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人工授精の成功率は?年齢・回数別の妊娠率、何回までトライすべき?

2019/03/12

2019/03/12

人工授精は、採取した精子を子宮内に注入する方法です。自然に近い不妊治療法ですが、1周期あたりの妊娠率はあまり高くないと言われています。年齢や行なう回数によっても、その成功率は変わってきます。今回は、気になる人工授精の年齢・回数別の妊娠率とステップアップのタイミングまで解説します。

人工授精とは?

人工授精は、自然妊娠に近い不妊治療です。タイミング法では妊娠が難しい場合に、次のステップとして行うことが多い治療法です。 男性から採取した良質の精子だけを選定し、排卵のタイミングに合わせて子宮に注入することで人工的に妊娠しやすい状況をつくります。 自然排卵のタイミングに合わせる方法と、排卵誘発剤を使用して排卵を起こす方法の2通りがあります。

人工授精の対象となるのは?

基本的には、精子や卵子に不妊となる原因がない場合に行われます。以下に、人工授精で妊娠する可能性が高い不妊症の原因について挙げています。 ・精子の活動率があまりよくない、また、精子の数が少ない 人工授精では、採取した精子を選別・濃縮して子宮内に戻します。そのため、活動している精子がほとんどおらず、精子が確保できない場合には、人工授精をしても妊娠には至りません。 精子の活動率や量は、顕微鏡による精液検査によって調べることができます。 ・子宮頸管粘液と精子が不適合 精子と頸管粘液の相性が良くないと、精子の活動が制限されて卵子のもとに辿りつくことができないケースです。 精子や卵子に問題はないのに妊娠できないと、精子と頸管粘液の相性を調べるヒューナーテストを行うことがあります。 ・膣内に射精が行えない EDなどの射精障害や性交障害が原因で、性行為ができないケースなど、膣内に射精が行えないことが原因の不妊に有効とされています。。 人工受精は精子を子宮内に注入できるので、射精した状態をつくりだすことができるのです。 ・排卵障害 排卵障害の原因が分かっていて、ホルモン剤(排卵誘発剤)を使用して排卵ができるのであれば人工授精は可能です。卵巣が腫れている場合や、ホルモン剤の副作用が強く出る人は適しません。

「出典: 杉山産婦人科 新宿 人工授精 / 人工授精が期待できる場合とは? https://www.sugiyama.or.jp/shinjuku/consult/aih 最終閲覧日 2018年2月19日」

人工授精と体外受精の違いは?

人工授精と体外受精で大きく異なるのは、受精卵をつくる過程でしょう。 人工授精の方法については、すでに冒頭で説明したので、ここでは体外受精の方法について簡単に説明します。 体外受精を行う際は、精子だけでなく女性からも卵子を採取します。ひとつの卵子と選別した精子の濃縮液を専用容器に入れて受精させ、培養したものを子宮や卵管に戻すのです。 体外受精は「高度生殖医療」という分野に属するので、人工授精までの一般的な不妊治療とは異なります。 人工受精よりも妊娠率は高くなりますが、費用が高額になることから経済的な負担が大きく、採卵などによる身体的な負担も。 すでに不妊検査で人工授精では妊娠できないと分かっているケースを除くと、まずは人工授精から治療を始めるのが一般的です。

人工授精の一般的な成功率は?

人工授精 成功率

不妊症全体の1回における人工授精の妊娠率は、5~10%と決して高くありません。 ところが、人工授精で妊娠した人の40%近くが初回の人工授精で妊娠しているのです。さらに、2回目では65%近く、3回目では80%近くが妊娠しています。4回目では90%に近い高い妊娠率です。 1回の人工授精で妊娠できなくても、何度か治療を行うことで妊娠できる可能性があるということになります。 しかし、人工授精の妊娠率は、単純にたくさん回数を受けたことで高くなるものではありません。ある一定の回数を超えると、妊娠しなくなることも分かっています。 不妊の原因や精子の注入方法、女性の年齢など、さまざまな因子によっても左右され、まだ明確にはなっていないことも多いのです。 一般的には「ヒューナーテストの結果が不適合だった」「性交障害」などのケースは妊娠への期待がもてます。しかし女性の年齢が高くなるにつれて妊娠率は低くなるので、やはり一概には言えないでしょう。

人工授精の年齢・回数別の妊娠率

女性の年齢別に人工授精を行った回数と累積した妊娠率についての研究報告があります。 年齢別AIH施行回数と累積妊娠率(%)ー日本産婦人科医会のデータより 年齢別AIH施行回数と累積妊娠率(%)ー日本産婦人科医会のデータより 34歳以下と35〜39歳では、治療回数と累積妊娠率には大きな違いはありませんでした。ところが、40歳以上になると妊娠率は回数に関係なく、39歳以下の約半分です。 39歳以下の治療回数による累積妊娠率は、 ・1回で5〜10% ・2〜3回で10〜15% ・4回以降で15〜20% 一方、40歳以上の累積妊娠率は、 ・1回で5%未満 ・〜3回で5〜10% ・4回以降で10〜15%未満 気にしていただきたいのは、どの年齢層も5回目以降になると妊娠率がずっと横ばいになっている点です。 これは年齢に関係なく、人工授精を5回以上繰り返しても妊娠する可能性が極めて低いことを表しています。 年齢による妊娠率の違いは、40歳を境に卵子の質が低下して妊娠しにくくなっていると考えられます。 あくまで人工授精は妊娠しやすい状況をつくる、自然妊娠に近い治療法です。残念ながら、人工授精で妊娠できる不妊症は、軽度の乏精子症や頸管粘液不適合などの不妊症に限られています。

「出典: 公益社団法人 日本産婦人科医会 10.人工授精(AIH) / 2.AIHの妊娠率 http://www.jaog.or.jp/lecture/10%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E6%8E%88%E7%B2%BE/ 最終閲覧日 2018年2月19日」

人工授精は何回トライすべき?ステップアップのタイミングは?

人工授精を受けて妊娠した88%のカップルが、4回以内の治療で妊娠しています。 逆に考えると、4回の人工受精で妊娠しなかった人は、同じ治療を5回以上繰り返しても妊娠する可能性が低いのです。若い年齢層であっても、この結果は同じ。 通常、クリニックでも人工授精を行う回数は4~5回までのところが多く、必要以上の回数はおすすめしません。 4回の人工授精で妊娠反応がない時には、体外授精や顕微授精など次の治療を検討するタイミングになります。場合によっては、原因解明のためにさらに詳しい検査を必要とすることも。 不妊治療は受精方法の変更だけではありません。不妊の原因を解消するために、必要があれば手術なども検討することになるでしょう。 人工授精で妊娠しなかったとしても落ち込むことはありません。確かに治療にかかる費用や、仕事ならスケジュール調整などを考えると不安にもなるでしょう。 近年では不妊治療に対する理解が進んでいるので、不妊治療に助成制度を設けている自治体や、「不妊治療休暇」などのサポート体制が整っている会社もあります。 自分を取り巻く環境がどのようなものか調べておくと、次のステップへ踏み出しやすくなるかもしれませんね。

「出典: 公益社団法人 日本産婦人科医会 10.人工授精(AIH) / 2.AIHの妊娠率 http://www.jaog.or.jp/lecture/10%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E6%8E%88%E7%B2%BE/ 最終閲覧日 2018年2月19日」

執筆者

小坂 恵 看護師。総合病院(婦人科、外科、脳神経外科、整形外科、放射線科など経験)で6年勤務し、出産を機に退職。その後、美容皮膚科・形成外科クリニックと訪問看護ステーション(ダブルワーク)で看護師として復職し、現在6年目。看護師を続けながら、Webライターとして美容、医療、健康系の記事を主に執筆。美容の認定専門家として記事監修・コメント執筆を行っている。