"一人目"も"二人目"もみんないらっしゃい!|木場公園クリニック#2
2018/09/07
2023/08/29
二人目不妊専用フロアを設ける木場公園クリニック吉田先生へのインタビュー後編です。前編では、専用フロアを作ったきっかけや先生の想いなどをうかがいました。今回の後編では、患者さんとの向き合い方や、治療にかける想いをお話いただきました。
二人目不妊治療に取り組むのは、ママだけじゃない
―― 二人目で不妊の悩みを抱えている方は、病院に行った方がいいのは分かっているけれども、治療のことだけではなく、二人目不妊ゆえの心理的なハードルも関わっている気がします。そうした患者さんに対して一歩寄り添ってあげることも、不妊治療ではすごく大事だという点で、そうしたことにもこの病院では積極的に取り組まれているのではないかなと思います。
吉田先生 うちは子連れは全然大丈夫だからね。家族みんなで治療をやろうよ、っていう心持ちでいます。
ただ、体外受精・顕微授精の治療の際には、旦那さんから精子をとって、それからお子さんの面倒を見て、奥さんは採卵に行って…という流れで進んでいくのですが、子宮卵管造影や胚移植などの場合のみ、子連れでは厳しい時もあります。
そのときに、子どもは勝手に病院で預かって見ます、ということはしていないんです。それは、僕はしない方がいいと思うんです。夫婦二人で治療するんだから、そのときは旦那さんが一緒に来て、子どもを見ていてくれてもいいんじゃないかなって思っています。
―― 夫婦仲良くってすごく大事ですよね。病院に一緒に行くなど、ちゃんと協力し合うっていうのはとても大切ですよね。
吉田先生 夫婦の協力がないところに子供を作っても、全然幸せじゃないと思うんですよ。(当院に来られる際は)子供を預ける必要はないけれど、(夫婦で)一緒に不妊治療をやっていくんだっていう意識が大事だと思っています。
だって、お父さんがいて、お母さんがいて、お子さんがいて、その家族の下の子をつくっているのだから。3人で治療している感覚でいいと思うんですよ。僕の中では、その家族のお手伝いをしているという感じです。
医師として、常に一緒に頑張るパートナーであり続けたい
ARTや男性不妊、二人目不妊をテーマにした無料のセミナーを随時開催している吉田先生
吉田先生 木場公園クリニックは、最後の砦だと言われています。待合室を歩くときには、早く妊娠させてほしいという強い視線を感じています。患者さんもストレスを感じているかもしれないけど、医療従事者もかなりのプレッシャーを感じながら、治療をさせてもらっているんです。
僕は、常に患者さんと同じ目線にいたいと思っています。というかね、いまも共にいると思う。診てやっているって言う気持ちは全くなくて、むしろ診させてもらっているという気持ちで、一緒に頑張っています。
神様じゃないから、拝まないでほしいと。拝むと成仏するぞ!と僕の患者さんには伝えています(笑)。
―― 患者さんの目線を大切にしていらっしゃるんですね。私達も不妊治療というデリケートなテーマを扱うには、不妊の悩みを抱えている方やサイトのユーザー視点が大切だと感じています。
吉田先生 同じ目線にいることが大事ですよね。僕は診ている患者さんに対しては、会うたびに顔を見ています。
目の色を見て、目の動きを見て。そうすると、彼女が疲れているか、いないのかがわかるんです。患者さんのことはそれくらい見ながら、表情を掴まないといけないと思っています。「きつかったら、ちょっと休もうよ」と言うこともあります。
二人目不妊を当たり前に。ゴールは二人目の赤ちゃんを連れて帰ってもらうこと
二人目不妊専用フロアに設置された「キッズイートイン」スペース
―― 木場公園クリニックさんが作られた二人目不妊専用フロアは、不妊治療のあるべき一つの形を描いてくれたように感じます。このような病院があることをもっと知っていただきたいですね。
吉田先生 二人目不妊に光を当てることがこんなにも話題になるなんて、僕自身が驚いています。二人目不妊の問題は、僕にとっては当たり前のことだから。
以前、夜中に知り合いからメールが来て、今yahoo!のトップテンに「二人目不妊」のワードが入ってるよ!とわざわざ教えてくれたこともあって、とても驚きました。
世間にとっては、いまだに浸透してないことかもしれないけれど、僕の中では、もう当たり前のことをやっているという感じなんです。
小さなお子さんを抱えたままでも確認できるように、頭上にもモニターが設置されている
―― 5年後、10年後には、それが当たり前になればいいですよね。二人目不妊専用フロアを設けているクリニックは都内や日本でもこちらだけ。木場公園クリニックさんが二人目不妊専用フロアを作られてから約3年になりますが、ほかに二人目不妊専用フロアを持つクリニックが増えない理由って何だと思われますか?
吉田先生 やっぱりスペースの問題じゃないでしょうか。二人目用に分けて借りるって、相当な費用がかかるじゃないですか。まだその重要性が浸透していないのだと思います。どこかに預けてきてくれればいい、とさえ思っている病院もあるかもしれません。
二人目を作りたいと思っているのに、場がないゆえに諦めてしまう患者さんも少なくないはずです。
しかも、地域の病院で受け入れてくれる場所がないと来れないわけですからね。2時間も3時間も離れたところから、電車や車で病院に来れるわけはないですもんね。
―― そうですね。専用のフロアを設けることは、なかなかまねできることではないです。ご自身がやられていることに手応えを感じられているから、続けられているのだと思いますが、できる人がやる意味って、すごくあると思います。
吉田先生 僕がもう一回施設をつくろうと思ったら、絶対に分けて作ると思います。それが僕の中では、スタンダードになっているので。やっぱり二人目のためにも、作ってあげないとね。
自分が納得いく生殖医療をしたいと思っているんです。手を抜かないで魂を込めてやるということに、ポリシーは尽きます。それをわかってくれている方が来てくれていると思っています。
それに、うちはゴールを妊娠だとは捉えていません。元気なお子さんを家に連れて帰ってもらうことがゴールです。だからこそ、ここでは出生前診断みたいなものや妊娠後のフォローもやっていて、妊娠したから卒業だとは思っていないんです。
吉田先生のご紹介
木場公園クリニック 吉田淳先生
「不妊症はカップルの問題」と提唱し、日本では数少ない女性不妊症・男性不妊症の両方を診察・治療できる生殖(リプロダクション)専門医。女性・男性不妊症の両方を一人の医師が診察・治療できる施設として、1999年に木場公園クリニックを開院。2014年7月には二人目不妊治療専用フロアーを開設。さらに、治療と併行して妊娠しやすい体づくりをサポートするため、鍼灸やレーザーの導入、トレーニングセンターを併設させるなど、不妊で悩む人に向けた幅広い取り組みを行っている。 木場公園クリニックのHPはこちらから。
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