このように、男性不妊の治療は負担の軽いものから重いものまで様々ありますが、原因が判明し適切な治療ができれば妊娠できる可能性につながるようです。 男性不妊は精液検査の結果によって判明します。パートナーと共に不妊治療を行うにあたって、男性側に不妊の原因がないかを探ることは、女性側の身体への負担を考えた際にとても重要です。まずは男性不妊の原因を特定するためにも、自分にあった病院・クリニックを見つけることが大切だと言えるかもしれません。
男性不妊の検査、自分で出来る精液検査とは?
男性の場合、女性よりも不妊治療クリニックや、病院などに足を運ぶこと自体、抵抗があると言われています。それは、女性が多いクリニックに行くことや、精液検査で無機質に射精を求められることなど、様々な心理的ハードルが高いからだとされています。そこで、最近では、自宅で手軽に自分で出来る精液検査キットが販売されています。それが、リクルートライフスタイルから発売されている「Seem(シーム)」です。このキットの利点は、スマホとアプリを使って、自分自身で射精から精液チェックまで一人で行えるということです。
Seemの中身
①測定チケット(QRコードが付いていて、アプリを起動してから読み取ります) ②スマホ顕微鏡レンズ(スマートフォンのカメラ部分に取り付けて使用します) ③採取用カップ(精子を採取するためのカップで、折りたたみ式です) ④採取棒(精子を採取後、精液をすくいとるために使います)
Seem検査キットの流れ
- Seemのアプリをダウンロードし、測定チケット(QRコード)を読み取る 検査を始める前に、Seemのアプリを予めダウンロードしておきます。 キットの中身を取り出します。Seemのアプリを開いて、測定チケットのQRコードを読み取ります。
- 精液を容器に入れてカップを回す 精液を採取用カップに全量採取し、液化するまで15~30分待ちます。液化が完了したら、カップを回して精液をまぜます。(気泡が入らないようにします)
- 精液をスマホ顕微鏡レンズにのせる 採取棒を折り、先端に精液をのせます。精液をのせた採取棒の先端をレンズカバーのくぼみに密着させるとカバーの下に精液がひろがっていきます。
- 精液の撮影準備をする アプリの撮影画面を見ながら、スマートフォンのフロントカメラにレンズをセットします。 レンズの真上から照明を当てます。スタンドなどが良さそうです。この時、明るすぎて見にくい場合は、画面をタップして明るさを調整することができます。
- 精子の撮影をする。 画面全体が明るく見えたら撮影をスタートします。測定は数分で完了します。濃度・運動率を確認できます。実際に使用した人の声の中には、精子の撮影時の明るさ調整や、顕微鏡レンズがきちんとカメラで確認できるように調整する時にテクニックがいるといった声があるようです。ポイントはレンズの真上から光を当てるのですが、日中、晴れた日の窓際などで横からの光の場合エラーとなってしまうため、蛍光灯や懐中電灯などを上から当てると良さそうです。エラーの場合は成功するまで何度でもやり直すことができます。使い方のポイントは購入サイトでも説明されているようです。
また、こちらのキットは1回分となっており、チケットを読み取った時に測定を開始することになります。キットが届いたからといって、すぐにアプリを起動してチケットを読み取るのではなく、自分の状態をきちんと整えてから検査を行うようにしたほうが良さそうです。また、Seemでの精液検査の結果を見て、精子の運動率が悪い、量が少ない、といった結果が出た場合には病院に行き、あらためて検査・治療をすると良いでしょう。
最後にSeemを利用された男性、そのご夫婦のインタビュー動画をご紹介します。この動画を見ると、不妊治療は男性の協力がいかに重要で、精子の状態を早く知れば知るほど、パートナーの負担も減らせるのだという事が分かるかと思います。是非一度、チェックしてみてください。
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