タイミング法の成功率は?妊娠しない原因とステップアップまでの回数
2019/03/08
2021/06/07
不妊治療の第一段階として行われることの多い「タイミング法」。病院に行かずに夫婦でも実践できる治療法ですが、今回は、通院した場合のタイミング法の成功率と、タイミング法がうまくいかない原因、タイミング法を何回実践したら人工授精にステップアップするべきなのかについても解説します。
通院する場合のタイミング法とは?
タイミング法は、いわゆる不妊治療の最初のステップです。最も妊娠しやすい時期を予測して、性交のタイミングを合わせる方法。自分で行うことも、通院で行うこともできます。
赤ちゃんが欲しいと意識し始めたうちは、通院せず自分でタイミング法を行うカップルがほとんど。自分で行う際には、基礎体温を記録して月経周期を把握することで排卵日を予測します。
婦人体温計さえ準備すれば良いので、とても手軽にできます。ただし、実際に排卵日を特定することは難しく、多少のズレは生じます。特に月経不順があると、正確な予測ができないこともあります。
基礎体温だけでは、排卵がおこる大まかな時期しか分かりません。自分達で何度かチャレンジしても妊娠の兆候がなければ、病院でタイミング法のアドバイスを受けてみましょう。
通院でタイミング法を行う際にも、基礎体温の記録は大切な情報です。今までに記録したものがあれば、必ず持っていくようにしてください。
通院することで超音波検査やホルモン検査を組み合わせ、排卵日をより正確に予測することができるのです。
超音波検査では、卵巣にある卵胞(卵子のもと)の成長進度を確認します。卵胞がある一定の大きさまで成長すれば排卵がおこるのですが、排卵日を特定するまでには至りません。
超音波検査と同時に血液検査や尿検査でホルモンの値を調べることで、ほぼ排卵日を特定することができるとされています。
タイミング法の成功率は?
ここでは、不妊治療を専門としている病院の集計データを元に、タイミング法の成功率について考察していきます。
タイミング法の回数と周期あたりの妊娠率
ある病院のデータ(2001~2015年、患者1267件の集計)によると、タイミング法の1回目では、妊娠率は38%と高めの結果が出ています。
2回目は25%、3回目になると14%になり、回数を重ねる度に妊娠率が下がる傾向があるようです。
1996年にアメリカで200組のカップルを対象にした研究でも、ほぼ同じ結果がでています。1、2回目では30%の妊娠率が、3~5回目には15~20%に低下し、6回目以降になると10%以下になるそうです。
妊娠するまでのタイミング法の回数について
また、妊娠するまでのタイミング法の回数に関する統計もあり、それによると、タイミング法によって77%のカップルが3回目までに妊娠しています。5回目まで数えると、実に92%と高い確率で妊娠にいたっているそうです。
「出典:医療法人 蔵本ウイメンズクリニック 不妊症の治療方法 http://kuramoto.or.jp/treatment/treatmentabout/ 最終閲覧日 2018年2月22日」
「出典:なかむらアートクリニック 参考資料 タイミング法の妊娠率(各周期あたり) http://101880-001.akibare.ne.jp/14493315135602 最終閲覧日 2018年2月22日」
タイミング法は何回まで?人工授精へのステップアップはいつすべき?
先述のタイミング法の回数と妊娠率を参考にしても分かる通り、タイミング方を3〜6回行なっても妊娠できないようであれば、人工授精など次の治療法を検討する時期です。
タイミング法は基本的に自然妊娠と同じ。妊娠しやすい時期に性交を持つことで、妊娠の可能性を高めているだけなのです。健康な男女がタイミング法を行なった場合、20代では約4割、35歳で約2割が妊娠すると言われています。
うまくいけばタイミング法ですぐに妊娠できるかも知れませんが、何度もチャレンジすることもあるかも知れません。
注意しないといけないのは、不妊の原因によってはタイミング法では妊娠できないケースがあるということ。もしもタイミング法で妊娠できなくても、妊娠できない原因を検査で確認しながら、ほかの治療に移行すれば妊娠できるケースも少なくありません。
女性のなかには人工授精に対して抵抗感がある人もいますよね。だからといって、いつまでもタイミング法を続けていると、気がついたら数年経過していたということも。
男女ともに年齢が高くなるにつれて、人工授精などの治療を行っても妊娠が難しくなります。妊娠できない原因を調べて、できれば早めにステップアップをしたり、そもそも卵子の質が低下していることで妊娠しにくいのであれば、並行して体質改善に取り組んだりする必要もあるでしょう。
タイミング法で妊娠しない原因は?
タイミング法をしてもなかなか妊娠しない場合、原因はいくつか考えられます。
卵子の質が悪い
女性の年齢が35歳を過ぎたあたりから、卵子の質が低下します。卵子の質が悪いと、妊娠を継続することが難しいのです。
卵子の質はどの不妊検査をしても調べることはできません。何度も流産する場合や、人工授精をしても受精卵が育たない場合には卵子の質が関係していることがあります。
卵子の質はクリニックの治療では改善されないものです。栄養指導や鍼灸治療、運動指導など、統合的な不妊治療を行なっているクリニックは別ですが、それ以外の場合はご自身で妊娠しやすい体質改善に取り組むことも必要になってきます。
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精子の活動率と量が少ない
精子が卵子にたどり着くために必要な活動ができていないこと。また、受精するために必要な量の精子が不足していること。が挙げられます。
排卵障害
疲れやストレス、過度なダイエットでホルモンの分泌がうまくできなくなっている状態です。排卵誘発剤などを使用して治療します。 卵巣にある卵胞が一定の大きさ以上成長しない「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」の方も排卵障害の症状を伴う方が多いです。
排卵障害の方はクリニックでホルモンを投与する以外にも、ストレスケアやしっかりとホルモンを分泌させるために必要な栄養を摂ったりするなど、排卵障害の原因となっている生活習慣を見直すことも大事です。
卵管に異常がある
排卵があってもピックアップ障害や卵管狭窄・卵管閉塞があると、精子と卵子が受精できません。 過去にクラミジアに感染したことがあると、卵管に異常がある可能性が高いです。心当たりがあれば、医師に検査をしてもらうのがいいでしょう。
子宮の病気
子宮筋腫や子宮内膜症があると受精卵が着床しにくくなる可能性があります。病気があっても妊娠することもあるので、必ずしも不妊になるということではありません。
性交の回数が少ない
通院している場合は医師の指導のもと妊娠率が高まる時期のタイミングを持てますが、夫婦で過ごす時間が合わず、排卵日前に1回の性行為だけではなかなか妊娠することは難しいでしょう。排卵日前の7日ほどは2、3日に1回の頻度でタイミングを持つことで妊娠の確率を高めると言われています。
受精障害
精液検査で精子が正常であるにもかかわらず、卵子と受精しないことが稀に起こります。このような授精障害は、体外で卵子と精子を受精させてみない限りわからないため、体外受精や顕微授精へのステップアップも必要となるでしょう。
「出典:東京HARTクリニック タイミング法や人工授精を続けても妊娠しない理由 http://www.tokyo-hart.jp/treatment/general/why/ 最終閲覧日 2018年2月22日」
タイミング法でうまくいかなくても、そのあとの不妊検査で原因がわかれば、それに対する治療へとステップアップすることもできます。 不妊症には原因が特定できないことも珍しくありません。どのように治療をすすめていくか、パートナーや医師と相談して無理のない方法を選びましょう。
執筆者
小坂 恵 看護師。総合病院(婦人科、外科、脳神経外科、整形外科、放射線科など経験)で6年勤務し、出産を機に退職。その後、美容皮膚科・形成外科クリニックと訪問看護ステーション(ダブルワーク)で看護師として復職し、現在6年目。看護師を続けながら、Webライターとして美容、医療、健康系の記事を主に執筆。美容の認定専門家として記事監修・コメント執筆を行っている。
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