アメリカの不妊治療[最終回]通院にストレスがかからない?驚きの連携システム
2019/01/15
2019/01/15
日米両方の不妊治療経験があるアメリカ東海岸在住のマナミさんによる、アメリカでの不妊治療体験レポートの最終回です。アメリカと日本の不妊治療には、待ち時間や通院回数などに大きな差があるようです。アメリカでは通院のストレスがほとんどなかったというまなみさん。いったいアメリカの通院システムはどのようなものなのでしょうか。まなみさんの体験を見ていきましょう。
日本での治療|人気病院では長い待ち時間との闘いも
日本で体外受精(IVF)を受けたことがないのですが、タイミング法と人工授精を日本の病院で受けていた時、病院での待ち時間はとてもストレスでした。
不妊治療は病院や先生によって妊娠成功率がかなり違いますので、私は自分が納得のいく病院(先生)で治療を続けていました。
通院していた総合病院は、不妊治療において日本でも指折りの人気の先生がいることもあり、病院外来が始まる朝8時半より前から外に並び、整理券をもらいます。それでも呼ばれるのが11時になることもザラでした(予約をしていた場合でも同じように待ちます)。
先生と数分話したら、会計や薬でさらに30分〜1時間待ちと、半日以上つぶれてしまうことが普通でした。私は人工授精だったので通院回数も月に4〜5回で、仕事との調整も難しく、通院回数の増えるステップアップは現実的に無理と感じていました。また、待合室で他のたくさんの患者さんに囲まれて、なんとなく重い雰囲気の中で待つ数時間も好きではありませんでした。
アメリカでの治療|出社時間前の通院が可能?
日本での通院に対し、アメリカで通院してびっくりしたのは、まず待ち時間が極端に少ないということ。初診で先生と治療方針を決めた後の通院は、エコーか血液検査のためが多いと思いますが、アメリカで通院した病院では、これらの検査は午前7〜9時のみの受付でした。
他の病院でも不妊治療専門病院の検査時間は、朝の7時代のみだったりします。つまり、朝仕事に行く前に寄って行けるいうこと。
エコーは医師が行ない、血液検査は技師の方が行ないますが、受付で名前を伝えて5分ほどで呼ばれ、検査も5分以内に終わります。アメリカでは通常当日に会計をすることはないので、検査を受けたらそのまま帰宅します(後日保険会社から請求がきます)。
ちなみにエコーの際、医師と検査結果がどうだとかの話は全くしません。気になることがあれば、主治医か担当ナースに電話かメールで聞いてね、といった感じです。
病院で待たずに、自宅最寄りの薬局で薬をピックアップ
そして検査を受けた当日の午後、担当ナースから電話があり、血液の数値やエコーの結果を詳しく教えてもらいます。体外受精中は注射や飲み薬の量を血液中のホルモン数値によって調整しますので、「今夜から薬の量は○○に変更してください」と口頭で指示を受けます。
新しい薬が必要な場合は、自分の家から一番近い薬局に処方箋の電子データが医師から送られ(日本のドラッグストアでも受けつけてくれるようです)、大体送られてから10分程で、「薬が用意できました」と薬局から携帯に自動メールが入ります。あとは好きな時に取りに行けばOKなのです。
注射は皮下注射だけでなく、筋肉注射も毎日自己注射しなくてはいけませんが、それも含めてアメリカでは病院に行く回数や時間を徹底的に少なくしていると思います。
通院ストレスなく治療を受けられる理由はほかにも
私はアメリカで治療を始めた時、仕事はしていませんでしたが、体外授精となると一ヶ月の半分以上は病院に通うことになるので、この待ち時間が少なかったり、検査結果を病院で待つ必要がなかったのは、本当にありがたかったです。
検査を受けても朝7時半には帰宅できるので、出社前の夫に頼んで子供を見てもらい、通院することができました。
また、病院の待合室がホテルのように綺麗で明るい雰囲気で、無料のコーヒーや紅茶のサービスがあったり、待っている患者の数は多くても2〜3人だったりと、居心地の良い空間でした。
ちなみにこの後、引っ越しをして知ったのですが、医師からのオーダーをメールでもらっておけば、血液検査だけをしてくれるlab-corpなどの場所(医師が不在で、技師だけが何人も常駐している場所)が全米中にあります。
不妊治療のエコー検査だけをしてくれるオフィスも多数あるため、体外授精の採卵や移植以外の日は、自宅近所のオフィスで検査だけすることも可能です(エコー検査のオフィスは大体早朝のみ開いています)。検査結果は、電子データで自分の主治医に送ってくれます。
改めて感じる日米での治療・通院の違い
以前日本で治療を受けていた時は、不妊治療はなんて身体の負担が大きいのだろう、といつも感じていました。しかしアメリカで待ち時間の少ない、日常生活を変えなくても治療ができる環境になって初めて、私が感じていた負担は、身体への負担よりも、通院ストレスなど、精神的な負担が大きかったのだと気づきました。
通院のストレスがほとんど無い状態で治療を受けることができるのはアメリカで不妊治療をする上でのメリットだと感じます。
一方で、これまでのコラムでお伝えしたように、医療費がとても高いことがアメリカで治療する上でのデメリットではないかと思います。
不妊治療において今後、日本とアメリカ、それぞれの良さが取り入れられてほしいと思います。
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