不妊治療の始めどき
2023/12/10
2024/02/13
「タイミングをはかっているのに、なかなか赤ちゃんができない」「もしかしたら不妊なのかもしれない」と感じて焦っていませんか。いざ不妊治療を始めようと思っても、いつどのようなタイミングで始めるか迷ってしまうことがあるかもしれません。
不妊治療を始めると、心や身体についてはもちろんのこと、時間や経済的なご負担がかかる可能性があります。
この記事では、不妊治療を始めるタイミングや受診の際に必要なものを解説します。現在不妊治療を検討している方はぜひ参考にしてください。
初めて受診するタイミングは?
一般的な話をしますと、避妊のない性交渉をおもちのカップルは約80%が1年以内に妊娠しているというデータがあります。また1年間妊娠しなければ不妊症と診断されます。「1年間トライしてみて妊娠しなければ受診する」ということは一つの目安となります。
34歳までは「1年妊娠しなかったら受診を」35歳以上であれば「半年妊娠しなかったら受診を」40歳以上であれば「妊娠を考えたらすぐに受診を」とお伝えしています。これは、妊娠に関して女性の年齢の影響が大きいからです。
しかし、受診の目安はあっても、必ずこうしなければならないというものではありません。「年齢的に不安なので早めに不妊治療を始める」「1年は夫婦だけで頑張ってみる」など、不妊治療の考え方は家庭によってさまざまです。
不妊治療にかかる時間には個人差がありますが、長期間の治療が必要となることも少なくありません。妊娠率は年齢を重ねるごとに下がる傾向があり、「焦らなくても良い」「貯金が貯まってから始めよう」と治療を先送りにしていると、妊娠できなくなってしまう可能性もあります。
そのため、病気や年齢を含めた不安要素がある場合は、できるだけ早めに専門家や産婦人科医に相談することが大切です。また、もし妊娠の妨げとなる子宮の病気などがある場合は、早めに検査して治療を始めましょう。
なお、加齢により妊娠が難しくなるのは、女性だけではありません。男性の年齢も影響を受ける要因の一つとして認識しておきましょう。
不妊治療は2022年4月から保険適用となり、これまで自費診療でしか行うことができなかった人工授精や体外受精・顕微授精などが保険適用となり、治療費の負担が少なくなりました。
しかし残念ながら全ての治療が無制限に保険適用となった訳ではなく、保険適用でできる年齢や回数には制限があり、また保険適用となっていない治療もあります。
例えば、体外受精や顕微授精といった生殖補助医療は女性の年齢が40歳未満で開始した場合は最大、胚移植を6回保険で行うことができ、40歳以上の43歳未満の方は3回行うことができます。残念ながら女性の年齢が43歳以上の方は保険での治療を行うことができません。そのため治療の開始時期を悩まれている場合にはこれらも参考にすると良いでしょう。
初診日は月経何日目がいいの?
お仕事などの都合でいつでも受診できるわけではありませんし、せっかくの初診日に生理が重なると、受診を躊躇してしまう人も多いのではないでしょうか。
不妊治療専門病院では、月経中であっても超音波検査を含め基本的な検査はすべて行うことが可能なところは多いですが、医療機関によっては月経の日には超音波検査をしないという所もありますので、一度確認し、そのような場合には初診日を変更した方が良いでしょう。
先述したように、妊娠率は年齢で大きく左右するため時間との勝負です。
もし当日できない検査があっても、次回以降で対応してもらえるため、できることから進めていくことをおすすめします。
不妊の原因は夫婦によってさまざまです。また、検査をしても不妊の原因がわからないケースも珍しくありません。検査の結果、排卵や子宮、精子などに問題がある場合は、妊娠に向けて治療を始めることになるでしょう。
不妊治療の受診に必要なものや心構え
いざ不妊治療を始めるとなると、受診や検査どれひとつ簡単なことではないですし、初めてのことを進めるには勇気が必要ですよね。特に初診時は、なにかと不安も多いでしょう。そこでここからは、不妊治療の受診に必要なものや心構えについて解説します。
用意するとよいもの
・夫婦の健康保険証
・問診票(自宅からダウンロードできたり、Webフォームから送れたりするため、スムーズな受診が可能です)
・基礎体温表(つけていれば)
・過去の不妊に関する検査をしたことがある方はその結果
また、受診前にパートナーと妊活についての話し合いをしておくことをおすすめします。その際には「どのくらいの期間、妊活をするか?」「どこまでの治療方法をお互いが考えているか?」「どのくらいの費用なら許容範囲であるか?」など2人で話し合って置くと良いかもしれません。
そして、初診日はパートナーの方と受診することをお勧めしています。理由としては、初診日に男性側の検査を済ませることで治療が速やかに進むということと、医師からの説明を夫婦そろって受け、二人がその説明を理解したうえで治療を始めることが理想的だからです。
また、事実婚など婚姻関係になんらかの事情がある場合は、戸籍抄本などの書類を持参するとともに、二人での受診が必須になります。
妊娠しやすい身体をつくるためには、日常生活の見直しも大切です。妊活は2人で取り組むものですので、夫婦で協力して不妊治療に臨むためにも、パートナーと妊活について日々話し合っていくことが大切です。
不妊治療の受診を続ける中で、夫婦間で不妊治療に対しての考え方にギャップが生じないためにも、受診や検査を重ねながら、常に話し合いをしておいたほうが治療を円滑に進めていくことができます。
まとめ
「タイミングをはかっているのになかなか赤ちゃんができない」「もしかしたら不妊かもしれない」と悩んでいる夫婦は、少なくありません。不妊治療に対する考え方は家庭によってさまざまであり、開始すべき時期に正解はありません。考え込む前に不妊治療の医療機関に相談してみましょう。
受診の目安はありますが、年齢や不妊の原因によっては、少しでも早く治療を開始したほうが良い場合もあります。また、不妊治療をする前に検査だけを受けてみてから、その結果次第で不妊治療をはじめるかどうかを考えてみるというのもよいです。
不妊治療に関してハードルを感じている夫婦もいるでしょう。不妊治療は2022年4月より保険適用され、子どもを持ちたいという方々に対して有効で安全な不妊治療を保険で適用できるようになりました。
治療を始めるうえで、何より大切なのは、不妊治療についてパートナーの方と話し合いを重ねていくことです。妊活は2人で取り組むものです。妊活は妊娠への漠然とした不安や、不妊治療へのハードルを取り除くためにも、まずは夫婦で「自分達はいつまでに妊娠したいか」というのを話し合ってみてはいかがでしょうか。
後で「あの時こうしてよかった」と思えるように、是非お2人で話し合いながら、お進めくださいね。
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