"一人目"も"二人目"もみんないらっしゃい!|木場公園クリニック#1
2018/09/07
2022/02/02
今回は、「二人目不妊」専用のフロアを設けている東京・木場公園クリニックの吉田淳先生にお話をうかがいました。「二人目不妊」とは、第1子を妊娠・出産後、なかなか二人目を妊娠しない状態をいいます(*1)が、近年、二人目不妊の患者が増加傾向にあると言われているのです(*2)。吉田先生がそうした患者さんの悩みを解決するべく開設した専用フロアには、どのようなきっかけや想いがあるのでしょうか。
子連れいらっしゃい!二人目不妊に悩むことは、珍しいことじゃない
―― 木場公園クリニックさんの特徴として、二人目不妊の患者さん向けに専用フロアを設けたという点が挙げられると思うのですが、そもそも作ろうと思ったきっかけはなんだったのですか? 吉田先生 根底にあるのは、自分の患者さんで、二人目不妊の方が申し訳なさそうにお子さんを抱っこしながら(待合室ではなく)エレベーターホールで待っているのを見るのが、忍びなかったんですよね。
その方たちは、うちの病院で一人目をつくってくださって、二人目も希望して来てくれているということですよね。そういう患者さんたちをないがしろにすることは、あり得ない、と。ずっと辛いなという思いがあって。
だから、改修工事をして広くするにあたって、完全に分けてしまおうと思ったんです。「子連れいらっしゃい!」という気持ちでやって行くぞと決めたんです。 ―― なるほど。二人目不妊の話は、不妊の問題を抱えている方たちの中でも2、3割はいるというデータもありますが、もっともっとフォーカスされるべきだと思っています。ですが、まだまだそういった話はでてきていないですよね。 吉田先生 結局ね、眠っているんですよ。要は、不妊治療専門の病院によっては、子連れで来ないでくださいだとか、託児所に預けてくださいということになっているから、治療に来づらくなってしまうんですよね。
治療しているといっても、通常の産婦人科で治療してるっていうケースが多いんだと思っています。当院で診ていても、一人目は自然妊娠なのに、二人目がうまくいかない、タイミング法も、人工授精も上手くいかなくて、体外(受精)・顕微(授精)でやっと結果が出るという方もいます。
それは、一人目の妊娠のときから年齢が上がっているからということもあります。二人目で不妊症の原因が増えてきて結果が出ないとか、旦那さんの精子の数が落ちるとか、いろいろな原因が考えられます。
一人目と二人目の不妊で悩む患者さん。双方への配慮を目指して
3F 二人目不妊・日帰り手術のフロア ―― 一人目のために来ている方にとっては、子連れで来るなんて不謹慎と感じている方もいるという話もうかがいますが、二人目不妊フロアをつくることでそうした方からのクレームなどが来ることはなくなったのですか? 吉田先生 そうですね、完全に分けていますからね。でも以前はありましたよ。
「木場公園クリニックでできたお子さんを連れてこられる方の姿に勇気をもらえる」という方もいらっしゃるけれど、やっぱり子供を見たくないと感じていらっしゃる方が多いです。お姉さん、弟さんの子供でも見たくないという方も沢山おられるので。
それが普通の感情なのだろうと思っています。 ―― だからこそ、一人目不妊の人が見ていて感じるストレスと、子連れの二人目不妊の方が感じるストレスを分けようとしたということなんですね。 吉田先生 そもそも子連れだからといって、すぐに診察に呼んでもらえるわけでもないし、子供を託児所に預ける時間も長くなるわけですよね。
昔の自分の患者さんにも、「今日は、子供は4時間預けくらいで大丈夫ですか。」と聞いてこられる方がいたわけですよ。預けてきたら、そこでも何千円とかかってしまうわけですよ。
でも、ここに連れてきてもらえれば、子供がお互いに遊んでいられるんです。お母さん同士がお互いに子供を見ながらね。不妊治療に費用が掛かるわけですから、そんなところにお金をかけている場合ではないですよね。
患者さんが多方面から妊娠しやすい体づくりに取り組めるような環境を
ここで、木場公園クリニックさんの施設についてご紹介します。 フロアごとに診療科目が分かれているのが特徴で、二人目不妊専用のフロアにとどまらず、東洋医学や運動など、多方面から患者さんそれぞれに合ったアプロ―チができるように様々な施設が整えられているそうです。 6Fでは、レーザー・鍼灸治療など、統合医療が行われる 7階――統合医療(心理・栄養指導、鍼・マッサージ・レーザー治療等)・セミナーフロア 6階――ART診察・男性不妊 5階――採卵・胚移植 3階――二人目不妊・日帰り手術 2階――一般不妊・TESE
併設施設―トレーニングセンター(健康促進、体力強化、リラクゼーションに効果があるマシンを導入)
詳しいフロア・施設案内についてはこちらから。
二人目不妊の患者さんの居場所があることを、当たり前の光景に
―― 託児所やキッズルームを設置している病院さんも最近は増えていると思うのですが、他との大きな違いはどこなのでしょう? 吉田先生 完全にフロアが分かれているということですね。だから、(病院に)いること自体が気楽なんです。
そのフロア(二人目不妊専用フロア)には、子連れか子供がいるお母さんしかいない。僕たちにとっては、3階に行って、6階に行って…と結構大変なこともあるのですが(笑)
でもそれ以上に、非常にいいことだと感じています。遠くからでも、子連れokだからって来てくださっている方もいるし、うちの患者さんはやっぱりすごく助かっているとおっしゃってくれていますね。
お子さんとともに受診する患者さんのための専用フロアには、「キッズ イートイン」が設置されている
うちの3階フロアでは、ベビーカーがいつもダーッと並んでいます。ここは小児科じゃないのか、っていうくらいの勢いでね(笑)そういう光景が僕たちの中では当たり前になっていますね。
―― WEBで「不妊治療」という言葉を調べると、二人目不妊という言葉はしばしば目に止まりますが、いざ病院を探そうとして「二人目不妊 病院」と検査するとなかなか病院が見当たりません。二人目不妊のことについて知りたいけれども、二人目不妊の病院をどう選んだら良いのか、その考え自体が今までなかったのかなと思います。そこに対して、このような形で木場公園クリニックさんがやられていることは、当たり前のようで、すごく画期的なのだと思います。木場公園クリニックさんは二人目不妊専用フロア以外にも、患者さんに合わせて様々医療体制を整えていらっしゃいますよね。 吉田先生 年齢によっては西洋医療だけでは賄えない部分もあります。
総合的な統合医療も重要なんですよね。鍼灸、漢方、レーザー、運動など多方面から攻めるってことです。
そこが重要で、不妊症っていう疾患だけ見てもダメだし、その人の疾患全体を見なければいけない。「全体」というのが大事なんです。
後編に続きます。
(*1)厚労省が設置する大阪府不妊専門相談センターのサイトより (*2)AERA dot. 「増えつつある二人目不妊 原因は夫に?」より
吉田先生が登壇!「ご夫婦のための妊活セミナー」開催
子宝漢方30年の誠心堂主催の妊活セミナーに、木場公園クリニックの吉田院長が登壇されます。
中医学と現代(西洋)医学が補い合い、相乗効果を発揮させながら、不妊で悩むご夫婦の夢をサポートしたいという想いのもと、今春開催されたセミナーが9月16日(日)に再び開催されます。
当日は吉田先生のほか、3000年の歴史をもつ中医学(中国伝統医学)の専門家である中医師が登壇。各講師と直接話ができる個別相談*も行われる予定です。*各先着8名
◆9/16(日)12:50~16:30 * ご夫婦のための妊活セミナー * 『最先端高度医療と中医学統合医療の可能性』@トラストシティ カンファレンス・京橋(東京・京橋) ▶詳しいセミナー情報はこちら
木場公園クリニック 吉田淳先生
「不妊症はカップルの問題」と提唱し、日本では数少ない女性不妊症・男性不妊症の両方を診察・治療できる生殖(リプロダクション)専門医。女性・男性不妊症の両方を一人の医師が診察・治療できる施設として、1999年に木場公園クリニックを開院。2014年7月には二人目不妊治療専用フロアーを開設。さらに、治療と併行して妊娠しやすい体づくりをサポートするため、鍼灸やレーザーの導入、トレーニングセンターを併設させるなど、不妊で悩む人に向けた幅広い取り組みを行っている。 木場公園クリニックのHPはこちらから。
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