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顕微授精のリスクとは?生まれてくる子どもへの影響は?

      2019/04/12

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今回は生殖補助医療の一つ「顕微授精」のリスクについてご紹介します。障害児が生まれてくる確率や、そもそもその事実はあるのかなども解説します。

顕微授精とは?どんな人が対象?

顕微授精とは

顕微受精は、顕微鏡を使いながら精子を極細の針で卵子の中に注入して受精させる方法です。

一般的にはタイミング法で妊娠できないときに、次のステップとして人工授精。その後のステップに体外受精や顕微授精へ段階的に移行していきます。

一つの卵子と複数の精子を容器に入れて受精させるのが体外受精です。

事前に採取した卵子と精子から、それぞれに一つずつ質の良いものを選んだものを使用し、人為的に受精させる顕微授精です。1回の妊娠率は約20%で。人工授精や体外受精に比べると確率が高い方法です。

治療が複雑になるので顕微授精の費用は高額になり、精神的・身体的な負担も大きくなります。

顕微授精の適用対象とは?

顕微授精を行う対象は、顕微受精を受ける以外には妊娠することが難しいケースです。具体的には「受精障害」と「男性不妊」が当てはまりますが、卵子に異常がないことが前提となります。「勃起障害」や「射精障害」など、性機能が低下している人にも有効とされています。

受精障害があると、卵子と精子は受精することができません。精子が卵子の中に入れない場合と、卵子が精子と反応しない場合があり、どちらも通常の検査では分かりません。

男性不妊にはいくつか種類があり、精液中に精子の数が少ない「乏精子症」、もしくは精子の活動率が少ない「精子無力症」。また、ほとんど精子が確認できない「無精子症」が挙げられます。

また、不妊治療を開始する女性の年齢が高いと、早い段階で体外受精を行うことがあります。時間をかけて治療を段階的に行っていると、年齢により卵子の質が低下して妊娠率が下がってしまうからです。
顕微授精の詳しい流れや妊娠確率について

顕微授精のリスクとは?

障害児が生まれる確率が高くなるって本当?

日本では、顕微授精によって障害児が生まれる確率が高くなるという大規模な研究結果は現在のところありません。それなのに、障害児というイメージがささやかれるのはなぜでしょう。

これには、いくつかの理由があります。

顕微授精を行う方の多くは、タイミング法や人工授精などのステップを経て、年齢層が高めになる傾向があります。

女性の年齢が高くなると染色体異常児の出産リスクが高くなる傾向があるので、顕微授精によって障害児が生まれるというイメージにつながっていると考えられます。

また、受精方法も障害児に関する不安を抱くひとつでしょう。極細とはいえ、卵子に針を刺す行為によって卵子に何らかの影響が出るのではないかと考える人もいます。

さらに海外では妊娠方法の違い(自然妊娠、生殖補助医療)で、生まれてくる子どもが障害をもつリスクに違いがあるという研究報告がされていることもあります。

「自然妊娠や体外受精で出生した赤ちゃんに比べて、顕微授精で出生した赤ちゃんは障害をもつリスクが1.5倍以上増大する」という海外の研究が、2012年に医学会誌で発表されました。

ほかにも「生殖補助医療(体外受精や顕微授精)で出生した場合、自然妊娠と比べて自閉症スペクトラムのリスクが2倍」「体外受精や顕微授精は、自然妊娠と比べて脳性麻痺リスクが2倍」という海外の研究結果がいくつか報告されています。

ここで紹介した研究は海外のものですが、日本人に関係がないとは言い切れません。海外データでも、顕微授精と障害児のリスクについては頭の片隅に置いておくほうが良さそうです。

顕微授精は自然妊娠では受精できない精子や卵子でも受精させることができます。卵子と精子の選定も見た目によるところが大きく、遺伝子的な異常のあるものを使用している可能性もあります。

しかしながら日本には、顕微授精とダウン症や染色体異常の関係について、医学的根拠がいえるほどのデータがありません。

一般的には顕微授精
が原因というよりは、治療をする年齢層が高いことが大きな原因と考えられています。

「出典:https://gendai.ismedia.jp/articles/-/14965講談社 現代ビジネス 体外受精や顕微授精は子供の脳性麻痺リスクが高い!  最終閲覧日2019年3月4日」

「出典:https://www.excite.co.jp/news/article/Joshispa_20170703_00720567/?p=4exciteニュース 女性コラム 不妊治療と、子どもの発達リスク…日本では知らされない大問題 最終閲覧日2019年3月4日」

顕微授精で双子が生まれやすくなる?

以前の顕微授精では、妊娠率を高める目的で一度に複数個の受精卵を子宮に戻していたので、自然妊娠と比べて多胎妊娠(双子以上の胎児を妊娠)の確率が高くなっていました。

多胎妊娠は早産になりやすく、未熟児のリスクがあります。母体も妊娠中に合併症を起こすなど、妊娠を継続するうえで母子の負担が大きくなるハイリスクの妊娠です。

現在では、子宮に戻す受精卵は原則、一度に一つとガイドラインで決められています。戻す受精卵を一つにして多胎妊娠は数%にまで減りましたが、一卵性双生児の出生率は自然妊娠に比べると2倍の確率です。

一つの受精卵しか戻していないのに多胎妊娠になるのは、受精卵を体外で培養していることが影響しているのではないかと言われています。

子宮に戻す受精卵は原則一つと決まっていますが、生殖補助医療で続けて2回以上妊娠できないケースや女性の年齢が35歳以上など、場合によっては2個まで戻しても良いとされています。

つまり、体外受精をする女性の年齢が35歳以上になると、受精卵を二つ戻す方法もできるので多胎妊娠の可能性も高くなります。

「出典:https://www.hanabusaclinic.com/images/mt_upload/column/本誌%E3%80%80生殖医療のお話%20その15.pdf英ウィメンズクリニック 体外受精と多胎妊娠 薬事日報 第11396号 (2014.3.10) 生殖医療のお話 最終閲覧日2019年3月4日」

「出典:http://www.asahi.com/science/intro/TKY201204110772.html朝日新聞デジタル ニュース サイエンス 体外受精卵、1つでも多胎 確率、通常の2倍に 最終閲覧日2019年3月4日」

顕微授精のリスクを避けるには?

顕微授精
ここまで顕微授精のリスクとして、障害児と多胎妊娠についてお話しました。

障害児を妊娠しやすいのではないか、多胎妊娠するのではないかという不安については、実は自然妊娠でも同じです。

年齢が高くなればなるほど障害児や多胎妊娠のリスクは高くなるので、自分にとって子どもを授かることが一番望むことであり、顕微授精が有効と考えられるケースであれば、リスクや費用について夫婦で納得したうえで治療に取り組んでくださいね。

執筆者

小坂 恵
看護師。総合病院(婦人科、外科、脳神経外科、整形外科、放射線科など経験)で6年勤務し、出産を機に退職。2人目出産後、美容皮膚科・形成外科クリニックと訪問看護ステーション(ダブルワーク)で看護師として復職し、3〜5人目の妊娠・出産を経て現在6年目。看護師を続けながら、Webライターとして美容、医療、健康系の記事を主に執筆。美容の認定専門家として記事監修・コメント執筆を行っている。