キーワード一覧
閉じる

AMHってなに?数値が低いとどうなる?妊娠率との関係は?

      2019/07/08

AMHメイン

近年注目を浴びているAMHですが、不妊検査を受けて初めてこの言葉を聞いたという方も多いと思います。この記事では「AMHとは何か?」「それを不妊治療でどう活用すればよいか」を解説します。

AMH(抗ミュラー管ホルモン)とは?

OGA5I60-minAMH(抗ミュラー管ホルモン)とは、発育過程の卵胞から分泌されるホルモンです。

ミュラー管とは、生まれる前の男女に分かれる段階で発現する器官であり、発育すると卵管や子宮となります。

AMHは加齢とともに分泌量が減り、治療によって値を上げることはできませんが、不妊治療において「卵巣予備能」を知ることに役立ちます。

卵巣予備能とは、卵巣内の残っている卵子数のことで、「卵巣年齢」や「卵巣機能」とも言われます。

毎日産生される精子と異なり、卵子は出生時に一生分の個数が決まっているため、生まれたときからカウントダウンが開始され、年齢とともに減少していくのです。

思春期には数十万個ある原始卵胞も、閉経時には数千個にまで減少しますが、卵巣予備能は個人差が大きく、20歳代でも低くなってしまっている人がいる一方で、40歳代でも十分高い人もいるのが特徴です。

また、AMHが低くても妊娠する人もいる一方で、数値が高くても妊娠できない方もおり、基準値や・基準値や正常値といったものの設定が難しく、他者と比較するものではないということも知っておきましょう。

AMHが異常に高い場合は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の可能性もあるため、AMH検査を行うことで、そうした不妊の原因になりうることにも気づくことができます。

卵巣予備能の数値から、ご自身の年齢や周囲との比較をするというよりも、検査を通して現在の自分の状態を把握することが重要です。

AMHは血液検査によって知ることができます。他のホルモンと違い月経周期の影響が小さいため、いつでも検査が可能なのが利点です。

AMHによる卵巣予備能の予測の精度はかなり高く、正確に卵巣内に残っている卵子数を知ることができます。

AMHは妊娠率ではない

注意が必要なのが、「AMHが低い≠妊娠率が低い」ということです。AMHが示す数値はあくまでも卵巣内に残っている卵子の数であり、卵子の質を示しているわけではありません。

卵子の質が低下すると、妊娠率も低下します。卵子の質の低下は、卵子の老化とも言い換えることができ、残念ながらこの検査では調べることはできません。一般的に、卵子の質は年齢に相関し、年をとるほど低下すると言われています。

AMHが低くても受精できる卵子が残っていれば自然妊娠・出産は可能です。極端に言えば、AMHの値が0 ng/mlでも卵子がなくなったわけではなく、血液中のホルモンの値が0 ng/mlというだけであって、卵子が残っていることもあります。

しかし、不妊治療で排卵誘発をする際の卵胞数と卵巣予備能は大いに関係します。AMH検査によって卵巣予備能を知ることで、不妊治療が可能な期間の長さや不妊治療の成功率の高さを知ることができます。

AMHが低い人も高い人も注意が必要

AMH値は低い人も高い人も注意が必要となります。AMH値が低すぎる場合は妊娠可能なタイムリミットが迫っていることを意味し、AMH値が高すぎる場合は卵巣過剰刺激症候群のリスクがあるからです。

AMH値が低い人は、卵巣予備能が低く自然排卵が起こりにくくなります。また、AMH値が下がるほど排卵誘発剤に対する反応が弱まり、不妊治療の成功率が低下してしまいます。

そのため、AMH値が低い人は不妊治療ができるタイムリミットが迫っていることを意識しなければなりません。パートナーと相談した上で、早期に不妊治療を開始し、治療のステップアップも早めに検討していく必要があります。

不妊治療の意思決定や選択肢を知るには医師に相談するのが良いでしょう。不都合がなければ、検査を受けた施設でそのまま不妊治療の相談を進めていくのがスムーズです。

反対にAMH値が高い人は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が疑われます。多嚢胞性卵巣症候群とは、排卵しにくいことや卵胞が育つのに時間がかかるために卵巣内に多数の卵胞が溜まる症状のことで、月経異常や不妊の原因となってしまいます。

多嚢胞性卵巣症候群である場合、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)といって、体外受精で行う排卵誘発に過剰に反応して、卵巣が腫れやすくなるため、排卵誘発を行う場合も注意が必要です。

また、AMH値は、個人によって大きな差があるので、基準値や正常値を設定するのではなく、同じ年齢層に比べて、卵巣予備能が高いか低いかという視点で判断すべきという指摘もあります。

参考:
「日本医学検査学会 AMH予備能を知る」
http://www.beckmancoulter.co.jp/customer_voice/vol39.html 最終閲覧日 2019年2月4日

・「30歳」: 5.2ng/ml
・「35歳」: 3.6ng/ml
・「40歳」: 2.1ng/ml
・「45歳」: 1.6ng/ml
・「50歳」: 1.1ng/ml

AMH値をどう活用するか

c9af1ce5b9a36cd830113537d1e4a53f_s-minご自身のAMH値を知ることで、今後のライフプラン設計や不妊治療の方針決定に活用することができます。

女性の見た目や内面は努力次第で若々しく保つことは可能ですが、残念ながら卵巣の老化に抗うことはできません。

平均寿命は年々伸びていますが、妊娠可能年齢は変わっておらず、人によっては40歳未満で早期閉経してしまうこともあります。

だからこそ、AMH値を正しく理解して有効活用し、パートナーとのライフプランの設計を進めてほしいと思います。

妊活を急ぐ必要があるかもしれませんし、すでに妊活をされている方は不妊治療へのステップアップの時期を繰り上げる必要も出てくるかもしれません。

AMH値から卵巣予備能を知ることで、早め早めにライフプラン設計や不妊治療の方針決定に活用することができるのです。

また、ここで繰り返し強調させていただきたいのが、「AMH値は卵巣予備能の目安であり、妊娠確率とは関係しない」ということです。

AMH値が低すぎる場合は妊娠可能なタイムリミットが迫っていることを意味しますが、妊娠自体には影響しません。

AMH検査は他のホルモン検査と違い、いつ測ってもよい検査とされており、検査を受ける目安としては、生理不順がある場合や妊娠を望んでおり30歳を越えた場合などです。

AMH検査で自分の卵巣予備能を知り、夫婦の生活と妊活の優先度合いや、不妊治療を検討したり治療のステップアップをしたりなど、より自身の身体の状態に適した選択をしていただけたらと思います。

執筆者

嶋津佑亮
大学院修士課程修了、看護師・保健師免許保有。
都内の総合病院で看護師として勤務する傍らで、医療系ライターとしても活動中。
根拠に基づいた正確な情報をわかりやすい形でお届けさせていただきます。