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卵管造影検査ってどのくらい痛いの ?

2023/12/16

2024/02/13

 こんにちは。本日は卵管造影検査について、そしてよく卵管造影検査について患者様に「痛い検査なんですよね…?」と聞かれることが多いので、痛みについてお話しさせて頂きます。
 

看護師 示村英実

妊娠を望む方の少しでも力になりたいという想いから看護師を目指しました。正しい知識を提供するとともに、一人ひとりに耳を傾け、寄り添うサポートを心掛けています。共に歩んでいきましょう!

卵管造影検査とは?

 卵管造影検査とは、子宮の中に造影剤を流してレントゲンで撮影し、卵管が詰まっていないか(閉塞)、狭くなっていないか(狭窄)など通過性を確認し、また子宮の形態異常がないかをみる検査です。


 不妊症の原因の約3割は卵管因子だといわれており、卵管造影検査は卵管に不妊原因が隠れていないかの診断に第一選択として使われています。                  

 卵管とは卵子や精子が通る道であり、排卵日頃になると排卵された卵子は卵管膨大部という卵管の広い場所で精子がくるのを待ちます。射精された精子は子宮を通って卵管に入り、卵管膨大部で卵子と出会い、受精します。しかし、その卵管が閉塞、狭窄していると精子が通りづらくなり、妊娠につながらないことがあります。

 つまり、卵管はとても大事な部分だということがお分かり頂けるかと思います。そのため、卵管造影検査は多くのクリニックで行われています。
 

卵管閉塞・狭窄の原因は?

 閉塞や狭窄の原因として一番多いのは、性感染症の一つであるクラミジア感染です。

 クラミジア感染は、卵管の閉塞や周囲が癒着する原因になるといわれています。クラミジアは女性の場合、半数以上が無症状なことが多いため、知らずのうちに感染していることが多いです。

 そのため、卵管造影検査の前にクラミジアに感染していないか、採血や子宮頸部の組織を軽く拭う検査をして確認します。これは感染確認をせずに卵管造影検査を行うと、クラミジアの菌を卵管よりさらに奥の腹腔内に広げてしまう可能性があるためです。

 陽性だった場合はパートナーともに抗生剤を内服して、治療後に検査を行います。
また、クラミジア以外にも骨盤周囲の手術をした既往がある方や、子宮内膜症の女性では卵管周囲に癒着を認めることが多いです。その他にも子宮筋腫、子宮内膜ポリープの女性では卵管子宮口を閉塞する場合や、卵管を圧迫して閉塞をきたす場合もあります。
 

検査内容と痛みを感じやすい箇所について

 検査時期は、妊娠を除外した生理終了日から排卵までに行います。

 まず内診台に上がって頂き、カテーテルという細いチューブを子宮内に挿入します。チューブが抜けないよう、カテーテルの先端にあるバルーン(小さい風船のような袋)を膨らまして固定します。                                     

 その際、鈍い生理痛のような痛みが生じることが多いです。
無事にカテーテル挿入が終わりましたら、レントゲン台に移動して頂き、造影剤を少しずつ注入し撮影していきます。

 この時に卵管が閉塞、狭窄していると、その部分に圧をかけて造影剤を注入させるため、痛みが生じることがあります。しかし、特に詰まりがない場合はほとんど痛みを伴うことがありません。患者様に「お痛みないですか?」と聞いても「大丈夫です」と返事してくださる方が多い印象です。また検査後も「意外と大丈夫でした!」なんて言う方もいらっしゃいますよ。


 しかしまれに、急に痛みや不安を感じたことで迷走神経反射を起こす方がいらっしゃいます。症状としては軽いふらつき、めまい、血圧の低下がみられます。検査部屋は薄暗がりのことが多く、これから何をされるのか不安や緊張を助長させることも多いため、医療者側は検査前に十分に説明を行うとともに、検査中も声をかけながら、患者様に変化がないか注意して進めます。
 

造影剤の種類によって違いがある?

 造影剤には水溶性と油性のものがあります。どちらもメリット、デメリットがありますので、クリニックによって採用している薬剤が違います。
 

 例えば水溶性ですと、検査は1日のみでその日に結果がわかりますが、画像がやや不鮮明なこともあり、診断結果が不十分なことがあります。              

 油性ですと鮮明なのですが、その分翌日もレントゲン撮影が必要になるため、来院が2日間となります。このような違いに関して表にまとめてみましたので、確認してみてください。

表1 水溶性造影剤と油性造影剤の違いについて

 

水溶性

油性

検査期間

1日

2日

(24時間後に再度撮影)

画像の鮮明さ

やや不鮮明

鮮明

体内への残留

数時間

数か月

副作用

少ない

塞栓症、肉芽腫のリスク

痛み(閉塞・狭窄時)

油性よりあり

多少あり

甲状腺への影響

少ない

大きい

検査後の妊娠率

良好〇

良好◎

 

 

検査をする前の注意点

  1. クラミジア感染の有無の確認:上記説明した通り

  2. 甲状腺疾患の確認:造影剤にはヨウ素が入っています。このヨウ素は甲状腺機能に影響を及ぼす可能性があり、甲状腺疾患がある方は甲状腺機能をコントロールしてからの卵管造影検査が望ましいとされています。

  3. 妊娠していないかの確認:レントゲンによって被ばくの可能性があるため、検査周期に月経を確認すると同時に避妊していたかを確認します。

  4. 出血の有無の確認:生理用の出血が検査日に持続していた場合、造影剤を注入することで子宮内膜組織を卵管や腹腔内に流すことにつながり、子宮内膜症の原因になることがあります。

 

少しでも痛みを少なくするために

 お話ししてきたように、卵管造影検査は「痛い検査だ」と言われることが多いのですが、実際痛みを感じない方もいます。

 ただ痛む程度や感じ方は人それぞれです。もし不安であれば、検査30分前に頭痛や生理痛の時に飲むような鎮痛剤を内服して頂いて構いません。内服したからといって検査結果に影響は出ませんので、ご安心下さいね。
 

最後に

 いかがでしたでしょうか?痛い検査はなるべくしたくない・・・という方が多いと思いますが、実は詰まっていなければさほど痛みもなく、なにより卵管に原因がないか確認するために大切な検査になります。

 また、上記表1に記載した通り、検査後2~3周期は卵管の通りがよくなるため、妊娠率が向上するともいわれています。


 記事を読んで頂き、検査に対する不安が多少なりとも解消頂けましたら幸いです。