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排卵誘発剤はどうちがうの?

2023/12/22

2024/02/13

 排卵誘発剤は、排卵を促すお薬です。
大きくは、飲み薬注射剤があります。


 排卵誘発剤と言っても薬の作用が全部同じではありません。


 作用するホルモンに違いがあって、ちがったポイントからアプローチできます。
治療を始める前に受けた検査結果を基にして、医師はそれぞれに合ったお薬をチョイス
してくれています。


何が足りていないのか、何を補えば妊娠しやすい環境にできるかを考えてくれていま
す。

助産師 橋本七奈子

 思春期から生理不順で婦人科に通い、大学生で卵巣腫瘍、片方摘出、結婚と同時に不妊治療 開始、妊娠したら切迫早産になって⻑期入院とずっと産婦人科に通ってきました。  どの時も産婦人科の助産師さん、看護師さんが寄り添ってくれました。  私は全ての女性の味方になりたいという想いで助産師になりました。  頑張りすぎないあなたらしさを大切できるライフステージを一緒に考えましょう。 どんな小さなことでもいいです。ぜひあなたのお話聞かせてください。

飲み薬

 排卵誘発剤を使うことになると、
まずはじめに飲み薬から始めることが多いと思います。


 一般的によく使われるのは、クロミフェンクエン酸(クロミッド)が多いですが、
シクロフェニル(セキソビッド)というお薬もあります。

 これらの薬は、脳から卵胞ホルモンと⻩体ホルモンの分泌を促進します。
排卵しづらい軽めの方に使うので、排卵誘発剤デビューはこのどちらかになる方が多いでしょう。


 第一選択はクロミッドを使用することが多いですが、クロミッドは頚管粘液の減少や内膜が薄くなることが多いので、これを避けたい場合は、セキソビッドへ変更することがあります。


 セキソビッドは、排卵誘発効果はやや弱めですが、クロミッドでは複数個排卵してしまうために、多胎妊娠を避けるという意味でも使われることがあります。


 他に、レトロゾール(フェマーラ)という内服薬もあります。
 レトロゾールは、クロミッドよりマイルドな刺激です。
 レトロゾールは、多嚢胞性卵巣(PCOS)や原因不明の不妊症の方に対して保険適応に
なったことで注目を浴びています。クロミッドのように多胎妊娠のリスクは高くなく、
多嚢胞性卵巣の方の妊娠・出産率が高くなっているようです。


 また、不妊治療での採卵周期に連日の注射で、卵を育てる方法がありますが、これが難しい方には、レトロゾールを内服いただき、採卵へ臨むという方法もあるようです。
卵巣から分泌されるE2(エストラジオール)の値が低くなることがありますが、これが
低いと卵子の質が悪くなる、妊娠しづらくなるなどへの影響が出るということではあり
ません。

注射薬

 注射での排卵誘発剤は内服薬より強めの効果を得たい時に使用することが多い薬です。

 内服薬では効果が得られにくい時や、体外受精に向けてたくさんの卵胞を育てたい時によく使用されるお薬です。

 

HMG製剤とFSH製剤

 性腺刺激ホルモン製剤です。
内服薬と比べると排卵誘発力が強く、
重度の排卵障害でも排卵の確率を高めてくれます。
使用量を調節することで刺激の強さを変えることができます。
しかしながら、排卵誘発力が強いため、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を発症してしまう可能性を高めてしまうのが気をつけなければならない点です。

 いくつか種類があり、HMGフェリング(FSH:LH=1:1)ゴナールエフ(FSH:LH=1:0
)、HMGフジ(FSH:LH=3:1)
などがあり、ホルモンのバランスで選択されます。

 

GnRHアンタゴニスト製剤

 排卵をコントロールしやすく、希望の採卵日への調整がしやすいです。
LHホルモンを抑制し質の高い卵胞を成⻑させ安くします。また、OHSS予防を目的とし
て使用することもあります。
しかしながら、排卵抑制がどれくらいか個人差が大きく、卵胞の確認はこまめに見る必
要があるため、来院回数が多めになる傾向があります。
セトロタイドなどがあります。

 

hcg製剤

 LHサージを起こすための注射です。LHサージとは、⻩体形成ホルモン値が急上昇する時を表します。月経初日から14日あたりに起こり、LHサージから36時間あたりで排卵が誘発されます。
 hcg製剤の中には、LHが含まれており、卵胞をある程度の大きさまで育てた後に、hcg製剤を注射して、人工的にLHサージを作って排卵を促します。
 また、採卵などをする時には、採卵の36時間前などに注射することで、卵子が受精しやすくするために成熟させて、いい状態で採卵へ臨むということにも活用されています。

点鼻薬(GnRHアゴニスト スプレキュアやブセレキュアなど)

 飲み薬や注射薬のほかに、点鼻薬もあります。


 本来のこの点鼻薬は、⻑期的に使用することで、FSHやLHの分泌を抑えて卵巣の働きを抑える、子宮内膜症や子宮筋腫などのエストロゲンなどで悪化する疾患に対しての治療目的で使われていました。


 これを不妊治療に応用させて効果を期待して使用ができるのです。
 不妊治療に対しては、2通りの使用目的があります。

 ロング法やショート法で排卵誘発に併用する場合は、LHサージを抑制することを目的
として使用しますが、それとは別にLHの放出を促す作用を利用して、LHサージを起こ
して排卵誘発として使用することもあります。

 この2つの使用方法で逆の目的を期待することがあるので、使用時はしっかり医師の説
明を聞くことが大切になってきます。

おわりに

 不妊治療において、排卵誘発の薬の種類が多かったり、使用方法が複雑だったりと、分からないことがたくさん出てくるかもしれません。


 ここでもお話ししたように同じ薬でも使用目的が違うこともあったりと、人それぞれの使い方をするのも不妊治療でのお薬ならではかもしれません。


 そんな時は、悩まず専門家に聞くことが1番安心できます。
不妊治療で通っている施設の医師や看護師などのスタッフが1番いいかもしれません
が、なかなか相談しづらい、帰宅後に不安になって誰かに相談したいということはよく
あります。私たちもそんなあなたをサポートします。