サウナは男性不妊に関係ある?
2024/02/18
2024/02/19
精子は熱に弱いは本当か?
例えば、男性不妊になる原因の 1 つとして知られている精索静脈瘤ですが、これは精索静脈瘤が原因で、精巣内の温度が上昇し、精子に悪影響を与えています。
精巣が体の外にあるのは、精巣の温度を少し下げるため、とも言われています。さらに、精子が作られる精巣は人体の外にあるため、外界の熱の影響を直接受ける可能性も考えられます。
サウナのイメージと精子に与える影響は?
サウナと聞いて、どのような印象を持ちますか?一昔前まではおじさんの集う場所というイメージでしたが、最近は若い人の間でブームになっています。実際にサウナに入ると自律神経が整い、リラックス効果も得られます。
しかし、サウナの中は 80-100°Cの高温の空間で、人の体温 (36-37°C)よりもずっと高い温度です。その中に数分から数十分間入っているので、高温に弱いとされる精子に対し、何か悪影響があるのでは?と心配になることも。サウナと精子に関する文献を調べてみました。
サウナが精子形成に与える影響について調べた 1 本の文献を紹介します。
<参考文献>
Seminal and molecular evidence that sauna exposure affects human
spermatogenesis.
Garolla A, Torino M, Sartini B, Cosci I, Patassini C, Carraro U, Foresta C.
Hum Reprod. 2013 Apr;28(4):877-85. doi:10.1093/humrep/det020. Epub
2013 Feb 14. PMID: 23411620.
Human Reproduction という有名な雑誌に掲載されている 1 報です。
<方法>
研究が行われた国:フィンランド
サウナ環境:温度 80-90°C、湿度 20-30%
期間:週に 2 日、15 分を 3 ヶ月間
被験者:10 名の正常な精子所見を持つ男性
<実際に精子の状態を調べた時期>
・サウナ前 (T0)
・3 ヶ月のサウナ期間直後 (T1)
・サウナ期間終了から 3 ヶ月後 (T2)
・サウナ期間終了から 6 ヶ月後 (T3)
<調べた項目>
・精子パラメータ(精子濃度・総精子数・前進運動率・正常形態率・精子生存率)
・性ホルモン
・精子クロマチン構造
・精子アポトーシス
・熱ストレス、低酸素に関与する遺伝子発現
<結果>
サウナに入ることで、精子数と直進運動性に大きな減少を示したが、精子の形態や生存率には変化がなかった。これらは T3(サウナ期間終了 6 ヶ月)で回復した。性ホルモンレベルに大きな変化はなかった。
精子の正常ヒストン-プロタミン置換、クロマチン凝縮、ミトコンドリア機能を持つ精子の割合が T1(サウナ期間直後)で減少した。これらも T3(サウナ期間終了 6 ヶ月)で回復した。
最後に
この文献から、少なからずサウナに入ることによる精子への影響があることは明らかですが、実際に男性不妊になったかどうかは定かではありません。
さらに、サウナに継続的に入った直後は精子への影響が大きいですが、その後の期間(この文献ではサウナ期間終了から 6 ヶ月)で回復していきます。
この研究はフィンランド人を対象としており、日本人でどうであったかも気になるところ
です。極端にサウナに毎日、長時間入り続けるのは避けた方が良いかもしれません。もし不妊治療中であれば、サウナ直後であれば精子の状態も思わしくない可能性があるため、注意が必要です。
気になるようでしたら医師に相談し、専門的なアドバイスを受けても良いかもしれませんね。
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