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幹細胞治療が不妊症にも有効!!?不妊治療との関係とは

2025/02/05

2025/02/09

 近年、病気や美容、アンチエイジングなどで注目を浴びるようになった再生医療。
細胞が持つ再生力を利用し、傷ついた細胞を修復したり欠損してしまった機能を元通りに戻すことを⽬的とした医療で、近年では今まで治療ができなかった症状や病気に対しての治療法としても研究が進んでいます。

 この再生医療の中の幹細胞医療が不妊症に対しても有効な治療法という事を皆さんはしっているでしょうか。
 

幹細胞とは

 幹細胞とは、再生医療の中でも重要な役割を果たしている細胞で、多様な細胞へ分化する細胞となります。

 iPS細胞

 通常の細胞は血液細胞が血液に、皮膚細胞は皮膚というように自分と同じ細胞にしか成長できず、分裂することで数を増やし、体を維持しています。また、老化や損傷があると修復能力や再生能力が低下していきます。
 それに対して幹細胞は未分化の細胞と言われ、幹細胞の中のiPS細胞は神経細胞、筋肉細胞、心臓細胞、血液細胞など様々な細胞や臓器へ成長し変化することが可能です。
 胚や胎盤、成人の体内に存在する骨髄や脂肪組織から採取されることもあり、再生分野や細胞治療で研究が進められています。
 通常の細胞では対応ができなかった臓器の修復や再生を変化することで対応し、臓器の修復や再生を行う事が可能です。実際、幹細胞の治療で今までの治療法で改善されなかった症状が改善されている報告が上がっています。
 幹細胞には自己複製の能力があり、同一の幹細胞が継続することで細胞分裂により同一能力の細胞を生成することが可能です。
 しかし、リスクもありiPS細胞から作製した臓器に分化していないiPS細胞が含まれていると、その未分化のPS細胞が腫瘍化してしまいます。

 

間葉系幹細胞(MSC)

 間葉系幹細胞は髄や脂肪、皮膚など全身に存在し、その部位ごとに性質も少し違っていることが特徴です。
 脂肪・骨・軟骨、肝細胞、神経細胞などにも分化することが可能です。
 間葉系幹細胞を用いた治療は既に実用化はすでに実用されており、骨髄移植後の治療薬であるテムセルという細胞治療薬が保険適応されています。

 

脂肪由来間葉系幹細胞

 脂肪組織から採取する間葉系幹細胞は骨髄よりも含有量が多く、500倍もの間葉系幹細胞が含まれています。
 骨髄からは限られた量しか接種できないのに対して、脂肪は全身にあるため大量に摂取が可能です。また、骨髄よりも脂肪の方が臓器修復に関係する再生促進因子が高いです。
 加齢による影響も骨髄は影響を受けやすく増殖のスピードが遅くなるのに対し、脂肪は影響を受けないという報告もあります。
 採取する時に骨髄からは全身麻酔を行うのに対して、脂肪は脂肪組織が体の表面に近いため、採取は負担が少なく行えます。
 

幹細胞治療とは

 人間には本来、自己治癒能力があります。細胞が痛んだり古くなると修復や再生を細胞自身で行います。
 しかし、細胞に大きなダメージがあると自己治癒能力では追い付かず修復ができない状態になることがあります。事故や病気での後遺症と言われるものがこれに当たります。
 この後遺症や回復不可能と言われていた症状に対し、幹細胞を用いた臨床では改善したという報告がいくつも上がっています。
 幹細胞とは、多能性幹細胞と体性幹細胞に分類することができ、前者はiPS細胞、後者の代表は間葉系幹細胞(MSC)が有名です。
 iPS細胞から作製した臓器を移植するという方法がよく話題に上がりますが、実用にはまだ時間がかかるようです。
 現在の実用化した再生医療は幹細胞を直接体内に投与する細胞治療が挙げられ、葉系幹細胞を使って臓器の再生を促進する臨床治療がすでに始まっています。
 間葉系幹細胞は免疫調整機能があり、iPS細胞は自分以外の細胞を受け入れないのに対して、MSCには、免疫調整能があるため、移植しても拒絶反応が起こらないことが特徴です。

なぜ、幹細胞で症状が改善されるのか

 身体が損傷すると、損傷部位から修復のシグナルが発生します。そのシグナルを受け取ることで幹細胞が損傷部位に集まり、ホーミング作用と言われている修復に必要な細胞に変化することで本来の細胞だけでは治療や修復ができなかった症状を改善していきます。
 また、免疫系の症状にも幹細胞は有効であり、免疫系の細胞を調節することで炎症を抑制し、自己免疫疾患や慢性炎症性疾患の治療にも効果が期待されています。
 

不妊治療においての幹細胞とは

 幹細胞においての不妊治療は2つに分かれており、生殖細胞に問題があり卵子の形成に関しての治療と受精後に起きる問題で着床障害が上げられます。

卵巣に対しての生殖細胞治療

 不妊症の原因は様々で多岐にわたりますがその中で多いのが生殖器に関しての問題であり、その一つに卵巣不全があります。
 卵巣不全とは40歳未満の女性で卵巣の機能が落ちてエストロゲン, プロゲステロン,および テストステロンなどのホルモン分泌が低下してしまう事で排卵に障害が出る可能性があります。
 卵巣不全は閉経まではいかないものの卵巣機能が衰えてしまうために妊娠が難しくなり不妊の原因の一つとなります。
卵巣不全に対して幹細胞が多く含まれている月経血由来幹細胞を利用し、人の卵巣への投与をすることで卵巣機能を改善することが国外ですでに実証されています。
これは精子が宮内に入りやすいよう子宮頸管の粘液を増やしたりするエストロゲンなどの分泌が幹細胞を注入することで大きく上昇するためと考えられています。
 

着床に関しての幹細胞の働き

 体外受精で3回以上、良質な胚を移植したのに関わらず妊娠ができない場合、着床の窓と言われる受精卵が子宮内膜に着床できる時期がずれている可能性か、着床のための子宮内膜の準備が十分にできておらず厚みを作れていない問題が上げられます。
 子宮内膜の厚みが作れていない原因としては女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの分泌が少ない可能性があります。しかし、治療でエストロゲンとプロゲステロンを補充しても厚みが作れない時があります。
 この着床不全の時の子宮内膜の特徴は密度が低い、収縮能力が低い、弾力性が低い、そして、内膜増殖作用を持つエストロゲンに対する反応性が低いなどの症状がみられることが多く、現在の医療では改善の方法がないのが現状です。
 現状での治療で可能性があるといわれているのが脂肪組織由来の幹細胞を用いた治療方法となっています。
 表皮、真皮の下にある皮下組織から脂肪組を取り出すことで、約1~5%の割合で脂肪幹細胞が含まれている脂肪組織由来幹細胞(ADRCs)を精製し子宮内に注入して治療を行っていくことができます。     
 これにより、子宮内への血流が改善され、細胞の増殖が促進されることが現在確認されています。血流が改善されると、新鮮な酸素と栄養が子宮に送られ、老廃物が回収されるため、子宮の働きが活性化されます。その結果、子宮内膜が十分な厚みを作ることができて着床不全が改善し、受精卵の着床率が向上することで、妊娠率が高まることが期待されています。
 現在ではマウスやミニブタを使用した検査で子宮内膜の増殖能力、血管新生能力、着床率が向上する実験が行われ、効果が出ているため実用が近いといわれています。
 人工授精や体外受精、顕微授精と併用して幹細胞治療を行う事で効果を相乗させる働きが予想されており、流産、産後の子宮内容物の除去に対しての子宮腔内癒着症(アッシャーマン症候群)への治療効果などに対しても期待がされています。
 

アンチエイジング効果も

 老化は体の臓器によってその開始時期が異なり、構造変化と機能低下を引き起こします。特に、再生と修復機能の衰えが顕著であり、ヒトの組織に存在する幹細胞の老化が、老化の主要な原因と考えられています。幹細胞技術を応用し、老化した幹細胞の修復や代行を行うことで、再生・修復能力を向上させ、老化を遅らせることが可能になります。

 

免疫を改善

 幹細胞は免疫機能も向上させることが可能です。
免疫系と老化の間には、免疫老化と炎症老化が大きく関係しています。
老化した白血球は免疫機能が低下し、病原体に対する応答能力が低下します。免疫老化に伴う炎症性変化が「炎症性老化」を引き起こし、自然免疫と適応免疫のバランスを乱していきます。
 この状態に幹細胞治療を行うことは、免疫細胞の再生を促進し、損傷組織の再生を活発にすることで、免疫機能の上昇を期待できます。    
 加齢に伴う疾病に対しても免疫老化や炎症老化が関係しており、幹細胞治療は、死にかけた細胞を補充して正常な組織機能を維持し、損傷した組織を再生することができます。
 

肌の再生による美肌効果

 幹細胞では近年、美肌治療も大きく注目を集めています。
 ヒアルロン酸やボトックスと違い、幹細胞は自己治癒能力を促進することで肌の再生を促していく治療となります。
 肌で重要な細胞である線維芽細胞ではエラスチン、真皮のコラーゲン、ヒアルロン酸など皮膚を新生させる成分を作り出します。
 一般的な美容の治療であれば美肌を保つことができても皮膚の細胞の再生は行う事ができません。
 そこで脂肪由来幹細胞を新しい肌に変化する幹細胞そのものに注入することで肌に必要な成分を作る線維芽細胞の再生に留まらず、幹細胞が血管や神経にも分化することにより新しく作られたような若くてハリのある肌に生まれ変わることが可能です。
 美肌を作るだけではなく、美肌を保つ皮膚バリアゾーンを修復、再生を行い肌をみずみずしい状態でキープすることが可能です。
 

まとめ

 幹細胞は今、実用段階に入っており治療がすでに進んでいるものがあります。
また、今後の幹細胞の医療が進むことで不妊治療だけでなく、多くの医療が大きく前進していくでしょう。
 現在の不妊治療では西洋の高度生殖医療や東洋の鍼灸、漢方が主軸となっています。しかし、これらの治療法では妊娠に至らないケースも少なくありません。幹細胞治療の研究が進めば、このような方々にとって新たな選択肢となり、妊娠の可能性を広げるかもしれません。