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私が産めないはずがない。誰も教えてくれなかった不妊の問題(前編)

   

morihitomisan

32歳で医師に「閉経寸前」と宣告され、突然始まった不妊治療。不妊治療をする中でNPO法人umiを立ち上げた森瞳さん。自らの治療経験を通じて、どのような事を考え、NPO法人の立ち上げに至ったのか、お話をお伺いしました。

不妊治療のきっかけは義理の家族から送られた5枚のFAX。

――妊活期間もなく、いきなり不妊治療に突入というのは、何があったのでしょうか。

森さん:私は26歳で会社を立ち上げて、29歳で結婚したのですが、会社を立ち上げてまだ3年位しか経っていない段階で、まだまだ会社を軌道に乗せたいし、私が抜けても会社が万全な状態にしたいというのがあって、35歳位までは仕事をしていたいと思っていたんですよね。だから妊活というよりかは、どちらかというと避妊。その時は基礎体温を計って自分なりに何かをする、ということはしていなかったんですよ。

森瞳さん

29歳頃の森さん

ただ、子作りに関して、周り(親戚)がうるさくなってきたんですね。主人は年上で、私と結婚して周りは「若い嫁を貰ったんだし、これは、子供を作るだろう」と。
結婚1年目から「子供を早くね~」という事を言われていたんですけど、毎年行くたびにそれを言われるのが苦痛で。

私が32歳の結婚3年目を超えたくらいの頃に、旦那さんの親戚がしびれをきらして、FAXを5枚送ってきたんですね。「瞳は仕事をして、忙しいから子供をなかなか作れない気持ちもわかる。だったら人に産んでもらえばいい。代理母を利用しなさい。つきましては、代理母をやってくれるエージェントはここです。」と3社くらい書いてあって。電話してみなさい、と。

私は産める、と証明したくて病院へ。閉経寸前の数値にショック。

そこで私は「いやいやちょっと待ってくださいよ」という気持ちを抱きながらも、32歳だし病院は行っておいたほうがいいかな、それに、親戚に「私は産めますよ。」という証明をしたくて都内の不妊治療専門病院に行ったんです。
まずエコーを撮って、血液検査をして。その時は「まだ排卵前ですね、最初は人工受精からですね」という説明を受けて帰ったんです。

翌週に血液検査を病院に聞きに行ったら「AMHが0.1以下ですね、これは32歳で閉経寸前の数字です。早急に妊娠しないといつ閉経してもおかしくない状態だから妊娠を急いで下さい」と。・・・ショックでした。
▶森瞳さんの不妊治療体験は後編へ

32歳で突然の不妊治療。健康に自信があったのになぜ。

あれよあれよと不妊治療が始まっちゃったわけなんですが、「妊娠って簡単にできないものなの?みんな普通にしてるじゃない?」という疑問があったんですよね。
それまで、自分自身は他の人よりも、絶対に健康的に暮らしてきたし、生理も来ているし、出来るはずだと思いました。毎日タバコを吸って、カップラーメンを食べている人がどんどん妊娠しているのだから、自分も出来ないはずがないと思っていたんです。

間違いだらけだった妊娠に対する認識

エステサロンを経営していた時に、お客様の中で助産師の方がいらっしゃって、実は妊娠率って20%くらいしかないんだよ、って聞いたんですね。その時は「20%ってことは、5回性交渉したら1回妊娠できる確率か」という感覚でした。ところが、32歳で不妊治療を始めたときに、妊娠って、こんなに簡単にできるものじゃないんだ、という事に直面しました。

そもそも、健康であることと妊孕性(妊娠する力)は別物。引き離して考えなければいけないんだ、という事と、排卵日=危険日だと捉えていたように「排卵日に性交渉すると妊娠する」と考えていた事自体が間違いだったんだと知ったんです。

また、当時、年齢が高くなるにつれて、子供の奇形率が高くなるという認識はあったんですが、年齢が高くになるに連れて妊娠率まで落ちるという認識がなかったんですね。

もっと早く知っていたら不妊治療なんてしなくても良かったかもしれない

自分自身が治療していた当時は、野田聖子さんが卵子提供を受けて出産されていたり、江角マキコさんが40代で出産されていたこともあって、年を重ねても40歳位までには普通に産めるんだなっていう風に思っていたんです。
その認識がすべて間違っていたんだなということを後から知って、驚愕しました。私の周りにいる人で教えてくれてる人もいなかったし、そういう認識の人が一人もいなかったから、これってすごく問題なんじゃないかなって。

もっと早く知っていたら、が活動のきっかけに。

umiで活躍される森さん

umiで活躍される森さん

もっと若いうちから知っていたら、もっと早く婦人科に行っていたと思うし、もっと早く対策も出来たとも思うんですよね。「なんでこんな大事なことを誰も知らないの、なんで教えてくれなかったの」という違和感がきっかけで、umiを立ち上げたんです。不妊治療をしている人というよりは、どちらかというと不妊治療をする前の方々に対して、もっと対策をして、「不妊治療なんてしなくても子供が出来る社会を創りたい」と。
▶umiの活動内容はこちら

――NPO法人umiでは、不妊治療の方々とお茶会を開いたり、ということもされていますよね

森さん:そうですね。ただ、患者さんの多くは働きながら治療をしていて、治療のスケジュールと仕事のスケジュールとでいっぱいいっぱいなのにお茶会のスケジュールまで考えられないんですよね。病院で、そういう会の開催時期が分かればいいんですよね。

私が経験した不妊治療中に、理子さんと一緒にお茶会をしながら収集した情報、umiを立ち上げたことで先生方から頂いた情報などを、治療の入り口にいる人達に手助けになればいいなと思っているところで始めたんですね。その場では、自己紹介もしなければ、電話番号の交換もしないし、あえて繋ぐようなこともしないですし。

NPO法人umiのお茶会の様子

NPO法人umiのお茶会の様子

――umiは今後どのような活動を行っていく予定なのでしょうか

森さん:umiのコンセプトとしては、学生とか結婚する前の人に知ってもらう、ということなんですよね。不妊治療をやっている人は前に進むしかない、けれども、不妊治療よりも前にいる人達は、自分事じゃないから、話を聞いてくれないし、(説明会などを)聞きにも来てくれない。だから、動画を作ったんですね。第一弾として、浅田先生に協力して頂いて「妊娠学」という動画を。

私が学校に出向いて登壇してセミナーをするというのも、やってみた事はあるのですが、学生さん達が寝てしまう。告知しても、なかなか集まらない。

ところが、動画を配信したら、メールで「私の論文の記事にしたいので、載せてもいいですか」という問い合わせがあったり、ネットの世界の方が、若い世代の方々へ広がるな、という感覚があったので、それを進めていきたいと思っています。

第二弾として、「きくねるねるきく」という新たな動画も制作しました。こちらは、二人目不妊の問題にも力を入れている「1morebaby応援団」と東尾理子さんを筆頭とする「うむうむ」との共同制作で制作する事ができました。

後編へ続く

森瞳さんのご紹介

森さん

プロフィール

26歳でエステサロンを経営し、29歳で結婚。32歳の時に不妊治療クリニックの検査で閉経寸前を宣告され、不妊治療を開始。妊娠についての正しい知識を誰も教えてくれなかった事に違和感を感じNPO法人umiを立ち上げる。「卵子の老化」をテーマに、女性だけでなく、男性にも広くこの実態を知ってもらい、結婚しやすい、妊娠、出産しやすい世の中に変えることをコンセプトに活動を続けている。また、使い捨て布ナプキン womwarm (ウームワーム)の開発・通信販売も行っている。

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