顕微授精のスケジュールとは?|採卵から妊娠判定まで
2016/05/13
2019/12/10
今回は採卵から妊娠判定までの顕微授精のスケジュールについて紹介しています。また、『顕微授精まとめ|費用やリスク、受精率、ブログとは?』では顕微授精の費用やリスクなどをまとめています。
顕微授精のスケジュール①:採卵までの準備
採卵までのスケジュールは、全周期の処置や卵子を育てるための卵巣刺激が中心です。母体の卵子の状態や体質によって、個人に合わせた卵巣刺激方法が検討されます。
1.採卵前周期の処置
顕微授精に備えて、ホルモン(プラノバール)を排卵後2日目頃から内服し、月経周期を調整する場合があります。
排卵がうまくいかない場合、月経直後からピルを用いて、卵子の育成にベストな環境を整えていきます。
2.卵子の育成(卵巣刺激)
顕微授精や体外受精では、1回の採卵でなるべく良質な卵子がたくさん採れるように卵巣刺激を行いますが、卵巣刺激の方法には下記の6つがあります。決定した卵巣刺激の方法により、注射や点鼻薬、内服薬を始めるスケジュールは異なります。
ロング法
採卵前周期の月経後21日目頃にあたる、黄体中期から「GnRHアゴニスト」という早期排卵を抑止する点鼻薬を開始し、月経3日目から排卵誘発剤(HMG/FSH)の注射を7~10日毎日行います。
点鼻薬は、基本的に採卵日の2日前まで継続します。
ショート法
月経の初日から「GnRHアゴニスト」点鼻薬を開始し、月経3日目から排卵誘発剤(HMG/FSH)を7~10日間毎日注射します。
点鼻薬は、基本的に採卵日の2日前まで継続して使用されます。
ウルトラショート法
月経3日目から点鼻薬を1日3回、両方の鼻に行い、月経3日目から排卵誘発剤(HMG/FSH)を7~10日間毎日注射します。
点鼻薬は、基本的に採卵日の2日前まで継続して使用されます。
アンタゴニスト法
排卵を抑制するための点鼻薬ではなく、「アンタゴニスト」という薬を用います。
月経3日目から排卵誘発剤(HMG/FSH)の注射を開始し、1番大きな卵胞が13mm~14mmに成長したタイミングでアンタゴニスト注射をスタートします。
アンタゴニストの注射は、1周期の間に2~5本用いられます。
自然周期
卵巣刺激を行っても卵胞の発育が少ない場合や、卵巣の機能が低下している場合に行う方法です。
自然な卵胞発育に合わせてマイルドに卵巣を刺激し、採卵します。
クロミッド周期
自然周期による卵巣刺激でも、発育卵胞数を増やして排卵を抑える目的で、クロミッドやアンタゴニストの注射が有効な場合があります。
月経3日目から、クロミッドまたはセキソビットを5~7日間服用します。
女性の体質や卵胞の状況に応じて、数日の間 排卵誘発剤(HMG/FSH)注射を併用する場合があります。
顕微授精のスケジュール②:採卵~胚移植まで
採卵前の準備が整ったら、採卵から顕微授精、胚移植といったスケジュールで治療が進められます。
1.採卵(OPU)と精子採取、精子の洗浄濃縮処理
採卵は、一般的に外来で行われ、入院の必要はありません。卵巣に直接細い針を指して卵を採りだします。育った卵子が全てとれた後、麻酔の種類や有無によって休息時間は異なりますが、約2時間ほどベッドで休み帰宅します。採卵による痛みの強さは個人差もあるため、どうしても痛みが不安という場合は静脈麻酔を施してくれる病院もあるので、相談してみると良いでしょう。
採卵の当日、3~5日間の禁欲の上、男性は精子を自宅または採精室で採り持参します。採取した精液は、洗浄や濃縮処理が行われます。
2.精子の選別
精子の形態や運動能力を評価し、各病院の基準を元に胚培養士によって優良な精子が1つ選ばれます。
3.顕微授精(ICSI)で精子1つを卵子に注入
女性から採卵した卵子の細胞質の中に、精子を1つ直接注入し受精を待ちます。
採卵の翌日、2つ並ぶ卵子由来の前核と精子由来の前核がそれぞれ見られれば、受精成立と判断されます。
4.受精卵の培養と分割、良質な受精卵の選別
受精卵は一般的に、採卵後2~3日目に4~8細胞の初期胚、採卵5日目に胚盤胞にまで分割します。
ここで胚の分割スピードと、状態から胚にグレードがつけられ、着床率が高いと思われるグレードの良い良好胚が選ばれます。
5.胚の凍結保存
女性の子宮に移植する胚を選別し、残った胚は凍結保存します。
母体の体調によって凍結保存のスケジュールは変わり、子宮内にすぐ移植せず、全て凍結保存する場合もあります。
6.アシステッドハッチング
母体に胚移植を行う前に、着床しやすいように卵殻(透明帯)を薄くしたり破くなどして、胚の脱出を手助けすることをアシステッドハッチングと言います。
卵の質に応じて、この工程が加えられます。
7.胚移植(ET)
母体の体調に応じて、移植のスケジュールは調整されます。
胚移植の方法には2種類あります。
新鮮胚移植
初期胚または、胚盤胞を採卵周期に母体の子宮内に戻し、着床を期待する移植方法です。
凍結融解胚移植
採卵周期以外の周期に、子宮環境を良好な状態に整えるスケジュールを経て、凍結融解した胚を移植します。
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顕微授精のスケジュール③:胚移植後~妊娠判定まで
顕微授精を経て胚移植の後には、下記のスケジュールで妊娠をフォローするための投薬がなされ、妊娠判定、妊娠成立という流れで進みます。
1.妊娠をフォローするための黄体補充
内服薬や注射、膣錠などの黄体ホルモン剤を用いて黄体ホルモンの作用を高めることで、着床を促進し流産を予防します。
2.妊娠判定
着床は採卵から約1週間後です。
月経予定日頃になると、胎盤となる組織からhCGが分泌され、妊娠判定が可能になります。
3.妊娠成立
妊娠5週目に、子宮内の胎嚢か確認出来れば臨床的妊娠、妊娠6週目に胎芽の心拍が確認されれば妊娠成立となります。
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