自由診療の体外受精の方が妊娠するの?
2024/02/06
2024/02/13
2022年4月から不妊治療の保険適用が開始され多くのカップルが現在は保険適用での体外受精を行われています。
これまで高額な費用がかかるというイメージが大きかった体外受精が保険適用となったことで、ハードルが低くなり早い段階から体外受精を含めた不妊治療を開始するカップルが増加してきました。
しかし体外受精に関して全ての治療や検査が保険適用となったわけではありません。
保険適用になっておらず、また先進医療としても認められていない検査は自由診療でしか行う事が出来ません。
しかし、我が国の医療保険は保険診療と自由診療を同時に行う事ができないため、保険での体外受精を希望する場合は自由診療の治療や検査を組み合わせる事がきません。
そのため、保険適用が開始された際、多くの不妊治療専門病院やこれまで体外受精の治療を行なわれていたカップルの中には「保険だけの治療で妊娠できるのか、、、」「結局、自由診療でしかやれないのではないか」と不安を抱えていました。
実際に「保険よりも自由診療の方が妊娠率が良いですか?」と質問されるカップルが多かったのも事実です。
保険適用が開始され間もなく2年が経過します。
そこで今回は、保険適用での体外受精は自由診療に比べ妊娠率が低下しているのか、自由診療での体外受精が良いのか、これまでの現状を振り返りながらをお伝えしていきたいと思います。
保険での体外受精でも問題はないの?
「保険での体外受精よりも、自由診療での体外受精が妊娠するんですか?」と聞かれると、「違います」というのが正直な回答です。
保険での治療だから妊娠しにくい、妊娠率が低下するという訳ではありませんし、保険だからしっかりとした不妊治療を受けることが出来ない訳ではありません。
確かに一部の治療や検査が保険では受ける事ができません。
しかし標準的なものは保険適用となっており、また保険ではなくても先進医療として認められた検査や治療も多くあるため、決して選択肢の幅が狭い訳ではありません。
先進医療で認められた治療や検査とは
医療には保険適用にはなっていませんが、厚生労働大臣が承認した先進性の高い医療技術の事です。
先進医療として承認されると保険ではありませんが、保険治療と同時に行う事ができるため治療の幅を広げることが可能となります。
不妊治療も保険適用が開始なった事により、複数の治療や検査が先進医療として認められています。
しかし現時点で先進医療として認められているものが今後も継続して認められるかどうかはわかりません。見直しにより承認が取り消される場合もあります。
逆に新たに認められ、先進医療として実施できる治療が増える可能性も十分にあります。
実際に現時点でも先進医療としての承認を得る事ができないか審議されているものもありますし、これまでも少しずつ追加されてきました。
そのため保険治療での体外受精も、先進医療で実施できる治療の状況に伴い、新たな工夫や方法で行う事ができる可能性があります。
先進医療で実施できる不妊治療の内容
・タイムラプス培養
・PICSI
・子宮内膜受容能検査(ERPeak)
・子宮内膜受容能検査(ERA)
・子宮内膜細菌叢検査(EMMA/ALICE)
・子宮内フローラ検査
・子宮内膜スクラッチ
・SEET法
・二段階胚移植法
・IMSI
・ZyMot
標準的な治療しかできないため、自分に適した治療ではないのでは?
保険での体外受精には、保険で実施するための決められたルールがあるため確かに縛りがあるのも事実です。
しかし、多くの治療や検査は保険適用となっており、それと併せて先進医療で実施できる治療や検査を組み合わせていく事でご自身にあったテーラーメイドな治療を行う事が可能です。
自由診療での体外受精はどのような人が対象となるの?
標準的な治療や検査は保険適用となりましたが、不妊原因やカップルの背景により保険適用の治療だけでは適した治療や検査を行う事ができない場合があります。
その場合は保険適用外の治療が必要となるため自由診療での体外受精が推奨されます。
実際、保険治療での体外受精では難しいと考えられるのは以下の様な方です。
・卵巣機能が極端に低下している方
・卵巣機能低下などから貯卵が推奨される方
・重度な男性因子がある方
・流産を繰り返す方
・胚移植を繰り返しているにもかかわらず妊娠成立しない方
この様ないわゆる「難治性の不妊カップル」は保険治療では困難な場合が多いと考えられます。
また保険治療で実施できる回数で結果が出なかった場合は、自由診療での体外受精で妊娠を目指す事になります。
最後に
不妊治療が保険適用となり、不妊治療が取り組みやすい治療へと変わってきています。
これまでは不妊治療を開始しても体外受精は料金が高額であったことから、ステップアップに躊躇されることもありましたが、経済的負担が軽減した事により早い段階でステップアップを考えながら治療を取り組まれるカップルが増加しています。
妊娠に最も大事なのは時間です。
時間が大事なことを解ってはいても経済的な理由から体外受精を行う事ができないカップルも珍しくありませんでした。
保険適用になり、保険で実施できる体外受精に制限があるのも事実ですが、時間を無駄にする事なく、適した段階で体外受精に取り組む事が妊娠への近道へとなった事に間違いはありません。
また先進医療の治療を組み合わせる事で保険での体外受精の効果をより高めることもできるようになっています。
「自由診療が妊娠率が高い」という訳ではなく、保険での治療でも適した方法や工夫で妊娠を目指した治療をしっかりと受ける事はできます。
しかし、先ほどお伝えした様に標準的な治療では難しい可能性がある難治性不妊のカップルの場合には保険治療での体外受精では妊娠という結果を出すのが困難となる事が考えられるため、自由診療での体外受精が良いのではないかと考えられます。
保険適用となったことで体外受精の治療方法として「保険での治療」「保険と先進医療を組み合わせた治療」そして「自由診療での治療」と選択肢が増えました。
私たち医療者は、保険での治療でも、自由診療での治療でも同じように皆様に少しでも早い段階で妊娠をして頂きたいという気持ちで日々携わっています。
保険適用開始直後は様々な変化から戸惑いや不安な声も出ていましたが、時間の経過と共に保険での体外受精治療への工夫も広がりを見せています。
しかしそれでは難しいと判断した場合には適切に自由診療での治療が提案されています。
不妊原因や背景はカップルにより異なります。「どの治療法が自分達には適しているのか」「進め方はどうすべきか」など、しっかりと担当医と相談しながら自分達に適した治療法を選択することがこれからの体外受精治療には大事なポイントになるのではないかと考えています。
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