男性目線の「大人の性教育」とは|吉川雄司さんにインタビュー(後編)
2018/11/06
2018/11/06
前回は「# 夫の不妊バイブル 」の生みの親である吉川雄司さんに、そもそも不妊治療の事業に携わるきっかけや「# 夫の不妊バイブル 」をまとめた経緯、今後のサービス展開などについてお伺いしました。今回は、男性における性への知識について、吉川さんが課題として感じていらっしゃることをお伺いしました。
男は「エロ」が先。だから生殖機能の知識がない?
------男性への啓蒙活動が今は多いような印象ですが、それはどういったお考えで始められたのでしょうか?
吉川:男性の「性」との出会いって、女性とは違うなと思うんですね。女性が初めて性に接するのって「初潮」だと思うんです。その後も女性の場合は毎月やってくる自分の体の変化に向き合うことで生殖機能的な「性」に触れますよね。その「性」から雑誌や友人を介して「エロ」に入っていくのだと思うのですが、男性の場合はその逆で、「エロ」が「性」との最初の出会いだったりします。昔は公園や川辺で遊んでると、必ずと言っていいほど隅っこにエロ本が落ちていたし、現代はスマホですぐに動画のアダルトサイト等にアクセスできますから。
本当はちゃんと生殖機能を理解した上で、その「性を楽しむ」という「エロ」に触れられればいいんでしょうけど、正しい生殖機能の知識がないまま「性を楽しむ」にいってしまうので、なかなか正しい知識を得るという行動は起こさないですよね。
間違った性の情報を得た男性は「俺は知識を持っている」と勘違いする?
日本の男性は「エロ」を通じて「性」を学ぶと言っても過言ではないと思います。男性の場合、色々と情報収集の段階で「間違った情報」が入ってくるんですよね。その間違った知識が「先輩」から「後輩」へ引き継がれる。だいたい間違ってるんですよね。例えば「一生に出せる精子は一升瓶分」とか。そんなことを信じている男性もいたりします。「性
(エロ)の伝言ゲーム」が男性のコミニュティでは実際に行われているんです。
そして、その「間違った情報」を持ったまま「俺は性の知識を持っている」と思ってしまっているんですよね。なので、なかなか「性の知識」を自分から学ぼうとはしないんです。
吉川さんのまとめた「# 夫の不妊バイブル 」より
吉川さんのまとめた「# 夫の不妊バイブル 」より
男は「大人の性教育」っていう響きにワクワクする?
だから男性に「生殖機能としての性」を伝えるには工夫が必要だと思っています。真正面から「生殖機能を学びましょう」と伝えても関心を持ってくれない。でも、ちょっと言葉を変えて「大人の性教育を学びましょう」と伝えると興味を持ってくれる。
なので僕は「大人の性教育」というイベントを開催しています。名前がなんかワクワクするんですよね、男からすると。「大人の性教育ってなんかエロい女医さん出てきそう」みたいな。(笑)
でも、そのイベントではかなり真面目に精子の話をする。いきなり「精子の健康とは・・・」という話をしても興味を持ってもらえません。それは学校のつまらない「性教育」で聞いたことがあるからです(覚えてないだろうけど)。まずは「エロ」に近い話から始めます。わかりやすいのは「マスターベーション」の話ですね。そこにジョークを交えながら、きちんと伝える。そこにいるのは男性だけなので。「クセのあるマスターベーションの方法だと膣内射精障害になるリスクがある」と。そうすると、みんなが普段から「マスターべションで見ている精子」から、ちょっと「生殖機能における精子」という、階段が上がるというか、目線が移行するんですよね。その中で「実は精子って」という精子トリビアを説いていくと、興味を持ち始める。そこから卵子の話をすると性教育に持っていけるんですよね。
このステップを踏めば、男性に対しての「生殖機能の性」の啓蒙も可能だと思っています。
▶【開催レポ】「 #大人の性教育 リアルイベント」
男性に対する啓蒙活動にとどまらず、不妊におけるオンラインサービスにも力を入れていく吉川さん。軽快なトークと共に、男女問わず親しみ溢れる印象で「何かやってくれそう」な印象を持ちました。今後も情報発信のほか、イベントなども行っていくということです。今後のご活躍が楽しみです。
▶「# 夫の不妊バイブル」の生みの親|吉川雄司さんにインタビュー(前編)
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吉川雄司さんのご紹介
吉川雄司
株式会社ヘルスアンドライツ 代表取締役
妊活/不妊治療に取り組む夫婦を支援する事業を展開中。
大阪大学卒業後、外資系消費財メーカーP&Gに入社。
その後、20代のキャリア支援事業を行うスタートアップに参画し執行役員に就任。
自分自身が不妊治療で生まれてきたというバックグラウンド、そして、日本が世界一の「不妊大国」であるという社会問題を解決したいという想いから、ヘルスアンドライツを創業。現在は、不妊治療に取り組む夫婦をサポートするカウンセリングサービスの開発や書籍の執筆活動、また社会に対する生殖医療、生殖機能の知識の普及を目的とした「大人の性教育」という性教育イベントを開催中。
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