不妊治療中に喫煙はOK?妊娠と喫煙の関係性とは
2024/11/27
2024/11/28
たばこが体に悪いという話はよく聞きますが、妊娠に対して影響はどうなのでしょうか。
癌などの病気が問題となっている喫煙ですが実は妊娠にも大きな影響を与えています。
今回は喫煙と不妊の関係を詳しく見ていきましょう。
タバコの危険度とは
発がん性
たばこの煙には4000種類以上の化学物質が含まれており、その中の200種類以上が有害性物質を含んでいるといわれています。その中にニコチン、タール、一酸化炭素の3大有害物質を含む60種ほどの発がん性物質を含んでいるといわれています。
たばこは肺から吸収され、口腔や気道、胃、腸管など全身から吸収され全身の臓器や細胞・血管に影響をもたらします。
そのため、肺がんをはじめ喉頭がん、咽頭がん、口腔がんなどたばこを直接摂取した際に通過する箇所のがん以外に胃がん、食道がん、肝臓がん、膵臓がん、膀胱がん、子宮頸がんなど様々な個所にがんが発生する可能性があります。
心筋梗塞や脳梗塞
心筋梗塞や脳梗塞はメタボリックシンドロームなどの生活習慣病が原因というイメージがありますが、実は喫煙が大きな危険因子とされています。
心筋梗塞は、心臓に栄養を送る血管である冠動脈が閉塞し血液が通わない状態を指し、脳卒中は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などが含まれます。
たばこはこの心筋梗塞や脳梗塞など心臓や脳にも影響を及ぼしています。煙草に含まれるニコチンや一酸化炭素などの有害物質が血管内部の細胞にダメージを与えており、動脈硬化などを引き起こす要因になっていたり、たばこには血液中の悪玉コレステロールであるLDL-コレステロールを増やし、善玉コレステロールであるHDL-コレステロールを減らす作用もあり、血流が悪くなり血栓ができやすくなります。
女性の喫煙と不妊症の関係
女性の喫煙者は閉経になる年齢が非喫煙者よりも早いことが判明しています。
これはたばこの影響で有害物質は生殖細胞では血液よりも濃度が高いため、生殖器官に有害物質が蓄積してしまう事で卵巣機能が低下してしまい女性ホルモンの分泌が減少するため、卵巣年齢が5~10歳老化してしまう事で閉経が5~10年ほど早くなることが確認されています。
また、たばこの有害物質が原因で染色体がダメージを受けることで染色体異常が見受けられます。また、血管にニコチンやタールなどが入ると収縮し、動脈硬化などの症状が出ると同時に栄養が十分に全身に行き渡らなくなります。
子宮内膜の厚みがしっかりとつくられなくなるため、受精率・着床率が低下してしまい、流産や生まれてきた低体重の子供の出産など子供の異常が多く発見されています。また、子供が肥満になる率が高いといわれています。
一般不妊治療や体外受精の妊娠率が大幅に減少するといわれており、喫煙女性の妊娠率は非喫煙者に比べ20%以上減少するといわれています。
男性の喫煙と不妊症の関係
男性の喫煙は血流が悪くなり泌尿器に対して影響が出てしまい不妊の原因になります。
喫煙は精液の量など視覚的変化は起こらないため自覚しづらいですが、精液中の精子の量や運動量、奇形の有無へ影響が出てきます。
これは血液中の白血球が増加し、活性酸素を増加させるため酸化ストレスでDNAにダメージが来てしまうためです。
男性の喫煙の影響の確認は難しく、精液検査で問題がなくても遺伝子検査で問題が出てくる可能性もあります。そのため、精液検査に異常がなくても妊娠に結び付かない問題が出てきます。
男性の精子はDNAを修復できるだけの能力がないため、一度ダメージを受けてしまうと修正されることがありません。
DNAが損傷していると受精率や胚発生率・着床率が低くなり、流産率が高くなることが確認されています。また、妊娠ができたとしても流産や死産、出生時低体重児などの先天性の異常になる確率が大きくなります。
親の喫煙と子どもの関係
両親が喫煙をしていると流産・早産のほか、胎児発育遅延、出血、破水の異常、前置胎盤、常位胎盤早期剥離、死産など様々な危険性が生じます。
流産
流産とは妊娠22週以内に妊娠している赤ちゃんがなくなることを指します。
流産は妊娠の10~20%の頻度で起こる症状であり、高齢になるほど率が上がっていきます。
流産の原因として、胎児側では遺伝性疾患や先天異常が挙げられます。両親の生殖器の異常も原因になりますが、特に喫煙をしていると流産の可能性が大幅に上がります。
早産
早産とは妊娠22週0日から妊娠36週6日までの出産を指します。
早産の確率は妊娠する人の5%と言われており、喫煙者は非喫煙者に比べ1.5倍の確率で早産になるといわれています。
早産の赤ちゃんは身体が小さく自力で呼吸ができないため、長期に渡り新生児集中治療室(NICU)で治療を受ける必要があります。
低出生体重
低出生体重とは生まれた時の体重が2500g未満の赤ちゃんのことを指します。喫煙者から生まれてきた赤ちゃんは非喫煙者から生まれてきた赤ちゃんより200gほど平均で小さい子供が生まれるといわれています。
出生体重はつまるところ臓器の発達などに関わるため、低出生体重では臓器の発育が未発達で死亡率が高く、新生児集中治療室(NICU)で治療を受ける必要があります。
知的障害率も高く、発育・発達の遅れや成人してからの生活習慣病になる確率も高いです。
先天異常
たばこの成分は遺伝子を傷つける可能性があるため、ダウン症などの遺伝子疾患になる可能性が非喫煙者よりも約3倍上がるといわれています。
副流煙の危険性
副流煙は受動喫煙とも呼ばれ、たばこを吸わなくともたばこの煙を吸い込むことで喫煙している状態になることを指します。
実は副流煙の方がフィルターを通さないため有害物質を体内に取り込んでしまっています。
また、たばこの煙に気を付けていたとしても三次喫煙(サードハンド・スモーク)と呼ばれるたばこの煙が衣類やカーテン、ソファーなどに付着し、時間をおいて空気中に散布され体に害をなしている可能性があります。
良くベランダや換気扇の下なら大丈夫と思っている方も多いですが、換気扇では有害物質を取り切れませんし、たばこを吸っていると吐く息にたばこの有害物質が含まれている可能性が高く、喫煙者の子供の尿から有害物質が検査で発見されています。
ちなみに空気清浄機は粒子状成分の洗浄だけでガス成分は洗浄することができません。
妊娠時だけでなく、生まれてきた赤ちゃんに対しても副流煙という形で大きな影響を出してしまいます。
禁煙外来
不妊治療や一般のクリニックでは禁煙外来を設置していることがあります。
保険診療も可能で、県からの認定を受けたクリニックが対象となります。対象者は12週間に5回の治療を受診してもらいます。
禁煙外来は喫煙を習慣ではなく依存症と考え、ニコチン依存度や息がたばこでどれくらい汚れているかなどの検査と禁煙カウンセリングや禁煙補助薬による薬効療法を主な治療法として治療をしていきます。禁煙補助薬を使用することで禁煙の成功率は全国平均で約65%というデータがあります。
35歳未満の方に対しては、喫煙本数や喫煙年数によらず保険適用となる他、加熱式たばこも対象となっており、近年では、医療機器として国から認められた「禁煙治療用アプリ及びCOチェッカー」も保険対象となっています。
かかりつけ医がいる場合にはオンラインでの受診も可能です。
禁煙補助薬は飲み薬や張り薬など形態が様々なため、医師の説明をよく聞き相談して決めていきましょう。
まとめ
近年、たばこが体に悪いことが問題視され妊娠にも影響が出ることが判明していますが不妊症にも大きな悪い影響をもたらします。
クリニックでは禁煙外来を設け、自身の力だけでは禁煙が難しい場合でも医療を用いて専門的治療でサポートすることが可能です。
子どもができることで禁煙をされる方も多いですが、子どもを望んだ時に禁煙をしてみるのはいかがでしょうか。
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