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不妊治療にストレスは大敵!!不妊症を解決するストレス解消法とは

2025/01/17

2025/01/20

 不妊治療は必ずしも完治する治療ではなく、治療も長期間になることが多いことからストレスが大きくかかります。
 妊娠を望んでいるのに妊娠ができない状態や不妊症と診断された時にかかるストレスはがん患者が抱える心の負担と同じぐらいのレベルと考えられています。
 

不妊治療におけるストレス

 国立成育医療研究センターの調査では高度生殖補助医療(ART)を受けている初期段階の患者のうち54%の方が軽度以上の抑うつ症状があると判定され、不安が高まっている状況と判定された方も39%と結果が出ています。


 およそ95%弱の方がストレスを強く感じており、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の低下がみられています。
 また、イリノイ州の生殖医療施設で不妊治療を受けている女性患者を対象に1460名のアンケート調査を実施した論文があります。
 20歳から58歳(平均36.2歳)で行ったアンケートで感情的ストレスが不妊原因になると考えている人は28.9%、感情的ストレスが不妊治療の成功率を下げると考えている人は69.0%、感情的ストレスが流産の原因になると考えている人は31.3%と答え、ストレスが不妊治療に影響しないと考えている人は23.8%となり多くの女性がストレスは不妊治療の妨げになると考えていることがわかります。
 

ストレスとは

 ストレスとは何かを考える前にストレスは人それぞれで違うということを認識しなければなりません。

 自分がストレスを感じるような事象でも他人はストレスと感じない場合があります。
 これは事象や環境などの外的要因がストレスなのではなく、外的要因の影響が引き起こす反応をストレス反応と呼ぶからです。
 ストレスは身体に対して悪い影響を与えるイメージがありますが、ストレスの本来の役割は私たちのメンタルやフィジカルを外的要因から守るための仕組みです。
 しかし、多くの場合はこのうちの精神的苦痛をストレスと表しています。
ストレスを感じる刺激を受けると脳の視床下部から下垂体にホルモン分泌の命令が起き副腎という腎臓のすぐ傍に付いている一対の臓器に刺激が分泌され「コルチゾール」というストレスホルモンとも呼ばれるホルモンが分泌されます。
 

ストレスと不妊症

女性不妊とストレス

 女性が排卵を起こすためには、視床下部から下垂体、そして卵巣へとホルモンが伝達される仕組みがあります。また、多くのホルモンが、視床下部から下垂体、そして他の器官へと伝達される仕組みを持っています。
 これらの伝達は、ストレスなどの要因で自律神経が乱れると、ホルモンの分泌量が乱れ、多量のコルチゾールが産生されます。その結果、視床下部、下垂体、副腎皮質以外の伝達が遅くなってしまいます。
 また、ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールには卵巣機能の低下を引き起こす以外にも多くの問題があります。
 コルチゾールには、血糖値を上昇させる働きがあり、血糖値が上昇すると膵臓からインスリンが分泌され血糖値を下げようとします。
 インスリンで血糖値を下げると血糖値をあげるために甘いものが欲しくなり、結果、肥満などの生活習慣病につながり不妊症の原因になっていきます。

 

男性不妊とストレス

 ストレスは男性不妊に対しても大きく影響します。
男性の精液は老化や加齢、ストレスの影響を受け状態が悪化してしまいます。
ストレスは活性酸素を生み出します。活性酵素とは反応性の高い酸化物質で増加すると除去していく抗酸化物質が追いつかず細胞にダメージを負わせるなど体に害を及ぼします。
 この活性酵素で細胞にダメージを負わすことを酸化ストレスといい、身体が錆びつくなど表現されます。
 酸化ストレスは多くの問題を引き起こしますが、最初に悪化するのは生殖機能です。これにより、造精機能や運動率が低下し、精子のDNAが損傷されることで精子の質が低下します

 

不妊症のストレスの原因

終わりの見えない治療

 不妊治療は「出口の見えないトンネル」と例えられることもあるように必ずしも治療した結果が妊娠につながるというわけではありません。そのため、いつ妊娠ができるか、もしかしてこのまま妊娠ができないのではないかという不安が付きまとい、ストレスにつながっていきます。
 不妊治療では生活習慣の改善により飲酒などの制限や適度な運動、食事療法に気を付けたりなど多くの制限負担がかかります。治療が長期化することで負担が積もっていきます。
 また、タイミング療法や人工授精などの自然な妊娠ができず体外受精などに切り替えた時の自然妊娠から離れてしまう精神的苦痛を日本では感じる人が多いようです。

 

相談できない苦しみ

 不妊治療は、周りに相談がしにくい悩みであり、個々の体質などが大きく関係するため自身で苦しみを抱えてしまう事が多いです。
 不妊症の原因は男性も50%が考えられますが、女性が原因と考えられる風潮があり、男性の方が病院で検査を行わないケースも多くみられ、両親などから子ども対する期待があり、ストレスにつながることもあります。
 また不妊治療では、女性は多くの投薬や検査を受ける必要があり、身体的な負担が大きいです。通院回数が増えるため、時間的な拘束も長くなります。これにより、日常生活や仕事との両立が難しくなることが多いです。このように、不妊治療は女性にとって精神的、身体的、時間的な負担が大きいものです。

 

経済的負担

 不妊治療は体外受精や顕微授精が保険対象になり、国や自治体が独自の助成金制度を敷くなど経済的負担が昔よりは少なくなりました。しかし、不妊治療が長引いたときは自治体の助成金も年齢制限や回数が決まっており、長引くと費用がかさみ助成がなくなるなど経済的負担が大きくなっていきます。


 

不妊治療に対するストレスの対処

タイミング療法にこだわらない

 不妊治療では不妊検査で問題がなければタイミング療法から実施することが多いです。
タイミング療法とは不妊検査で排卵日を医学的に特定し、最も妊娠する確率が高い排卵日周辺に合わせて性行為を行うことで妊娠率を上げる不妊治療ですが、人によっては「排卵日ED」「タイミングED」と呼ばれる現象が発生してしまいます。
 これは月に一度の妊娠できるタイミングを重視するあまりプレッシャーを感じてしまったり、性行為が義務のように感じて勃起ができなくなったり、過剰なストレスを感じてしまい夫婦間でぎくしゃくしてしまう事を指します。
 また、年齢によっては加齢による卵子の減少や老化などを考慮しタイミング療法を行うよりも体外受精から実施をする場合もあります。
 自然妊娠にこだわるあまり、妊娠できる機会をなくしたり余計なストレスを感じてしまう事は本末転倒になってしまいます。

 

食事療法やサプリメント

 酸化を防ぐためには食事療法やサプリメントが有効です。
抗酸化物質を多く含む栄養バランスの整った食事が重要です。ブドウやお茶に含まれるポリフェノールやサバなどの青魚に含まれている脂質、緑黄色野菜のカロテンや海藻類、果実や甲殻類も有効です。
 抗酸化作用のあるサプリメントではコエンザイムQ10、オメガ3脂肪酸、亜鉛、セレン、カルニチンなどが精子の改善に効果があるといわれています。

 

良質な睡眠

 ストレス解消には良質な睡眠が重要です。
良質な睡眠がとれないなどの問題で自律神経に乱れが生じると、交感神経と副交感神経にも乱れが生じてしまい寝ていても興奮状態が続き活動モードになってしまいます。これにより睡眠しても十分な休息が取れない状態になりストレスがたまってしまいます。
 良質な睡眠がとれない問題としてはパソコンやスマホのブルーライトが原因と言われており、寝る前にブルーライトを浴びることで睡眠を誘う「メラトニン」というホルモンが抑制されてしまう問題が生じています。就寝前にはブルーライトを発する電子機器を触らないように気を付けましょう。

 

入浴やアロマテラピー

 ぬるめのお風呂にゆっくりつかることで副交感神経が優位になり、リラックスが可能になります。熱いお風呂は肉体的な疲労感に対して有効なため使い分けましょう。
 また、アロマテラピーはリラックス効果や鎮静作用、抗不安作用、抗うつ作用などのストレス軽減効果があり、自律神経を整える効果があるといわれています。

 

適度な運動

 厚生労働省が発表した「健康づくりのための身体活動基準2013」には身体活動が基部ストレス解消などのメンタルヘルスに効果があるとされています。
 アメリカのプリンストン大学研究チームの動物実験で運動することにより脳のストレスが減少すること、またハーバード大学の研究で運動や身体活動の多い人がうつ病になることが20~30パーセント低いというデータが出ています。
 これは運動をすることで交感神経が活発になりポジティブな気持ちになることや、エンドルフィンなどの心を安定させるホルモンが分泌されることが影響していると言われています。まずは軽めのジョギングやウォーキングを行うだけでもストレスの抑制の効果が見込めます。

 


 

まとめ

 現代社会はストレス社会ともいわれるように常にストレスを受けて生活をしています。ストレスをため続けることで体や精神に異常がでてしまい、不妊などの症状を引き起こす可能性が出てきます。
 軽い運動や食生活を見直すだけでもストレスを緩和させることが可能なのでぜひ、一度試してみてください。