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不妊治療は医療費控除の対象?|条件と申請方法まとめ

      2018/10/02

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不妊治療では、治療費を捻出できないために治療を諦めざるを得ないという声も少なくないようです。年齢とともに妊娠の可能性が限られると言われている不妊治療当事者にとって、「治療を先送りにする」ということは、誰もが避けたい選択肢でしょう。今回は妊活・不妊治療において経済的負担を少しでも軽くする可能性のある医療費控除の制度について解説します。また、複雑な医療費控除の申請方法や注意点についてもわかりやすくご紹介していきます。

医療費控除とは?

医療費控除ってどんな制度?

医療費控除とは、1年間に支払った世帯の医療費が10万円を超えた場合、確定申告をすると10万円を超えた部分が年間所得から差し引かれるという仕組みです。医療費控除をすることで、その年度の所得税が再計算され、払いすぎた所得税が還付金として手元に戻ってくることになるそうです。

医療費控除|申請のメリットは?

医療費控除を申請することで還付金としてお金が戻ってくる以外にも、実はもう一つお金のメリットがあります。それは、翌年6月からの住民税が安くなる可能性があるということです。
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住民税の軽減額計算式は、医療費控除額×一律10%となるため、医療費控除を申告しておくと住民税が軽減されることになるようです。また、住民税が減税されると出産した場合の保育料も安くなるというメリットもあるようです。これは、保育料が住民税をもとに算定されるためです。

控除の対象になる不妊治療の種類は?

体外受精・人工授精といった不妊治療自体の治療費は医療費控除の対象になりますが、治療費以外にも、通院のための交通費も対象とされています。また、医薬品の購入費については、国税庁のページではこのように明記されています。

治療又は療養に必要な医薬品の購入の対価(風邪をひいた場合の風邪薬などの購入代金は医療費となりますが、ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金は医療費となりません。)

妊活や不妊治療のためにサプリメントを服用されている方も多いかもしれません。上記の規定に則ると、自発的にドラッグストアなどで購入したサプリメントなどの購入費は、医療費と見なされないことになりそうです。

医療費控除の対象になる項目
◯不妊治療の検査代、治療費、薬代
◯不妊治療のための鍼治費やマッサージ代
◯通院に使用した公共交通機関の交通費(タクシーは足を怪我したなどの理由で使用した時のみ)

医師から処方されたサプリメントの購入費は対象になる?

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上記の規定だけでは、医師から治療の一環として処方されたサプリメントの購入費が対象になるのか自分では判断が難しいところだと思います。これに関しては、過去に裁判になったこともあるようです。
医師から医療費控除の対象となると言われて治療用のサプリを購入し、その購入費を含めて医療費を申告した夫婦の事例です。1年目は還付を受けたものの、2年目も同様に申告したところ、一転して税務署から「サプリ代は医療費控除の対象外」と指摘を受けたそうです。税務署の判断の取り消しを求めて夫が提訴しますが、東京地裁は、医療費控除の対象とみなされないと判決をくだしたそうです。医師に控除の対象になるとして服用を促される場合も、こうした事例があることに留意して、費用の負担を考えた治療計画を立てていくのがよいかもしれません。

医療費控除を受ける条件は?

助成金を受け取っていたり、入院などで保険金が補てんされたり、高額療養費が支給されたりして医療費の負担が軽減されている場合は、医療費のすべてを控除の対象にすることはできないようです。1月1日~12月31日に支払った医療費総計から、不妊治療で受けた助成金の額・医療保険の給付金・健康保険の高額療養費をすべて差し引いた額が10万円を超える場合、医療費控除を受けることができるようです。

助成金を受けていても控除は受けられる?

助成金を受け取っている場合、医療控除を受けられないのではと思われる方も多いかもしれません。実際には助成金を受けていても、差し引かれた医療費の額が10万円を超えていれば控除を受けられるそうです。

医療費控除|知っておくべき点は?

医療費控除を利用すれば、少なからずも家計の負担が軽減されるのがお分かりいただけたのではないでしょうか。ですが、治療の終わりが読めない不妊治療においては、医療費控除を利用する上でさらに知っておくと良い点がいくつかあるようなのでお伝えしていきます。
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控除上限額と不妊治療にかかる総額を把握しておきましょう

医療費控除の対象上限金額は年間200万円までです。不妊治療は、治療によっては1回あたりの治療費が高額になり、総額で200万円を超える治療費を支払っている方も少なくありません。

不妊当事者1993人を対象にNPO法人Fineが2012 、13年に実施した「不妊治療の経済的負担に関するアンケート Part2」のアンケートによると、「治療を開始してから、これまでに支払ったと思われる治療費の総額は?」の答えで最も多かったのは「100 万~200 万円未満」の 495 人(24.8%)。次いで「10 万~50 万円未満」の 375 人(18.8%)、「50 万~100 万円未満」の 352 人(17.6%)で、「100 万円以上」かかった人の割合は、55.1% (1,099 人)と半数を超えていたそうです

医療費控除で還付金が得られることに越したことはありませんが、治療費が高額になればなるほど、家計への負担は医療費控除だけでは抑えられないこともあるかと思います。

還付金が受け取れるまでに時間がかかることを念頭に

また、医療費控除は1月1日~12月31日の1年間にすでに支払った治療費などに対して、翌年2月~3月の確定申告をすることで還付金が戻ってくるという制度のため、今取り組みたい治療に資金が必要である場合には、資金捻出において早急な解決策にはならないということに留意しておくといいかもしれません。

そのほかに治療費の捻出方法はある?

今必要な治療のための資金をまかなう方法として、銀行が扱っている不妊治療専用のローンのサービスがあります。お金の不安を少しでも軽減して治療に臨める方法として、そうしたサービスが利用できることも知っておくと良いかもしれません。

医療費控除の活用で税金はいくら戻ってくる?

年収600万のAさん
医療費を50万円支払った場合⇒4万円(還付金として戻ってくる)
医療費を100万円支払った場合⇒8万円(還付金として戻ってくる)

年収800万のBさん
医療費を50万円支払った場合⇒8万円(還付金として戻ってくる)
医療費を100万円支払った場合⇒18万円(還付金として戻ってくる)

▶︎医療費控除の計算方法について詳しくはこちらへ。

医療費控除|手続き方法は?

医療費控除の手続き方法①|申請に必要なものは?領収書は不要?

平成29年(2017)分の確定申告から、領収書の提出または提示が不要とされています。その代わりに、「医療費控除の明細書」を提出することになっています。医療費控除の明細書には、下記の事項を記載する必要があります。

1.医療を受けた方の氏名
2.病院・薬局など、支払先の名称
3.医療費の区分
4.支払った医療費の額
5.4.のうち、生命保険や社会保険などで補てんされる金額

ここで注意すべき点は、領収書の提示・提出は不要になったものの、医療費控除の内容を確認するために、「医療費の領収書」の提示・提出を求められる場合があるということです。国税庁のページでは、「確定申告期限から5年間、自宅等で領収書を保管しておくよう」記載があります。また、平成31年分の確定申告までは、医療費控除の明細書の提出に変えて、医療費の領収書の提出・提示でも申請ができるようです。

「医療費控除の明細書」や「確定申告書」は、国税庁の「確定申告書作成コーナー」のページで作成することができます。

<医療費控除に必要な書類>
〇医療費の領収書(治療費以外にも、交通費の領収書も取っておく)
〇源泉徴収票
〇医療費控除の内訳書

医療費控除の手続き方法②|申請時に慌てないコツ

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こまめに領収書を集め、excelなどでデータ入力・管理しておくとよいでしょう。家計簿アプリを利用するのも良いかもしれません。国税庁の医療費集計フォームなど、便利なフォームもあるので、領収書の管理に負担をかけすぎず、簡単に記録ができるツールを探して利用するのがおすすめです。

通院のための交通費は1回あたりは少額でも通院回数が増えれば決して低くはない額になります。少し面倒な作業になるかもしれませんが、経済的負担を少しでも取り除くためにも、領収書の記録を習慣づけておくのがよさそうです。

医療費控除の申請②|いつ申請すればいいの?期限はある?

確定申告の申告期間は毎年2月中旬から3月中旬までとされています。医療費控除は、払いすぎた税金が還付金として戻ってくるというものであるため、確定申告の必要がない方は、還付申告をする年分の翌年1月1日から5年間、申告を行うことができるようです。

フリーランス・個人事業主の方や、確定申告を自分でしなければならない方は、確定申告時に一緒に医療費控除の申請をする方が多いようです。

不妊治療を終えても、生活をしていくうえでお金は常に必要な場面が出てくるでしょう。不妊治療で妊娠・出産をすればその先には子育てや自身の老後といった家族のライフステージに合わせて費用が必要になってきます。今回ご紹介した医療費控除をはじめ、活用できるものをしっかりと活用し、少しでも経済的負担を軽くして不安な気持ちも減らしていきましょう。
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