糖化と不妊の関係とは?糖質制限は妊娠に重要?
2024/11/21
2024/11/24
最近、問題になっている糖化とは?
近年、アンチエイジングなどや生活習慣病でよく聞くようになった糖化ですが、こちらはいったいどのような現象か知っていますか。
糖化とは、お菓子などの甘い食べ物やごはんなどの穀物、イモ類などに入っている糖質とたんぱく質が血液中で結合(メイラード反応)し、AGE(Advanced Glycation End Products)が作られることを指します。
イメージでいうとホットケーキ。
ホットケーキを作るときにこんがり焼けると美味しい茶色になっていますよね。あれも実は糖化で、ホットケーキに入れる砂糖が卵や牛乳に含まれるたんぱく質が結合し、糖化が起こっているんです。通常、糖質は、糖質は小腸で分解されブドウ糖になり、すい臓から分泌されるインスリンに吸収されエネルギーとして変換されます。しかし、近年では栄養過多によりインスリンが吸収できる分量よりも多く糖質を摂取することが多く、ブドウ糖が血液中の比重をこえ、血糖値を上げてしまっています。
血糖値が高くなることで体内の糖化が進むことでAGEが大量に作られてしまい、糖化が進んでいきます。
糖化が引き起こす細胞の老化
では、糖化が起こると何が問題なのでしょうか。
実は糖化は老化の大きな原因と呼ばれています。
女性の卵子は生まれた時から数が決まっており、精子のように新しく作られることがありません。生まれた時から卵子の元となる卵胞原盤が出来上がっており、年齢と共に減少していきます。
年齢=卵子の年齢となっており、卵子も年数を経て老化をしていきます。この老化ですが、近年、個人差があることが判明しています。この卵子の老化に関連する1つの原因として糖化が上げられています。
糖化は動脈硬化、アルツハイマー病、白内障、骨粗鬆症などの慢性疾患の原因の一つとなっており、一つとなっており、AGEsは細胞の変性や老化の原因となる有害な物質と位置付けられています。
不妊症と細胞の老化
不妊治療でもこの糖化が1つの問題として挙げられており、卵巣や子宮の血流低下、卵子の変性や老化の原因と考えられています。このような要素から糖化が不妊症の大きな原因として挙げられます。
一般的にPCOS患者は卵巣組織等へ沈着したAGEsが多いと考えられており、卵子の質が悪く不妊症率が高いと考えらえています。
卵子は細胞分裂をしないため、他の細胞のように更新がないこともあり、一度糖化してしまうと、卵子の質を大幅に下げる可能性があると考えられています。
卵子が老化していく主な原因は閉経の準備と考えられており、卵巣機能が徐々に低下していきます。それに伴い卵子の数と質は大きく下がっていきます。
卵子の老化の影響とは
身体の細胞は基本的に46本の染色体数と言われています。
しかし、卵子と精子の染色体数は23本しかなく、受精して受精卵になることで染色体数は46本となっていきます。
卵子は卵母細胞が排卵する過程で2回分裂を起こし、23本の染色体となります。しかし、卵子が老化すると卵子の第一減数分裂の異常である染色体不分離が進むことで染色体異常を引き起こす可能性があります。
これは卵母細胞は出生時より、思春期に迎える排卵までの間に休眠をしており、この休眠が長いほど老化が進むためと考えられています。卵子の老化は年齢に伴うため、年齢が高いほど染色体異常を起こしやすくなる傾向があり、染色体異常が21トリソミーなどダウン症につながる可能性があります。
(糖化も卵子の老化の原因であるため、年齢以外の要素として糖化の頻度が高い人も卵子の老化を促し、染色体異常の可能性に繋がっていくことも考えられます)
実際、若い方でも染色体異常を引き起こしますが、年齢が高いほど染色体異常が引き起こしやすくなる傾向があります。
何故、糖化が問題になっているのか
先ほど、糖化はAGEsが原因と伝えましたが、体にAGEができやすいのは食後1時間と言われています。
血糖値が上がりやすいのは食後30分~1時間と言われており、その間に糖化が起こりやすくなるといわれています。
健康診断では空腹時の血糖値を計りますが、糖化は空腹時ではなく食後に起こるため注意が必要です。
特にメタボリックシンドロームの人は注意が必要です。
メタボリックシンドローム、通称メタボと呼ばれる人は内臓型肥満で、かつ高血圧、高血糖、脂質異常症のうちの2つが当てはまる状態を指しますが、このメタボの早い段階でAGEsは作られていると考えられています。
AGEsは内臓脂肪を悪玉化させ血糖値を上げることでさらにAGEsが増殖するという悪循環を抱えています。
卵子の老化が以外にも糖化には多くの問題が
肌のしわやたるみ
肌は真皮にあるコラーゲンとエラスチンと呼ばれる繊維があり、この繊維がきめ細かく編まれることで肌のハリや弾力が生まれています。
しかし、糖化が進むことでAGEsが肌の繊維をつなぎ合わせてしまう事でコラーゲンとエラスチンが密着してしまい、弾力がなくなってしまいます。これにより、肌に刺激が重なることで伸びてしまい、ハリがなくなり伸びたまましわになってしまいます。
年齢が進み、目じりにシワが生まれたり、口ものとほうれい線がでてくることも糖化が原因と考えられています。特に新陳代謝が落ちてくる40歳からは糖化が際立つといわれており、古くなったコラーゲンが排出されず糖化されたコラーゲンが残ることで繊維が固くなりダメージを逃がせずシワが目立つことになります。
乾燥肌と肌荒れ
糖化による肌トラブルはシワやたるみだけでなく、乾燥やシミ、肌荒れにつながります。
AGEsは炎症反応を引き起こし肌の保水力を奪っていく問題があります。
糖化により血管が収縮し、毛細血管が細くなることで血流が悪くなり全身に栄養素が上手く行き届かなくなります。それにより肌に栄養が回らずに、また保水成分を生み出す酵素を作ることも糖化により阻害されることで保水機能に支障が生じ、肌が乾燥してしまいます。
AGEsはシミの原因となるメラニン色素の排出に対しても支障を引き起こします。
メラニン色素は、新陳代謝により古くなった角質と共に排出されます。しかし、AGEsによりメラニン色素の排出が上手く行えず、表皮に残ったメラニン色素がシミとなってしまいます。
肌は28日を周期に新陳代謝を起こすのですが、AGEsにより新陳代謝が上手く行われず、免疫機能が低下することで肌の状態が悪化してしまいます。
アルツハイマー
アルツハイマーとは、アミロイドβという特殊なたんぱく質が脳の細胞を破壊することで記憶や思考・行動に支障を引き起こす脳の病気です。発症後、時間経過とともに症状が進行していき、症状が深刻になっていきます。
アルツハイマーは認知症の大きな原因となっています。今、認知症の60~80%がアルツハイマーと言われています。
アルツハイマーの方の前頭葉を調べたところ、健全な方に比べAGEsが3倍以上もたまっていることが確認されており、糖化がアルツハイマーに何かしら影響があると考えられる要因となっています。
骨粗鬆症
骨粗鬆症とは骨がもろくなり骨折の危険が7倍以上上がる病気であり、閉経、カルシウム摂取不足、運動不足、喫煙や飲酒などの生活習慣が主な原因と考えられています。
骨の強さは骨量という骨のカルシウム濃度と骨質というコラーゲンの働きによる骨のしなやかさで測定します。骨密度検査や血液検査で調べることが可能でどちらかが欠けても骨折がしやすくなります。
この骨質と骨量を保つために骨は古い骨を破骨細胞が壊し、骨芽細胞が新しい骨を作る代謝を行っています。
しかし、AGEsは骨基質成分中の90%以上を占めるコラーゲンの働きを阻害し、骨を固くすることで骨の外部からの刺激に対する応用力を低下させ物理的強度を低下させます。
糖化を予防するには
AGEsの原因である食品を避ける
AGEsの原因になる糖はブドウ糖と果糖です。
ブドウ糖はご飯やパン、お菓子などに含まれる砂糖やたんぱく質が消化される過程で消化酵素によりブドウ糖に変換されます。
また、果糖はブドウ糖の10倍以上のスピードで糖化していきます。勘違いされるのが果糖の大きな問題は果物に含まれていることではなく、果物から抽出した甘味料を使用したジュースやドレッシング、コーヒーなどが挙げられます。
このような品を過剰に取らないように注意が必要です。
過度なダイエットに注意
過激なダイエットなどで食事を抜くことなども厳禁です。食事を抜くことで返って吸収率を上げたり、一回の食事の量が上がることで血糖値が上がることで糖化が進む状況ができてしまいます。
糖化を防ぐ食品を食べる
食事をする時に糖の吸収を抑える食品を一品加えることも効果的です。
特に吸収率が高いのが前回の食事から時間が長く空いた朝食時です。糖の吸収を抑える納豆やオクラ、めかぶなどのねばねば食品を加えることで糖の吸収を抑えることが可能です。
糖化を抑えるために食品を置き換えることも効果的です。白米を玄米に、食パンを全粒粉のパンに、うどんをそばに時々、変えることでAGE抑えることが可能です。
また、糖化を防ぐ栄養素を積極的に取っていくことが重要です。ビタミンCや鉄分、カテキン、発酵食品にはAGEsを防ぐ効果が見込まれています。
ビタミンCはキウイやアセロラなどのフルーツ、鉄分はレバーなど、カテキンは日本茶、発酵食品はヨーグルトや味噌、納豆などに含まれているので是非、積極的に摂取していきましょう。
睡眠
睡眠はメラトニンと成長ホルモンの分泌を行い、疲れを取り肌や細胞を活性化させる効果があります。このメラトニンはAGEsを分解・促進する効果があります。
このメラトニンや成長ホルモンは睡眠不足であると分泌が十分な量を行われないため、AGEsを排出できずに糖化が促進してしまいます。そのため、最低でも6時間以上の睡眠が重要になってきます。
これは血糖スパイクと呼ばれる血糖値が急に上昇や効果をする減少を引き起こすことと関連があります。
良質な睡眠を6~7時間以上取り、朝食をしっかりと摂取することで血糖スパイクは起こらないとされています。睡眠時間が少ないと血糖スパイクが起こりやすく、また昼食時も糖化スパイクが起こると考えられています。
運動不足の解消
糖化は肥満などが原因の一つと考えられており、糖化を抑えるために運動を行いブドウ糖を消費することも重要です。
血糖値が上がるのが食後1時間であり、この時に運動ができるかどうかも重要です。この時期に軽いウォーキングやジョギングを入れることで糖化を抑えるとともに生活習慣病に対しても有効な働きをもたらします。この時、運動後に水分をとると思いますが、吸収率が上がっているため糖度が少ないものを選ぶことが重要です。
また、朝の運動も効果的です。軽い運動などで分泌される幸せホルモンと呼ばれるセロトニンは朝の太陽を浴びることでも分泌されます。セロトニンの分泌はストレスを抑制することにつながります。
ストレスはコルチゾールと呼ばれるホルモンを分泌してしまい肌の新陳代謝や免疫を落としてしまい、糖化を促進させてしまいます。
アルコールやたばこ
アルコールを体に摂取するとアセトアルデヒドという物質が生成されAGEsを促進させる働きがあります。糖とたんぱく質が結合してAGEsを生成する過程で、アセトアルデヒドが生成されるため、糖からアセトアルデヒドが生成され、それがたんぱく質と結びつくことで、AGEsの生成が進むこととなります。
そのため、飲酒によりAGEsが体内に蓄積する可能性が高くなります。
喫煙は活性酸素が増加してAGEsの生成を促進する効果があります。
糖化は必ずしも悪い糖化だけではない
実は糖化にはいくつか種類があり、抗酸化作用や防腐作用、血圧を上げにくくする作用があるAGEsが確認されています。
メラノイジンというAGEsは抗酸化作用があるため、老化に大きな影響を与える酸化に対して予防が可能です。また、AGEsはRAGEと得意的に融合することで愛情ホルモンであるオキシトシンを脳に働きかけることに必要という事が分かってきています。
まとめ
糖化は卵子の老化による不妊症以外に多くの障害をもたらします。
年齢と共にAGEsが体に蓄積していくことはどうしようもありませんが、日々気を付けることで確実に差が出てきます。
生活習慣病の予防と合わせて糖化対策を行ってみるのはいかがでしょうか。
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