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不妊に筋肉は関係している?筋トレで妊娠率は上げられるのか?
2025/01/20
2025/02/09
近年の不妊治療では西洋医学の直接的アプローチと合わせて東洋医学の体質を改善することで体の機能を促進し、妊娠率を上げるための取り組みが行われています。
妊娠に適した体づくりでは生活習慣を見直すと共に適正な「筋肉量」と適正な「体脂肪」が重要です。
下半身の筋肉と卵巣機能の関係
筋肉の大部分は下半身にあるといわれています。
ダイエットでも大きな筋肉を重点的に鍛えることで基礎代謝が向上し痩せやすくなるためスクワットなどで脚やお尻の筋肉を鍛えることがいいとされ、お尻や大腿四頭筋、ハムストリングス、ふくらはぎの下腿三頭筋など脚やお尻の筋肉を鍛えることが推奨されています。
この下半身の筋肉量の数値が高い人は女性ホルモンの分泌が多く、卵巣機能が高い傾向にあるというデータがあります。
これは、筋肉をトレーニングする過程で成長ホルモンが分泌することや足は第二の心臓と言われ、足の筋肉が収縮することで筋肉中の静脈が圧迫されて血液が押し上げられ、血液を全身に行きわたらせるポンプのような機能を果たしているからです。
新鮮な酸素や栄養を体の隅々まで生き渡らせることで子宮や卵巣などの内臓の働きを良くし老廃物を排出するサポートを行っています。
下半身の筋肉は子宮を支えるかなめになるため不妊治療だけでなく、早産や流産などに大きく関連しています。
女性の妊活においての運動の重要性
下半身の筋肉はただ生活をしているだけでも車での生活中心か電車や徒歩での移動が中心の生活かによって肉量が変わるため、地方在住と東京在住の方では東京に住んでいる方の方が筋肉量は多いといわれています。
現在では交通機関が発達し、リモートワークなども増えている傾向から運動不足になる人が多くなってきています。
筋肉は運動により新しく作られるため、運動不足になると自然に筋肉量が減少していきます。
筋肉が衰えることにより血流をサポートする力が低下すると血液と合わせて全身に行き渡る栄養が低下します。すると身体は生命活動に重要な心臓や消化器官などに優先的に栄養を運ぶため、子宮や卵巣など生殖器官への血流は後回しにされ、結果として栄養が生き渡らず機能が低下していきます。
筋トレと精子の実験のまとめ
男性不妊と筋トレなどのトレーニングの関係性において調査した論文があります。
抵抗運動は不妊男性の抗炎症および抗酸化メカニズムを通じて男性不妊症を調節する
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29698651/
430人の精液所見に問題のある男性を2つのグループに分け、片方は運動をさせ、もう片方は通常の生活を続けてもらい3か月、半年、トレーニング終了後7日、30日、で、体重、BMI、体脂肪率、腹囲、肺活量、精液検査の各パラメータ、精子DNA損傷率、精液中の抗酸化物質・酸化ストレスマーカー、妊娠率、出産率を測定しています。
この時、カロリー制限や高たんぱく質などをトレーニングした組に特別に行うことはせず、食事に変化はなしとしています。
筋トレはしっかりと行い、トレーニング中は脂肪を減らして筋肉をつけることでBMIは低下していますが、体重は維持をしている状態で検査した結果、精液検査のパラメータは12週目から変化が出ました。
24週目からは精液量以外の項目が改善され、トレーニング後30日後迄維持されています。DNAの損失に関しても12週で低下し始め、24週目から大きく変化していきます。
抗酸化物質に関しても12週目から上昇をし始め、24週目でピークになります。酸化ストレスマーカーも24週で有意に変化しますが、トレーニングをやめると戻っていくことが判明しています。
結果を見た時に精子の改善を目指すのであればトレーニングを3か月以上行う事が必要であり、改善された精子はトレーニングをやめても1か月ほどは改善の状態を保っています。
妊娠率、出産率共に2.5~5%から20~50%まで改善が見られました。運動が抗酸化物質の産生を促し、酸化ストレスを低下させる事例は今までもいくつも確認されており、抗酸化物質が精巣の酸化ストレスを改善し、精液所見の改善、DNAの損傷を改善することにより妊娠率や出産率が上がると考えられます。
筋トレとテストステロン
筋トレの効果としてテストステロンが分泌されるという話があります。
テストステロンは約95%が精巣で、5%が副腎皮質で作られている男性ホルモンで筋肉や骨格を形成する働きがあります。また、精神的な作用もあり、ポジティブな考えを持てるようになります。
テストテロンは、生殖機能を促進し性欲を活性化する働きがあります。テストステロンは20代を境に減少していきますが、筋トレを行う事で分泌を促し生殖機能の維持・活性させていきます。
妊娠においての過度な運動の危険性
運動は妊活においても重要な要素ですが、過度の運動は妊娠率を下げることがありあります。
女性では適度な運動を1日30分以上行うと妊娠率が上がるといわれており、逆に過度の運動を60分以上行うと妊娠率が減少するといわれています。
これは筋トレや運動を行うエネルギーを作るため、呼吸から取り込まれた酸素がエネルギーを作ろうとすることで活性酵素が作られます。この活性酵素ですが、増えすぎると体を錆びつかせ細胞を酸化させてダメージを与えたり老化を促進してしまいます。
また、運動や筋トレを行う際、筋肉を収縮させるための多くのエネルギーを必要とします。このエネルギーはミトコンドリアによる有酸素性エネルギー代謝により作り出されています。
卵子も同じくミトコンドリアが生成するエネルギーを利用し、健康な状態を保っています。この卵子が利用するミトコンドリアを過度な運動を行う事で運動するエネルギーに利用してしまうため子宮や卵子にとってはマイナスな要素になってしまう事があります。
近年、妊娠時にBMIが18.5、体脂肪17%以下のやせ型の女性からは低出生体重児が生まれやすいことが近年、わかっており過度な運動やダイエットは妊娠率を下げるとことが判明しています。無月経や生理不順、排卵が停止する危険性もあります。
妊活において運動や筋トレのメリット
過度な運動は推奨されていませんが、適度な運動は基礎代謝を活発にし、血流を良くすることで栄養の全身の巡りを良くし, 気分を前向きにし、ストレスを解消するなど多くのメリットがあります。
基礎代謝の向上
基礎代謝とは、呼吸や内臓の働き、体温の調節など生命を維持するために消費するエネルギーを指します。
基礎代謝は生命活動で重要なエネルギーですが、妊活にも深く関係しています。
女性は冷え性の方が多いですが、この冷え性が不妊症の方の傾向でもよく見られます。この冷え性が体の内臓や筋肉を冷やすことで働きを鈍化させ、卵子や子宮の活動も鈍化させ、卵子の質を下げることで妊娠に対して支障が出てしまいます。
女性は男性よりも筋肉がつきにくいため、基礎代謝が低くなり冷え性になる可能性が多くみられています。
ストレスの解消
妊活は必ずしも結果が出るわけではなく周囲に相談がしにくい治療のため、ストレスをためがちです。
ストレスは体内で活性酵素を過剰に生み出してしまい、酸化ストレスが生じ細胞の老化を促進します。
自律神経が乱れることでホルモンのバランスが崩れてしまいますホルモンバランスが崩れることで排卵や女性ホルモンの分泌が上手くいかず不妊症の原因となることがあります。
自律神経の乱れは血流も乱すため、子宮や卵巣の働きを阻害し卵子の質を下げ受精や着床が上手く行われなくなります。
運動をしながら太陽を浴びることで体内ではセロトニンという物質が分泌されます。セロトニンは気分を向上させ、抑うつ状態などの改善が期待できます。
生活習慣病の予防
運動は現代社会で問題になっている生活習慣病の予防にも効果的です。
運動することでカロリーを消費し、筋トレをして基礎代謝を上げることで体型や体重の維持を行えます。
肥満になると血液中のインスリンが高まり、女性は排卵障害や月経不順などの月経の問題が増えます。
運動や筋トレを適度に行うと体重減少以外でも月経の問題が解決することもあります。体重を理想体重に近くするだけで多嚢胞性卵巣症候群が自然排卵できるようになることもあります。
妊活において理想の運動
有酸素運動
適度なランニングやウォーキングなどの有酸素運動は代謝を上げ、ミトコンドリアの生産が上がり、細胞の活動に必要なエネルギーを生産する量が増え受精などのエネルギーに活用していきます。
ウォーキングやジョギングをリズムよく行う事で全身の筋肉をバランスよく鍛え血流を改善し、脂肪を燃焼させることが可能です。
ヨガ
ヨガはダイエットなどで行う方が多いですが、不妊症に対しても有効な運動です。
呼吸を深く吸い、大きく吐きながら行うヨガは有酸素運動の側面とポーズやスタイルによって筋トレでは鍛えられないインナーマッスルを鍛える無酸素運動の側面があります。
ヨガは呼吸を意識し、身体を伸ばしたり動かすことでリラックス効果もあり、自律神経を整え、血の流れを良くすることができます。
ストレスを減らし適度な運動をすることで良質な睡眠をとれるようになり、妊娠に必要な女性ホルモンの分泌をサポートし妊娠しやすいカラダ作りを行えます。
まとめ
運動は過剰に行うと不妊の原因になる可能性がありますが、適切に行う事で男女ともに妊娠しやすい体を作ることが可能です。
不妊症の治療も近年では体質を改善することも大きく注目されています。生活習慣を見直し、運動を適切に行うために医療機関でアドバイスを受けることも可能なため、妊活を考えている方は一度不妊治療を診療しているクリニックで相談をしてみてはいかがでしょうか。
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