煎じ薬の誠心堂取材#2|鍼×不妊治療について
2018/08/31
2022/02/02
漢方薬だけを扱う漢方薬局が多いなか、誠心堂は東京・千葉に10店舗の鍼灸院を展開しています(2016年11月時点)。鍼にはどんな効果があるのか、不妊治療にどう影響するのか、漢方薬局とほぼ同数の鍼灸院をもつ誠心堂薬局の西野先生にお聞きしました。
鍼の効果とは?
鍼は刺す場所や刺し方を調整することで、血流を集めたり巡らせたりすることができるのです。 (血流を集めるときは)鍼は一本打つだけでも体温を上げることができます。血流をグッと集める効果があるから、薬もそこに届きやすくなります。だから鍼と併用して漢方薬を使えばもっと効き目がよくなるのです。 また、血流を巡らすときは痛みを取るためやうっ血炎症を解消するためにも鍼を打ちます。経脈を通って血流を良くすることができるので。たとえばアトピー性の皮膚炎は冷やす性質の薬を使いますが、それは胃腸までも冷やしてしまうことになります。しかし、鍼を併用すると、熱を取る部分は鍼で対応することができるため、胃腸に負担をかけず漢方薬を使うことができます。 関連リンク ▶煎じ薬の誠心堂取材#4|漢方について
不妊治療における鍼の効果は?
不妊治療など婦人科の漢方薬であれば、骨盤の中に血流を集めることで効き目をよくします。 たとえば(体重が)50kgの人だと4.5リットル程度の血液が体の中にあります。それは急に増えたり減ったりしないのです。その血液を頭で使う、内臓で使う、となっていくと、子宮・卵巣・精巣などの優先順位は後の方になっていきます。生死に関わる重要な臓腑は優先順位が高く、血液が循環しているからです。特に現代人はストレスで頭に血流が溜まっています。 だから、婦人科の薬の効き目があまり良くないのです。さらに血流の分布は年齢と共にますます偏ります。30-40代になると卵巣も小さくなり、血流も低下してしまいます。だから、まずは骨盤の中の臓器に血流を集めてあげることが必要なのです。 参考)鍼の負荷前後の体温変化
体調がいいかどうかはどこを診ればわかる?
我々は脈やツボの反応点を診ています。ツボは治療点であり反応点です。何かの病気がある人は特有のツボが痛かったり、反応が悪かったりということがあります。たとえば睡眠不足の方は舌の先が赤かったり、呼吸が弱い人は右の寸口脈が弱かったりします。 一般的にツボは治療点として使われがちですが、反応点としても診察に使えます。その際には、足の裏のツボだけではなく、全身の十四経脈を見ていくのが正統なやり方であると考えています。まずは、正経(せいけい)十二経脈、督脈、任脈という合計、十四経脈を使って診断します。その中のツボを使いながら、内臓の反応のでやすい五要穴を診ていきます。
鍼か漢方、どちらかをさきに始めてみるのは?
鍼と漢方は両方使うべきものだと考えています。漢方薬は患部に届いてはじめて効果が発揮されます。つまり、子宮の病気に対しては、子宮に漢方薬が届いてはじめて効果が出るのです。その時に、骨盤内の血流が良くなければ、漢方薬の効果も出ない、もしくは出にくくなります。 関連リンク ▶煎じ薬の誠心堂取材#1|漢方×不妊治療について
鍼と漢方はどう併用していくのが効果的?
我々は、子宮に行く血流量を上げる方法として、不妊向けの「誠心堂式三焦調整法(さんしょうちょうせいほう)」を開発しました。この手技で血流を集め、漢方薬を合わせて使います。特に35歳以上の方は漢方薬だけでは効果が見られにくいこともあるので、三焦調整法という鍼灸治療で血流を集め、「周期調節法」で漢方薬を子宮や卵巣に向かわせるのがよい方法と考えています。これにより、短い期間で効果が出やすくなりました。
体外受精など高度不妊治療と鍼・漢方薬の併用は?
鍼や漢方薬を使うことで、いま高度不妊治療を受けている方も、卵子がより良い状態になると考えられます。鍼や漢方はもともとその人が持っている潜在能力を引き出すことになるからです。 たとえば体外受精で採卵を何度も繰り返していると、卵巣が疲れてくるということも起こります。そのとき鍼や漢方を使うことで、ダメージを減らしてくれます。鍼には炎症を抑える効果もあります。さらに、着床率が20%上がるデータも発表されています。 関連リンク ▶煎じ薬の誠心堂取材#6|治療を受けた患者様の声
鍼灸院を併設された理由も、漢方薬との併用をすすめるため?
その通りです。ちなみに15年前までは神経痛、リュウマチのような一般的な鍼灸をやっていたのです。以前は漢方薬で対応できない疾患を鍼灸のほうで対応していました。 ただ15年ほど前から、鍼灸には鍼灸の得意な分野があるだろうと考えるようになったのです。血流を患部に集めたら効きがよくなるのではと、この10年ぐらい鍼灸と漢方を融合させるような治療をやってきて、現在に至りました。 最初は鍼か漢方薬かどちらかでよいと考えられる方が多いと思いますが、私は鍼と漢方薬を併用するほうが、効果が上がると確信しています。
煎じ薬と鍼灸を併用された方へのインタビュー
*漢方服用期間1年9カ月にて、42歳で自然妊娠されたお客様の声を一部抜粋・編集しています。
流産を繰り返していたので、その為に体の中から何か改善した方がいいのではないかという事が頭にあったので近所であり、妊娠された方の記事も読んで、誠心堂を訪れました。
元々低体温だったのですが、体温も上がってきたり、末端の冷え性もあったのですが、それもなくなり、体の中が「あっ、改善されてるな」というのもわかったので、「頑張れるな」と思って続けられました。(省略)鍼灸を始めてから(子宮)内膜も厚くなりまして「効果が出ているんだな」というのを実感しました。
*全インタビュー内容は動画でご覧いただけます。
西野先生と誠心堂薬局について
漢方専門家 西野 裕一(にしの ゆういち)先生
株式会社誠心堂薬局の代表取締役。薬剤師、鍼灸師、国際中医師。 北京で婦人科の先生との出会いをきっかけに不妊治療に興味を持ち、中医学の両輪である漢方と鍼灸双方の力を最大限に活かした治療が受けられる場として鍼灸治療院併設型の店舗漢方館を開設。現在は多数のメディアから取材依頼を受け、漢方の啓蒙活動にも積極的に取り組まれている。
誠心堂薬局
昭和62年に千葉県市川市に開局し、漢方薬・鍼灸・養生学の3本柱で中医学を行っている。現在は関東に21店の漢方薬局+鍼灸院の拠点をもち、随時妊活セミナーも開催。21名の中医師も在籍している。11年間で3080名の方を妊娠に導いた実績もある、人気の漢方薬局である。 HP:https://www.seishin-do.co.jp/ ◆セミナー日程一覧はこちら https://seishin-do.co.jp/seminar/ninkatuichiran.html
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